モーツァルト!観たから聞いて
わたしは、今、京本大我さんのモーツァルト!済の世界にきました。こんにちは、モ!済の世界…
こちらはネタバレ満載でお送りします……
※モーツァルト!は2021年千秋楽の古川さん回の配信を観たのみ
※2024年のモ!は8/30マチネが初見でまだ古川さんは見てない
※プログラムもまだちゃんと読んでない
※今この状態での感想を書くよ!
アマデちゃんとヴォルフガング
幼少期のアマデちゃん、モ!の中では問題行動的な描写が一切ないんよね。史実(と言っても、それもどこまで本当かわからんけど)では幼少期から才能とともに激ヤバ特性も出まくりだったらしいが、モ!のアマデちゃんは本当によい子。よい子というのは、自分に厳しく大人に都合のよい子、ということなのかなと思いますが…
そんなアマデちゃんと大人になったヴォルフガングはいつも一緒にいるわけですが(モーツァルトとしての実体はヴォルフガングで、ヴォルフガングにしか見えないアマデちゃんがずっと一緒にいる、みたいな設定)、なんかもうそれが二重人格にも見えるし、「人間」と「才能の化身」にも見えるし、アマデちゃんって一体…なんなの………
と思ってパンフレット呼んだら
と書いてあり(っていうかインタビューのたびに書いてあったし公式ホームページにも書いてあった、しかしそれを読んで私は(フーン?むずかしそうだな〜)と鼻をほじっていた、ちゃんと読め)、
あーそれそれ!肉体ヴォルフガングと魂アマデちゃん!と思ったんだけど、それも本当にそうやって割り切っちゃっていいんかな?と思ったり…
アマデちゃんが魂なのだとしたら、本当のモーツァルトって一体どの姿なの?ずっとずっと音楽に真剣に向き合うアマデちゃんの姿は真面目にも頑なにも見えるし、ヴォルフガングより大人に見えるけど、ずっと好きなことしかしていないという点では子どもなのかもしれない。
対して大人になった姿のヴォルフガングは、精神年齢5歳という感じなのに、周囲には大人の振る舞いを求められ、親から自立しろと言われ、そっか〜俺ももう大人だもんね!と思って口うるさい父親の元から離れて暮らすけど、やっぱり目の前の快楽に弱すぎるから金はないし生活も乱れるしで本当にもう………
そんなぐちゃぐちゃの状態のモーツァルト(見た目は京本大我)が「このままの僕を愛してほしい」と歌うんですよ!!!!!!!!!
誰か!!!たすけて!!!!!!!!
ナンネールしか良心がいない、地獄の家族
才能ってなんなの?ない方がマシじゃない?
最近「思春期は24歳まで」という話がありますけど、モーツァルトは精神年齢が幼いせいもあるのか、人生をかけてこの思春期を乗り越えていき、無理がたたって死んだように見えてしまうんよね…
父からの自立、自分の生活を自分で回すこと、金銭管理、仕事を続けて安定した賃金を得ること、コンスタンツェとの結婚、両親の死、全部全部ぜ〜〜〜んぶモーツァルト一人で背負うのは無理な話だったのだよぉ…
現代なら福祉が介入して然るべき職業訓練や雇用斡旋、住居の手配、生活介助、障害年金受給や成年後見などなどが考えられるけれど、もーーーーーなんもないの!18世紀のヨーロッパには!!!なんの福祉もない!!!!!
それなのに!!!頼みの綱の親族が!!!みんなうんこ!!!!!
わかりやすいのはコンスタンツェの親だと思うんですけど、絵に描いたようなクソです。
娘のコンスタンツェに対して「お前は将来乞食になる」など暴言を吐き、金になりそうな才能のあるモーツァルトにたかり、毟り取る……
キングオブ嫌な義家族すぎて絶対結婚したくない。
そしてコンスタンツェ、お前もなかなかだ。
夜のダンスパーティーがやめられず、生活は乱れ、家計管理もできず、浪費はする、家事はできない、コンスちゃん家庭に入っても全く幸せになれないタイプだよ!!!
向いてないことをやろうとした結果だな…と思うんでコンスタンツェが悪いかというとそういうわけではない、ただまあモーツァルトとの夫婦としての相性は極悪すぎるわね…
(モーツァルトとコンスタンツェみたいに目の前の快楽に弱い者同士ってなんか知らんけど似た者同士惹かれ合ってしまう、みたいなやつあるよね、恋愛ならまだしも結婚するとまじで誰も幸せにならん、家族の誰もが生活に向いてない)
私も最初はレオポルトパッパに同情して、自分の子がこんなだったら心労で死ぬ、と親目線でさめざめ泣いていたのですが、後半になるにつれパッパも暴走気味に……
天才は俺が作った、自分の孫(ナンネールたんが産んだ子)を同じように天才に育てる、モーツァルトは俺の成果物だ、みたいな発言が目立ちはじめ、ナンネール家族にしてみたらまじで毒でしかない。
そして自分にはできなかったことをモーツァルトなら成し得るはず、と思って期待しているパッパ……
自分の子に自分の夢を託すのはやめろ、まじで。
本当にもう、ナンネール姉様しか良心がいないのよ!!!なのに!!!ナンネールは!!!モーツァルトが金を使いまくったせいで結婚できないとか!!!ようやく結婚して子宝に恵まれた思ったら夫はモーツァルトのことをチクチク文句いいながら子どもが散らかした輪投げの輪をひとつひとつ的に入れなおし、丁寧に整えているタイプの男!!!!!キモ!!!!!?!?!?
