1日に書ける量の最大値を増やしたい。
1日に書ける文章の最大値は、だいたい決まっている。その上限はキーボードを打つ体力よりも、考える脳の気力によって決まる。ドラクエは5までしか遊んでないけれど、あの世界にはHP(ヒットポイント)とMP(マジックポイント)があって、HPが0になったら死ぬし、MPは魔法を使うたびに減っていって0になると魔法を使えなくなるのだけど、執筆もまさにそんな感じ。0から1を作る小説の最初の立ち上げとかは、MPを激しく消耗する。
あと、小説やエッセイの添削指導もとてもとても消費する。相手の表現したいことを、つたないところがあっても、想像で補いながら汲み取って、その人が次のステップに進めて、自分の書きたいことがより伝わるように書けるようになるために、何を伝えたらいいのかを考えて、それからどう伝えたら伝わるのかを考える。自分が書くときの3倍くらいMPが減る。
そして外科医が体を傷つけて治療するように、どれだけ細心の注意を払って相手のことを思いやって赤を入れても、その言葉は相手を傷つける。時には恨まれたりもする。脅迫されたりしたこともある。だからわたしは添削やアドバイスは大学の授業か、よほど信頼関係のある友人にしかしない。外科医だって、手術室以外でメスを振り回したら逮捕されるからね。
話が逸れたけれども、今日はライター仲間の堀香織さんの家で一緒に仕事をした。一緒にといってもそれぞれの原稿をするだけだけど。ゆるくふんわりとした相互監視が、さぼれなくて、仕事がはかどるのです。たぶん、人がいれば誰でもいいというわけじゃなくて、同じ物書き同士だからいいのかな。
人がいるとはかどる仕事と、人がいたらできない仕事があるので、一緒に仕事をする日に何をするのかを考えて、他の日の仕事を決める。メリハリが出る。MPをたくさん使って、1人分添削すると1日何もできなくなってしまうのだけど、今日は4人分の添削をがんばれた。ライター仕事もできた。ただし、どちらも仕上げは明日にする。もう一度クリアな頭で注意深く点検する。一晩寝たらHPもMPも回復するから。
堀さんはシンガーソングライターのCoccoのロングインタビューをしたり、映画監督の是枝裕和監督の本を書いたりしている憧れのライターだった。没入感のある、光が見えて音楽が聞こえるような、文章を書く人。去年、ひょいっと知り合って、鎌倉から引っ越して、比較的ご近所さんになって、一緒にサウナにいったり、家におじゃまして一緒に仕事をするようになった。人生、面白いねえ。
〈本日の小説活動〉
①京都芸術大学の通信教育部文芸コースの小説作品の添削のお仕事。大変だけども、書き方を伝えるためには、小説とは何か、どうやって書かれているのかを、考え続ける必要がある。生まれてくる物語が途中で枯れないように、何を伝えたらいいのか、ひとつひとつ向き合って考える。少しもごまかしがきかない真剣勝負。これはまぎれもなく、わたしの小説活動。
②皆川博子さんの短編集『愛と髑髏と』をいくつか読む。皆川さんは作品ごとに全然違う。作風が違うというか、もうジャンルが違う。でも全部皆川博子だ。どんな作家になりたいかと聞かれたら、一番に名前を挙げたい人。
MP大量消費したから、今日はこれで終了。ドラクエでレベルが上がるとHPとMPの最大値が増えるけれど、物書きもレベルが上がったら増えていくかな。そうしたら、1日に書ける量も増えるのかな。
しっかり回復させなければ。明日は1日家で、長編の推敲の続き。注文して届いた資料を読んで、1シーンをてこ入れする予定。おやすみなさい。
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