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不動産投資のお話 -不動産投資の存在意義
タイタンキャピタルの金澤幸雄です。
近年、投資の世界でも、欧米諸国をはじめとして、環境や社会などの企業の長期的成長に重要な要因であるESG(環境=Environment、社会=Social、企業統治=Governance)に配慮した考え方を求める動きが広まりつつあります。この流れに乗るようにして、不動産ならびに不動産投資の存在意義も大きく変貌を遂げようとしています。
これまでの不動産投資は、購入時の諸費用、管理費、固定資産税などの年間経費や、賃料などの定期的な収入、その不動産を売却したときに生まれる売却益など、利回りや収支だけを見て判断し、投資を行うのが一般的な方法でした。
しかし、不動産はESGの中でもとりわけ環境や社会に関係する部分が大きく、また現在取りざたされている環境問題、社会問題の解決のカギとなり得るため、地域社会への貢献や環境問題への取組みなどの観点から見た不動産投資を行うことが今後さらに重要になってくるのは必至でしょう。
そもそも、不動産投資は投資の中でも中長期的な予測を求められる投資方法で、その理由に関係しているのが「税率」です。
保有している不動産を売却すると、売却によって発生した利益(=譲渡所得)によって譲渡所得税の課税が行われる場合があります。売却時の税率は、売却した不動産の所有期間によって大きく変わってきます。
【短期譲渡所得税】
所有期間が5年以下
税率39.63%(所得税30.63%・住民税9%)
【長期譲渡所得税】
所有期間が5年超
税率20.315%(所得税15.315%・住民税5%)
※短期、長期とも、所得税に対して2.1%の復興特別所得税が加算(2013~2037年)
このように、不動産を所有してから5年以下で売るのと、それ以上の期間持っていた後に売るのでは、譲渡所得税率が倍近く変わります。そのため、一般的に不動産を売却する際は少なくとも5年以上保有してからが望ましいとされているのです。
このように、不動産投資は5年以内の短期的なスパンで回そうとすると、純利益を出すのが難しいため、中長期的な予測を立てるのが望ましい投資方法と言えるでしょう。
一方、ESG投資において投資先を決定するひとつの指標となるのが、SDGs(持続可能な開発目標=Sustainable Development Goals)です。持続可能な成長にウェイトを置く企業に投資することで、中長期的なリターン獲得を目指します。
このように、不動産投資とESG投資は親和性が高く、不動産投資を学ぶためにはESGの視点も避けては通れないものと言えそうです。
金澤幸雄
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