せめて結婚した相手くらいはいい奴であってくれ、まじでナンネールがかわいそう!!!この物語で一番かわいそうなのはナンネール!!!!!
モーツァルトのシンボル、赤いコート
自分のお金(賭博で儲けた)(どこまでも最低で心配)で金の刺繍の赤いコートを仕立てたヴォルフガング。
小さい頃は同じコートを着て演奏していても許されていたけど、大人になってからは金刺繍はプリンスでないと許されない、という理由からレオポルトパッパに処分されてしまい、その流れで歌う「僕こそ音楽」……このままの僕を……愛してほしい…………(このフレーズに弱すぎるオタク)
『このままの僕』の象徴である赤いコートは、メインビジュアルの衣装として使われているにも関わらず、劇中で着ているのはマジで一瞬。
え、まって、捨てられたが?と思っていたら、なんとモーツァルトが死んだあとのカーテンコールでアマデちゃんと二人、おそろいのコートを着てニコニコ仲良く手を繋いで出てくるではありませんか……………!!!?!?!?滝涙
死ぬことでしか救いがない……なんなんこの話、こんなに救いようのないことある???もう誰も幸せじゃない、せめて死後の世界では大好きな赤いコートを着て望むように生きて…………(カテコで泣く)(終わってよかった!素晴らしかった!の泣きではなくアマデとヴォルフガングが可哀想すぎて泣く)(いやもちろんすばらしいし、すばらしいからこその泣きなのではあるが…)
総括すると、ミュージカル「モーツァルト!」は大人になろうともがき、自分の才能を発揮したいと悩み、身を切る思いで作曲に励んで、音楽界ではある程度の名声を得たものの、誰からも「このままの僕を愛して」もらえなかったモーツァルトが死ぬ話、です。
こんなに!!!暗い気持ちになる!!!ミュージカルの!!!チケットを!!!!わたしは!!!わたしたちオタクは!!!!!死に物狂いで取って!!!!!そして!!!!帝国劇場で!!!!!めちゃくちゃ暗澹とした気持ちになり!!!!!一体!!!!なぜここまでして!!!!こんな気分になりに行くのでしょうか!!!?!?!?!?
私としては本当に一瞬一瞬のヴォルフガングを、ヴォルフガングの放つ命の輝きを、私が、せめて観客席にいるオタクの私が、ありのまま愛してやるよ、という、その気持ちでしかない(結局のところ激重感情)
もうさ、劇中でお葬式の描写も一切ないんですよね、それどころか冒頭からモーツァルトどこに埋めたっけ?みたいな話してるし、死してなおこんな扱いされたんか、と思うと本当にもう………モーツァルトを客寄せパンダに今だに観光業で儲けてるザルツブルクはもう少し生きてるときに優しくしてやれなかったんかよ!?!?!?(行政への怒り)(18世紀にはそんなものない)
京本大我のモーツァルト!について
私の大好きな京本大我さんは、血を吐くような努力をして舞台に立っている子猫ちゃんなんですけど、甘え上手に加えてその美貌で本当だったら働かなくたって、生きてるだけでどこかの貴族が愛玩してくれそうなのに、それなのにアイドルやりながらミュージカルの舞台に挑んで数多の人間を幸せにしているという尊い方です(オタクによる歪んだ評価)
そんな京本さんが演じるモーツァルトはまさに子猫………ネコチャン………カワイイネコチャン…………
(他の演者との比較をしてないんでモ!の本来の姿っていうか標準がどんなものなのか(標準もなにもないと思うけど…)わからないんですけど…)
とにかくもう、すっごい、かわいい………おれが…まもる………その笑顔……………
モーツァルトのどーーーーーしようもない部分の描写が随所に散りばめられており、客席でどうしようもない音頭(作詞作曲・私)を踊り始めそうになってしまうのですが、どうしようもないとかわいいがもう交互に!交互にきて!!どうしようもない!かわいい!かわいいけどどうしようもない!どうしようもないけどかわいい!!!!!あああ!かわいい!!!!!!!
となり、最終的にかわいいが勝ち、そしてカテコの赤コートで泣く、という具合です。
京本さんの持ってる才能の中で一番強いのって愛されることと甘えることだと思ってるんですけど、そんな京本さんが愛されたくて甘えられないモーツァルトを演じるとどうなるか、おわかりか?????
不憫すぎてかわいそうでかわいくて、「私があなたをそのまま愛す(大号泣)」となります……なりました、私は………
モーツァルト!、盲目オタクの言うことはあまり信じられないかと思うんですけど、京本さんが演じる意味はかなり、かなり、かなりあると思うので、何卒、何卒ご贔屓に(私が言わんでも贔屓にされてるし、結果チケットはどこにもない)
ちなみに私の一番すきな京本ヴォルフガングは、初っ端一言目の「ナンネ〜〜〜〜ル!」です、その姿は私の2歳の息子がタオル被ってやる「おばけだじょ〜〜〜!」にしか見えなくて、開始10分ですでにヴォルフガングを愛さずにはいられなかった………