【イベントレポ】Bye Bye BINARY Queer Reading by bow!!
みなさんこんばんは。SOGI研メンバーの令です🐱
7月22日(土)、community & library コトノハにて「rainbow without r(p)ain」さん主催の「Bye Bye BINARY Queer Reading」というイベントに参加してきました。
rainbow without r(p)ain
「rainbow without r(p)ain」(通称:bow!!)は、オープンノンバイナリーである穣(みのる)さんが主催するプロジェクトで、「雨が降らなくても虹は出る」をモットーにクィアの安心できる居場所をつくる活動をされています。
bow!!のInstagramアカウントはこちら⬇️
穣さんは先日のSOGI研イベント「Non‐binary Summer Night」にも、僕の所属する「SELF」という団体のイベントにも何度か来てくださって、bow!!のプロジェクトについては始動前からお話を聞かせていただいていました。その記念すべき第一回イベントが先日開催されたのです!素晴らしい!!
Bye Bye BINARY Queer Reading
今回のイベントでは、宇多田ヒカルさんの代表曲である「Automatic」をクィアリーディングしました。宇多田さんは先日、インスタライブでノンバイナリーを公言されたことでもよく知られていますよね。
「ノンバイナリー?何それ?」の方はこちらの投稿をご覧くださいませ。
「クィアリーディング?何それ?」という方はSELFのクィアリーディングイベントの投稿をご覧ください。
正直、この曲をクィアリーディングするのは難しいのではないかと勝手に思っていました。だってどう聴いてもベタベタの異性間恋愛ソングじゃね?🤔
でもこの先入観と固定概念を払拭するのがクィアリーディングですよね。歌詞を観たり曲を聞いたりして、ゆる~く参加者のみなさんとおしゃべりしながら、クィアリーディングを試みました。
’Automatic’をクィアリーディングしてみよう。
ではここからは話し合いで出た読解例をいくつか紹介します。
・「七回目」の意味
何も考えずに聴くと、すぐ電話に出ず相手を焦らしているなど、恋愛における駆け引きの要素が感じられる方が多いのではないでしょうか。
相手が受話器をとったのは、五回目でもなく六回目でもなく、どうして七回目のベルなのか。この「七」という数字を見て、僕は六色のレインボーフラッグを思い浮かべました。
クィアの象徴である六つの色には応えられない。七回目(クィアではない、七つ目の気持ち、ヘテロなのかなんなのか)でないと、あなたの気持ちには応えられない、社会が許してくれない、そのようにも受け取れると考えました。
また、「受話器」という言葉からベルが鳴っているのは固定電話だと考えられます。スマホと違って発信者の名前が表示されないですよね。でも、電話で話すのが習慣になっている相手だと、かかってくる時間帯で相手が誰だか判断できるのかもしれません(この曲のサウンドが夜っぽいからという意見もありました🌙)。
「あー、この時間にかけてくるのはあいつだから、ちょっとほっといてもいいか。これおわってからでいいか。」という、逆にそれほど親密だからこそ待たせても良い関係なのかも。こう考えると、「君」は恋人とは限らないですよね。
・「名前を言わなくても」
名前を言わなくても声でわかる関係性。これは恋人に限らず友人でも親密な関係であればあり得ますね。また、相手の「名前」がなくても、とも読み取れます。ノンバイナリーには、自分のジェンダー化された名前で悩む人も多くいます。自分の名前が何であっても、あってもなくても関係なく、声で相手が誰だかわかる、そう意味であっても良いですね。
・「君とParadiseにいるみたい」
この「Paradise」の部分は、急に非現実的になりすぎて違和感があるとおっしゃった方がいました。たしかに。
抱きしめられて自分がParadiseにいるような気分になる、ならわかりますが、なぜ相手までParadiseにいるのか?🌴
僕は、Paradiseの逆はRealだと思いました。異性愛者は抱きしめられてもRealの世界でハッピーになれます。しかし、異性愛者でない人々は、Realの世界で抱きしめられると周囲の視線や世間の声なるものが邪魔をして、とても生きていられない。だから、あなたに抱きしめられる世界はまるであなたと私2人だけのParadiseのように感じる、ということではないでしょうか。
・「○○との関係」だ・・・!
