一期一会な器たち①―彫刻家木下輝夫作木のスプーン|金澤屋流お家カフェVol.53
「五感で感じるひと時」を根底に当店の店づくりを考えております。空間づくり、場の提供そしてメニューを彩る茶器に決め手となる接客サービス。私たちのような商売では、どの工程も外せない大切なものです。今回は、当店のメニューを彩る茶器の中の、存在感たっぷり、こだわりのスプーンを紹介致します。全て、彫刻家|木下輝夫さんの手作り品。お店の開店当初からのお付き合いですが木下さんのような職人さんは、長い人生の中でもそうそうな出会いと感じます。
これも一期一会、後世、残すべき器の芸術。造り手の想いがよく現れた逸品です。これだけの個性と木の種類も見たことがないですが、メンテナンスもして今年で9年になりますが、折れない限りずーっと使えるのです。
信じられないような本当のお話。
そんな尊敬している木下輝夫さんを紹介致します!
木下輝夫氏と金澤屋珈琲店
金澤屋珈琲店では、開店当初から彫刻家木下輝夫さんに店で使用する器に合うスプーンを製造していただいております。
一見何に使うのか?と思う見た目と裏腹に使用することを目的とした
独特のフォルムは、木下さんによるアイディアと技術による賜物です。
また、使用するにあたって消耗したスプーンは、定期的にメンテナンスを行っていただき、約9年間繰り返し、大事に使用しております。長く使える丈夫なスプーンです。
取り扱う天然木の種類は数え切れず。
手を加えず、ついた自然の色、艶、柄、木目全てに木のぬくもりを感じます。当店のスプーンには、木の名前が一つ一つついております。
こちらのショップでは、木の種類を紹介しております。
なかなかお目にかかれない珍しい木もありますのでお見逃しなく。
定期的に入荷しますので、商品は一期一会。
見た目や色などは、手作り品ゆえにばらつきがありますが、それも良さの一つと踏まえ、お手元に届いた1品をお楽しみ頂けたらと思います。
ABOUT 彫刻家 木下輝夫さんの木のスプーン
天然素材の木
ひとつひとつ表情がちがいます
天然素材、木の特製や表情を活かした木の食器で柄や色つけは行っておりません。色や木目は木の持ち味です。同じ木でも一つ一つ違うのがとてもよくわかります。一つ一つの木には、木の名前がついています。木の製品は、世の中に沢山ありますが、これだけ小さなものにも一つ一つ木の名前を付けて下さるのは、作り手の愛情を感じずにはいられません。
一度使うと忘れられない 手にフィットする厚みやうねり
最大の特徴は、持ち手の柄の部分。
手で握ったときにすいつくようにフィットする。
1本1本うねりは絶妙に違いますが、持ち手の負担が少なく握りやすいのが特徴です。
用途に合わせて作った
オリジナルスプーン
食のシーンに合わせて楽しめます
当店のスプーンは、すべて使用する用途に合わせて製造して頂いております。様々な生活のシーンで活躍すること間違いありません。
(↑これは、何に使うと思いますか?( ^ω^)・・・回答はこの後に)
コーヒースプーン
当店で一番活用するのは、こちらのコーヒースプーンです。木の種類も恐らく30種類ほどはあります。中でもウメ、桜、ケヤキ、柿、ゆず…身近な木で作られたものは特に親近感を感じます。当店のコーヒーカップは、陶芸家小西みきさんによるオリジナル食器です。
大胆な赤黒カップには、シルバーの既製品のスプーンは似合わない(;'∀')と。開店当初約2か月前に、このカップに似合うスプーンを探して木下さんにたどり着きました。当時、姉妹店であるコーヒーショップのキャラバンサライコーヒー専門店のお客様だった木下さん。何と自分でコーヒー豆を焙煎して飲むほどコーヒーが好きな方です!
キャラバンサライ店頭でスプーンを販売したことがあった経緯もありなんとか連絡をつける事が出来ました。オープン間近、このような手のかかったコーヒースプーンをとりあえず120本。他にも色々な形のスプーンをオーダーしました。大変な量ですが木下さんの計らいでなんとか間に合い、それからのお付き合いです。
最近のお気に入りは、「イチイ」
ケーキスプーン
なんとフォークタイプのケーキスプーンです。
繊細な切込み。スプーンの中でも難易度がとても高いものです。
ケーキを食べる為にオーダーしたものです。通常のケーキフォークと違いますが、中心に入った切込みでケーキが食べやすくなっております。
木のスプーンじゃ、タルトなど硬いものが食べられないのでは?と思う方も多いのですが、木もそれぞれ固さが違うそうです。ケーキフォークにするのは、とても固い木。丈夫です。
パフェ用のスプーン
当店のデザートメニュー「お松のパフェ」ですがこちらのメニューも木のスプーンで食べます。深いカップの底までスプーンが届くように柄が長く、すくいやすいように先端がとがった形状になっています。
持ちやすいですよ。
ロングタイプ。店頭では一番売れているタイプですね。
かき氷用スプーン
当店の夏の風物詩「かき氷」
大きな氷さんに見とれてしまいますが、ヨーク見て下さい!なんと氷さんも木のスプーンで食べます。勿論オリジナルオーダーで作って頂きました。
たっぷりとすくって食べるかき氷用のスプーンです。
シンプルながら真ん丸のさじで氷やアイスクリームを救いやすく持ち手を持っても、熱が伝わりにくく溶けません。
絶妙な角度のついたスプーン。使いやすくて食べていても氷が溶けにくいという機能性も高いスプーンです。
アイスクリーム用スプーン
個人的に一番好きなスプーンがコチラ↑
なんとアイスクリーム用です。(笑)へらのようになっていますね。
真ん丸の木べら。
アイスクリームを食べる!
