【それぞれの道】ジュビロ磐田 後藤啓介選手 RSC アンデルレヒトへ
2023年2月18日。
ヤマハスタジアムのバックスタンドに座っていた私は、悔しい思いで大型ビジョンに目をやりました。
時計の針は、試合終了の90分に近づいていました。
ここからアディショナルタイムで3点、4点取って勝ち点を奪うことはさすがに可能性は低いと感じてしまいました。
選手補強も禁止され、横内監督の新体制になってまだ1か月少々のジュビロ磐田。
対照的に、前年J2を3位でフィニッシュしたファジアーノ岡山は、昨年からの積み上げを武器に、自信を持って戦っているように見えました。
それでも
と願っていた矢先でした。
89分、ボックス内に侵入した松原后がクロスを上げた先には、待ち受けていた後藤啓介がゴールに蹴り込み1点を返します。
続けざまの92分、遠藤保仁のショートコーナー。一旦預けたボールを再び遠藤保仁がゴール前に上げたボールを後藤啓介が頭で合わせて2点目。
わずか3分間で2得点。
沸きに沸くヤマハスタジアム。
スタンドのジュビロサポーターに向けて、両手を振り上げて煽る姿に、私は飛びあがるように立ち上がり、後藤啓介に向けてガッツポーズを繰り返しました。
と、同時に、直前まで心が折れかけていた自分が恥ずかしくなりました。
あの安西先生の名ゼリフがよぎりました。
去年、磐田はJ1で「6勝16敗12分」で惨敗のシーズンでした。
たったの6勝しかできず、最下位でJ2に降格。
ヤマハスタジアムに行くたびに敗戦。良くて引き分け。肩を落としてヤマハスタジアムを後にする試合ばかりでした。
開幕岡山戦もそんな気持ちになってしまった私。
しかし、
「そんな気持ちは振り払え!」
とばかりに2得点を上げてスタンドを煽る後藤啓介。
本当に頼もしく思いました。
結果的に2-3で敗戦した磐田。
しかし、最後まで諦めずにゴールを狙う闘志を見せ、鮮烈なデビューを果たした後藤啓介に対し、ジュビロサポーターは絶え間ない「後藤」コールで送り出しました。
あのデビュー戦から、約9か月。
後藤啓介が駆け抜けた2023年は、あっという間に過ぎ去りました。
「J1昇格」を置きみやげに、次のステージに進もうとしています。
後藤啓介は、RSC アンデルレヒト(ベルギー)に期限付き移籍することが発表されました。
それにしても、公式Xに掲載された左上の写真。
こんな良い写真がよく残ってましたね。
幼い後藤啓介が中村俊輔のボール捌きを憧れの目をもって見つめています。そんなかつての後藤少年が世界に旅立ち、今度は子供たちから憧れる存在になろうとしています。
振り返れば、後藤啓介は2023年の磐田にとってレンタルバックの選手を除けば唯一の新戦力でした。
例年の新体制発表記者会見は、多くの新加入選手でにぎわうのが恒例ですが、今年は後藤啓介たった一人で行う異例の年となりました。
当時その光景があまりに印象的で、更に
「夢はワールドカップ優勝」
と新人らしからぬ大きな目標を言ってのけた後藤啓介に感銘した私は、note記事に残しました。
そして、同年のオフに再びたった一人で記者会見に臨んだ後藤啓介。
今度は世界に羽ばたくために。
今年の初め、夢に描いたワールドカップ。
日本でのプロ生活わずか1年で世界に羽ばたこうとする後藤啓介にとって、その夢は大きく近づいたように思います。
近い将来、SAMURAI BLUEのユニフォームを着てワールドカップのピッチに降り立つ後藤啓介を観ながら、
と自慢するのが今の私のささやかな夢です。
後藤啓介と共に戦えた2023年はジュビロサポーターの私にとって誇りです。
ありがとう、後藤啓介。
ベルギーのスタンドを煽りまくれ!
最後までお読みいただきありがとうございました
ジュビロ磐田と後藤啓介のファン・サポーターに歓喜が訪れることを願って。
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