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岩下の新境地
推し活やってますか?
アイドルやアニメのファンになって応援する事を推し活って言うらしいんだけど、実は私にも応援しているアイドルがいます。
映画「女囚さそり」シリーズの主役梶芽衣子さん。最近、昭和の映画にハマってる私にとって梶芽衣子こそが「究極のアイドル」「一番星の生まれ変わり」。
だったんですけど、状況が変わって来ました。他に応援したいアイドルが出て来ちゃったよ。梶芽衣子さんゴメン。他に気になる子が出来ちゃったんだ。その子の名前は岩下志麻ちゃん。梶芽衣子から岩下志麻に推し変しようかと思ってます。
きっかけは、先日池袋新文芸坐で見た映画「影の車」。1970年、野村芳太郎監督の作品。原作は松本清張、脚本は橋本忍。
内容も圧倒的な面白さなんだけど、そこに出てくる岩下志麻さんが可愛い。可愛すぎる。夫を亡くし、女手一つで子供を育てるシングルマザー。子供の幸せを第一に考え、仕事と家庭の両立。しかし偶然再会した妻子ある男に心惹かれ、拒む心と求める体のせめぎ合い。
岩下志麻っていうとほとんどの方は「極道の妻たち」シリーズを思い浮かべると思いますが、この頃の岩下志麻さんは完全なる清純派。のちに極妻として周囲を震え上がらせる姿など、カケラも想像できません。
その岩下志麻さんが覚醒するのが、1978年の映画「鬼畜」。同じく野村芳太郎監督の作品で、こちらは夫が他の女と浮気して出来た子供を虐待しまくるという、「影の車」とは真逆の役。ちなみに夫役は緒形拳。夫婦ともに人として最悪な人物像ゆえ、当初は二人とも「こんな役は絶対やりたくない」と拒否したそうです。
しかし「役者としてこういう役も経験しておいた方がいい」と説得され、しぶしぶ出演。「出演するからには徹底したい」と撮影以外でも3人の子役たちには一切笑顔を見せず撮影に挑んだそうです。
だからこの映画の岩下志麻さんホントに怖い。今までやった事のないタイプの役で、どこまでやって良いかさえも分からないまま演じてるのが伝わって来ます。なんか自分で自分を抑えきれないような危うさが画面のそこかしこに漂ってます。その岩下さんに振り回される緒形拳さんも普段は見せない情けなさ。
清純派から鬼畜を経てたどり着いたのが1986年の映画「極道の女たち」。これはもう堂々たる姉さんっぷりで、恥ずかしさのカケラもない。恥ずかしさどころか血も涙もない極道。当初の予定では岩下志麻さんは一作目の主演のみで、二作目、三作目と女優を変えて撮影するはずだったこの作品。続編を見た本物の反社の若い衆たちから「ワシら岩下の姉さんの命令やったらいつでも命はれますけど、十朱幸代や三田佳子のためには死ねまへん」とクレームが入り、四作目にまた復帰したという輝かしいエピソードがあります。
どんなに似たような類似品が出てこようが、そのブランドには絶対勝てない「岩下の新生姜」の如く、清純派から極妻へと変身した「岩下の新境地」。金輪際現れない一番星の生まれ変わりです。
金谷ヒデユキ
漫才協会所属のお笑い芸人。そして81プロデュース所属の声優です。
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