この部分ではかなり議論が盛り上がりました。「あいまいな態度」で不安になるのは、相手なのでしょうか、それとも自分なのでしょうか。ここでの「ほれてる」や「指輪」の表現を恋愛ではない関係として考えるのは少し難しいですよね。
頭を悩ませつつ、自分の経験も交えておしゃべりしながらたどり着いたのが、これ、「推しとの関係」なのでは・・・?という見方です(笑)
やさしさがつらかった日も→みんなに対してやさしい、同じ態度で接する推し。
指輪をさわれば→推しのグッズまたは推しとおそろいで買った指輪💍
このように考えると、「後に出てくる『computer screen』は推しの動画とかファンクラブの会員サイトのことかな。」「最初の受話器は推しの配信を電話に例えてるのかも。」など、異性愛で考えても難しいところがなんか納得できたりしますよね。
推しは推しでも身近にいる推しかもしれないし、アイドルや芸能人の推しかもしれない。それによって歌詞の見方も変わってきます。恋愛感情として好きであってもなくても、元気をもらえたり幸せな気持ちになれるのが推しだと思うので、「推し」という解釈はなかなか良いかもしれません!!🫶
また、「rainy days」から「sun will shine」という歌詞に繋がるところも、「おいおい、虹できてまうやないか~」と、クィアのための曲として十分受け取れる要素がすんなり見つかりました🌈
ほかにもさまざまな読解例が出ましたが、このくらいにしておきます。みなさんもこれを読んだ後に、ぜひ「Automatic」聞いてみてください!今まで何気なく聞いていたものとは、全然違った曲に聞こえるかもしれませんよ~🎧
歌詞引用:宇多田ヒカル. 1998. Automatic [Song]. On Automatic/time will tell. イーストワールド.
イベントでお話ししたこと
今回のイベントの参加条件は、「人生で一度でも性別二元論にもやもやしたことがあること」でした。その条件のもと集まった参加者たちは、クィアリーディングをする傍ら、わたあめを棒にまきつけてもやもやを食い尽くし、自由におしゃべりをしました☁🍭(最高!)
とくにトピックが用意されていたわけではありませんでしたが、クィアリーディングしながらいろんな方向に話が広がって、以下のようなお話ができました。
・「生きづらい」ってどういうこと?
・「呼ばれたい名前」ってなに?
・ノンバイナリーとしてフェミニズムにどう向き合えるのか。
・最近あった性別二元論に関するモヤモヤエピソード
みんな「性別二元論にもやもやしている人たち」という点では同じでしたが、それぞれの話題に関する考え方は人それぞれでした。
この会で個人的にとても居心地が良いと感じたのは、お互いが違うことを恐れない姿勢で話せたところです。なんでもかんでも同調して、ただただ傷のなめ合いをするのではなく、相手の意見を受け入れながら自分の意見を伝えられる雰囲気が、穣さんと参加者によってつくられていました。セーファースペースが確保されていたのもあり、とても安心してお話しすることができました。
また、自分の最近考えていることを話した際には、「この本読むといいよ!📚」とオススメしてもらえて、帰宅後すぐに購入しました。僕はいま運営している性別二元論だるいな~という方向けの団体を紹介させていただいて、みなさんすぐにご入会いただきました🫀👏
こうやって人と人が、ただの人と人として繋がれる場所があるのってありがたい。
今回使用させていただいた「コトノハ」さんでは、bow!!の本棚スペースが設置されているので、今回クィアリーディングに使ったスケッチブックやチラシ、僕の運営している団体のポスターやステッカーもそちらで見ることができます。
bow!!さん初めてのイベントということでしたが、本当に素敵な会でした。bow!!の穣さん、参加者のみなさん、ありがとうございました。月に一度のペースでこれからも開催できればとおっしゃっていたので、インスタで告知をチェックして、みなさんもぜひ参加してみてください!