ソフトクリームを食べる!
コンパクトでケーキスプーン位の大きさです。お気に入りでお家でも使っていますが、ヨーグルトも食べれます!ポテサラを救ったり(笑)
家庭でも活躍する事間違いない!ですよ。
コーヒースプーン・ロング
※こちらは現在販売はしておりません。店内で使用しております。
少し大きめのカップで提供するショコラテのようなメニュ―に持ち手のロングタイプのスプーンを使っております。
ドリンク用のスプーンとして、マドラーとして更にちょっとしたデザートまで食べやすい万能タイプ。太さもあるので丈夫です。
持ちやすいですよ。
通常のコーヒースプーンと比べると…(右がロング)
並べるとかわいい。
コーヒースプーン・ショート
コーヒースプーンのロングがあれば…実はショートサイズもあるのです。
コーヒーは、コーヒーでもお抹茶のようにビターで濃厚でちょこっと味わう「エスプレッソ」
デミタスと呼ばれるかわいい小さなカップを使います。
通常のコーヒースプーンは110㎜。
ショートサイズのコーヒースプーンはなんと90㎜。
ちっちゃくてかわいー。
小さくても、木の種類は豊富。
ナラ 白に近いです。
みかん
かりん
ツバキ
さくら
カエデ
ハードメープル
ブビンガ
パドゥーク 高級木材の一つ。強靭で硬質でギター、ベースに使われているそう。
けやき
個性派揃いですね。
一度買うと無料でメンテナンスしてもらえる!
なんと、当店の木のスプーンは、開店からずーっと使っております。勿論買い足したりは毎年していますが、3か月ごとほどに、使い込んで水分を含んだスプーンをメンテナンスに。
木下さんが磨いて、オイルでコーティングしてキレイにして下さいます。磨くのですこーしずつ薄くなっているのですが、これだけキレイになって帰ってくるとすごくうれしいもの。
ちなみに、使っていると水分を含んでこんな風に↓
洗う時も食器用のやわらかなスポンジであらいますが、ごしごしすると傷みやすいので優しく。洗ったらすぐに水分をふき取ると良いですね。
当店では、毎日のこと。ゆえに白っぽくなるのは仕方ないのですがメンテナンスに出して、奇麗になって戻ってくると嬉しいですね。
↓メンテナンスで帰ってきたスプーンたち。
木下さんは、元気な限り無償でメンテして下さるとよく(笑)ながらおっしゃっています。実際に当店でご購入された方も利用している方もいます。なんとなーく気が引けますが、木下さんは喜んでメンテしてくれます。そんな優しい方です。
木下輝夫さんからの直筆メッセージ
つい最近のお話ですが、木下さんから直筆でメッセージを頂きました。昨年からのコロナ渦で商品の売り方や消費志向も変化してきました。ネットでモノを売る時代に。アナログな木下さんに代わって私が伝え役に回っておりますが、このようなメッセージを頂くといいものです。
名前のよく知られた樹々だけではなく、雑木と呼ばれる多くの種類の樹々にも目を向けて、その特徴を生かしてモノ造りをしています。いつの間にか、90種類を超える樹々が集まり、名前も判らない樹も多くありますが様々な人が集まっている社会と同じで無数の樹々と語らいを毎日続けられる自分を幸せだと感じています。
木下輝夫
彫刻家|木下輝夫さんのプロフィール
1967年 金沢美術工芸大学中退
1980年 彫刻制作始める
1984年 動物の組木パズル・人文字制作開始
1999年 食器類・スプーンの制作開始
2003年 東京・目黒の“マイスター”で彫刻の小品の販売開始
2008年 アメリカ合衆国ロサンゼルスで彫刻の小品販売始まる
~現在 六本木ヒルズに2㍍の彫刻納入
南青山“NARISAWA"でのスプーンの使用が始まる
紀尾井町ホテルのスイートルームに高さ70㎝の彫刻を6部屋に3点 ずつ納入毎年、定期的に展覧会を3~5回行っている
木下輝夫さんのスプーンは店頭は勿論、ネットでも数多く販売しております。木の名前も記載してありますのでぜひ、お楽しみ下さいね。