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「ポジションを奪い返してチームを助けたい」ジュビロ磐田 金子翔太

「目標にしていた試合だったのでやれることはやった。プレーしているところを見せられず、やるせない気持ち」

静岡新聞運動部より

2023年10月7日にIAIスタジアム日本平で行われた、J2リーグ第38節「ジュビロ磐田 vs 清水エスパルス」。

2日間のオフを経て、ジュビロ磐田はチーム練習を再開しました。

その練習後、静岡新聞運動部は金子翔太の今の心境を報じました。

磐田は清水に0-1で敗戦。

自動昇格圏2位の座を清水に奪われ、磐田は4位まで順位を下げました。

この試合のキックオフ2時間前のスタメン発表で、金子翔太の名前が無かったことに対し、残念な思いを抱いたジュビロサポーターは少なく無かったと思います。

金子翔太は、9月15日の第35節ホームでのレノファ山口FC戦に出場しましたが、第36節アウェイ岡山戦、第37節ホーム長崎戦と、直近2試合でベンチ外でした。

そして迎えた大事な大事な静岡ダービー。

金子翔太は残念ながらベンチ入りを果たすことができませんでした。




2021年7月14日。

金子翔太は清水エスパルスからジュビロ磐田に期限付き移籍。

同年12月24日に完全移籍しました。

完全移籍時の金子翔太のコメントが今でも忘れられません。

ジュビロ磐田に関わる全ての皆様。この度清水エスパルスより、完全移籍で加入することになりました。
この決断が自分の強い意志であり、覚悟を持った移籍です。今日から100%ジュビロ磐田の男として、ジュビロのためにプレーすることをお約束します。応援よろしくお願いします。

ジュビロ磐田公式ホームページより

100%ジュビロ磐田の男

それは、単なる完全移籍への決意だけではなく、清水エスパルスとの古巣対戦への静かなる闘志も込められていたと感じます。


磐田移籍後の最初の静岡ダービーは、2022年2月26日。

磐田が3年ぶりにJ1に復帰してのホーム開幕戦。
いきなり清水エスパルスと激突することになりました。

金子翔太はスタメン出場。

しかし磐田は山本義道ファビアンゴンザレスの2人が退場するという波乱の展開となり1-2で敗戦。

金子翔太は試合後、敗戦の悔しい胸の内を発信しました。

このX(旧Twitter)は、1年以上経った今でも金子翔太の固定ツイートとしてプロフィール冒頭に貼り付けられています。

当時いかに悔しい思いであったことがうかがえます。そして古巣の清水に勝って、ジュビロサポーターの想いに報いたい。今でも続く気持ちが刻まれていると感じます。



二度目の対戦は、2022年10月22日。

舞台はIAIスタジアム日本平(アイスタ)。金子翔太にとって磐田移籍後初めてのアイスタです。

この年、7月23日にはシント=トロイデンVVより元清水エスパルスの松原后が磐田に完全移籍。

金子翔太と松原后の二人は、かつて自分たちを支えてくれた清水エスパルスサポーターの前でサックスブルーのユニフォームを纏って戦いました。

私も現地アイスタに行き、磐田ゴール裏で応援。

金子翔太はスタメン。
松原后は後半22分から途中出場。

松原后がピッチに入り、ボールを受けた瞬間の清水エスパルスサポーターの敵意むき出しの雰囲気は凄まじかったことを今でも鮮明に覚えてます。

結果は、ジャーメイン良が後半アディショナルタイムにゴールを決めて1-1のドロー決着。またしても勝利を掴むことができませんでした。

当時磐田はJ1残留をかけて負けられない戦いが続いていました。金子翔太は、清水に勝てなかった事だけでなく、J1残留に対し更に厳しい立場に追い込まれたことに対する悔しさを滲ませていました。

