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記憶がわたしを形成する

脳に関する記事を書いている。いろいろ調べている中で、記憶を作るのに重要な脳の部位「海馬」が障害を負って、新しいことが覚えられなくなって、メモ帳を片手に生きている人のドキュメンタリーを見つけて見た。

普通の人の物忘れは思い出せないだけだけど、記憶が作れない人は、記憶そのものがなくなる。メモを見ても「ああそうだった」と思い出すことはない。そのメモを信じるしかない。

ものすごく大変だ。記憶がその人を作っているのだと思った。でも同時に、将来認知症になったらこんなふうにメモしながら生きていけばいいや、と希望も感じた。

大変な境遇なのに、いつも笑って前向きに生きている水田さんを心から尊敬した。すごい人だと思う。

ところで、わたしはスケジュール帳に何時から何時までどの仕事をするか、あらかじめざっくり予定を立てている。そして、その通りにならなかったら消して書き直す。ある意味、仕事の日誌も兼ねているのだけど、気を抜くと1週間くらい空欄になってしまう。

今日もそうなっていたので、この日は何をやったっけ…と考えて、メールの送信履歴やツイッターのつぶやきをもとに埋めていった。この日記も読み直すとヒントがたくさんある。そうしていくと、嬉しかったことや楽しかったことも思い出していく。

こういう作業をしなかったら、楽しかったことやがんばったことが思い出さないまま埋もれてしまって、「ずっと仕事ばかりしていたけど何も進んでない」という偽の記憶に置き換えられてしまうとこだった、あぶない、と思った。

記憶は記録ではない。記憶はその人の未来の土壌。思い出さない記憶は、次第に薄れて思い出せない記憶となる。

振り返って文字にしていけば、何を覚えて何を忘れていくか、選ぶことができるし、自分の未来を育てることができるんじゃないかと思った。

〈本日の小説活動〉
小川洋子「最果てアーケード」から1編読んだ。

ライター仕事の締切追われ始めると、途端に小説活動ができなくなる。でも少しずつでもいいからやっていこう。

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