そしてサックスブルーのユニフォームを纏っての初めてのアイスタ。

私も現地で感じましたが、2人に向けられる厳しい雰囲気。難しい戦いを強いられたと思います。

試合終了後、エスパルスサポーターへ挨拶に向かった金子翔太と松原后。揃って頭を下げる2人と背景に霞んで映るオレンジ色のユニフォームを着たサポーターの写真。

今見ても涙を誘います。



三度目の対戦は、2023年3月18日。

磐田と清水が共にJ2に降格したため、初めてのJ2での静岡ダービーとなりました。

この試合は、金子翔太と松原后が揃ってスタメン。

金子翔太は右サイドでドリブルで一気に持ち込む姿を見せます。メインスタンドで観戦していた私の目の前を駆け上がっていく金子翔太の姿。

私を含め、エコパスタジアムに集結したジュビロサポーターから大歓声が上がりました。

今日こそ清水に勝って、雪辱を果たして欲しい。

しかし、磐田はリードしていたのですが、試合終了間際の後半42分にチアゴサンタナ選手に同点ゴールを決められ、ドロー決着。またも勝利を手にすることができませんでした。

試合終了後、選手達はジュビロサポーターから激しくブーイングを浴びせられました。静岡ダービーは勝利以外はいらない。そんな気持ちが込められていたのでしょう。

しかし、金子翔太はジュビロサポーターの厳しい反応に対してもしっかり目を向け、拍手で応えていました。

「金子翔太には10月のアイスタでの戦いで、雪辱を果たして欲しい。」

私は、思いを抱きながらエコパスタジアムの選手控え室に戻っていく金子翔太の背中を見つめていました。



そして四度目の対戦になるはずだった2023年10月7日のアイスタでの静岡ダービー。

残念ながらそのメンバーに金子翔太の名前はありませんでした。

結果は磐田が0-1で敗戦。

自らが出場できなかっただけでなく、敗戦してしまった磐田。いかに悔しい気持ちであったか。

冒頭の金子翔太の言葉、

やるせない気持ち

に全てが凝縮されているように思います。

今回の静岡ダービーに出場できなかったのは、もしかしたらコンディション不良では無いか?と個人的には心配だったのですが、そうではなく、

「今回は監督のチョイス。結果的に負けてしまい、悔しい」

静岡新聞運動部

と金子翔太はコメントしています。

静岡新聞運動部の取材によれば、横内昭展監督とも話し合いを重ねたそうです。

金子翔太にとって静岡ダービーが特別な舞台であることは横内監督も重々承知していたはず。

しかし、横内監督は開幕当初から「ポジションをプレゼントすることはしない」という姿勢です。これはジュビロ磐田公式YouTubeチャンネル【Go on.】episode6で語られています。

金子翔太と横内監督の話し合いの詳細まで知ることはできません。

しかし、金子翔太は「結果的に負けてしまい」と発言していることから、チーム内の競争で横内監督が下した結果なのだと思われます。

金子翔太にとって厳しい結論でしたが、勝負に徹し、忖度しない横内監督の姿勢は支持したいと思います。




現時点で自力でのJ1自動昇格を失ったジュビロ磐田。

しかし、まだ4試合を残しています。3位東京ヴェルディとホームヤマハスタジアムでの直接対決も残しています。

静岡ダービーに出場できなかった金子翔太は、悔しい思いを抱きつつ残り4試合に向けて次のコメントで前を見据えます。

「ポジションを奪い返してチームを助けたい」

静岡新聞運動部

次節アウェイ徳島ヴォルティス戦は、前回ホームヤマハスタジアムで3失点で敗戦した相手。

この時もジュビロサポーターから厳しいブーイングを浴びた磐田の選手達。そのブーイングの中には徳島戦でスタメン出場した金子翔太の姿もありました。

徳島戦に向け金子翔太は以下のようにコメントしています。

前期負けている手強い相手。今のままでは良くない。勝ち点を奪うために、みんなが(練習場の)大久保のピッチに転がっているものを拾いに行く。10回やって10回勝てる自信と完成度を見せないといけない。

静岡新聞運動部

毎週末試合が行われていたジュビロ磐田ですが、清水戦敗戦から徳島戦まで約2週間空きます。

再びチーム内での練習でポジション争いが行われると思います。金子翔太には清水戦に出られなかった悔しさを次の徳島戦への出場にぶつけて欲しい。前回ヤマハで敗戦した雪辱を果たして欲しい。


J1昇格を掴むためのキーマンは金子翔太に違いありません。


最後までお読みいただきありがとうございました。
ジュビロ磐田と金子翔太のファン・サポーターに歓喜が訪れることを願って。



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