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あの頃を思い出させる話題のv系バンド「色々な十字架」 1stアルバム「少し大きい声」

 みなさんは、ノスタルジーに浸りたくなったことはありませんか?
子供の頃の思い出、若かったころの思い出、甘酸っぱかったり苦い思い出、多々あると思います。
日々が過ぎていく中で様々な変化があり、周りも自分も時代に適応して変化していくものです。
そんな中で、懐かしいあの頃に思いを馳せたくなること、ありますよね?
音楽の話をすると、V系も時代が進んでいく中で様々な変化がありました。
「最近のV系も好きだけど、90年代の頃の雰囲気が好きだったなぁ」
「昔のバンドは好きだけど、最近のV系はなんかわからないなぁ」
そんな思いを抱く方も、中にはいると存じます。
そんな方々へ向けて、ユーモアと本気度が混ざり合う、嘘から始まった90sヴィジュアル系リバイバルバンド、「色々な十字架」について、また1stアルバム「少し大きい声」のご紹介をしようと思います。

色々な十字架

「色々な十字架」ってそもそもなに?

 Vo.であるtinkさん(ティンカーベル初野)が発足した、90sヴィジュアル系リバイバルバンド。
2018年のエイプリルフールから、「半分ウソで半分ホントのアーティストをプロデュースする企画」を実施しており、2020年に発足したのがすべての始まり。
当初はエイプリルフールだけの企画だったが、反響が良すぎたためバンドを継続することとなった。
90年代v系最盛期の頃を彷彿とさせる懐かしいサウンドに、tinkさんのふざけつつも本質を突いた歌詞が合わさり、ギャップ感を楽しむことができる、楽しさ100%真剣さ100%なバンドです。
楽曲はメンバーそれぞれ持ち寄りで、歌詞はすべてtinkさんが担当しているようです。

1rdアルバム「少し大きい声」

1.6年生を送る会
 リズミカルなドラミングと囁くようなボーカルで開幕し、メロディアスなギターが炸裂する本曲。
「あーこれだよこれ」と言いたくなるような、あの頃の安心感があります。
サビに入るとギターが控えめになり、ソロではしっかりと聞かせているところも、非常に風情が感じられます。
 歌詞についてなんですが、ふざけているようで、どことなく腑に落ちるというか納得できるんですよね。
私事ですが、小学校の頃目がバキバキのやる気バリバリ先生が何人かいて、行事が終わると揃って涙声で話し始めてて、少し怖かった思い出が蘇ります。
サウンドだけでなく、歌詞でもノスタルジーを感じさせてくれるなんて、なんて素晴らしい曲なんだ・・・

2.蜜
 溢れる蜜を僕は啜って・・・
 溢れる蜜を舌で啜って・・・
というエロティシズム溢れる冒頭から始まる、二曲目.蜜
1曲目.6年生を送る会と連続で、「あーこれだよこれ」と頷いてしまいました。
この文学的なエロティシズム、親には聞かせられないような歌こそが懐かしいV系なんだよねーと感傷に浸っていたら、突然、「木々から樹液が出てるので虫をどかして平気で舐め」始めます。
いや、蜜ってそっちの蜜か。
しかも樹液だけじゃなくて、ガキが仕掛けたバナナトラップまで食べます。
酷すぎる。
僕がもし子供の頃に出会っていたら、間違いなく思い出したくもないトラウマになっています。
ジジィの軽トラにイーブイは描くし、ババァの原付き勝手に売ってるし。
文学的なエロティシズムを感じられると思ったら、樹液とお水が好きな極悪非道な人間の歌でした。
これはまるで、興味本位でエッチなサイトをクリックしたら、突然「登録完了しました。oo万円お支払いください」と表示されて絶望した、あの頃の記憶を思い出させるようなギャップ感です。


3.大きな大きなハンバーグ
 開幕からメロディアスかつ浮遊感溢れるサウンド。
1.6年生を送る会・2.蜜と違い、Vo,tinkさんの低音部分がより垣間見える曲でもあり、「これひょっとしてRouageの新曲?」と脳が勘違いしてしまいました。
よくよく聞いてみれば、相変わらずジジイとババァに不必要に辛辣だし、ガキがせっかく釣ったニジマス勝手に食うし、知らねぇババァを柔道の大会に勝手にエントリーしてます。
全然Rouageの新曲じゃなかったです。
そりゃそうか。
でもサウンドは本物です。


4.TAMAKIN
 メロディアスなギターサウンドからイントロが始まり、掻き鳴らしながら疾走していく「TAMAKIN」
この曲は、どことなく00年代中盤を彷彿とさせます。
今までの楽曲とも違い、歌詞も良くて

傷付いて覚えなきゃ
前には進めなくて
信じてるモノさえもいつからか
終わり探してたよ
僕は君とは違って
君はでも僕に似ている
僕はそばにいると誓って
君は無邪気に笑ったね

滅茶苦茶真面目じゃん!この曲最強すぎる!と思ったら

TAMAKIN…

はい。
そうですよね。
今までふざけまわしてたんだから、この曲もふざけてますよね。そりゃ。
まぁでもキャッチーでサウンドは当たり前にいいし、TAMAKIN以外はふざけてないので、初めて聞く人にはお勧めできるかもしれません。
唯一の欠点は、キャッチー過ぎてサビを覚えてしまったものの、最後に「TAMAKIN」で締めないといけないので、日常生活に支障が出る可能性があることです。


5.花言葉がうまれる会
 白系を彷彿とする、空間を漂うような浮遊感溢れるイントロから始まる「花言葉がうまれる会」
全体的に幻想感漂うサウンドになっており、MVも白を基調とした映像になっています。
歌詞のほうは相変わらずで、ありもしない花言葉を連呼していく内容になっています。

「人のキャンプ混ざってあげる」
「全部のメシ薫製にする」
「マラソン中パン差し入れる」
「ゴールで焼きそばも持たせる」


そんな花言葉あるわけありません。
「花言葉ってつければ何でも許されると思うな」
という花言葉。


6.機械じかけの変態~ラケット女王様~
 インダストリアルロック感満載の「機械じかけの変態~ラケット女王様~」
初見時、「いやこれもうマリスのILLUMINATIやん」と思ったんですが、よくよく聞いてみたらもう少しロック感というかザクザクがあって違うかもーと思い記憶を辿ってみたら、Rouageの「エゴノカタマリカタマリノエゴ」ぽさがありました。
歌詞はドMがひたすらしばかれまくったり、資格の勉強をしています。
全身機械になったり、ガソリンになったり、ロボットになろうとしたり、ドMの探求心って恐ろしいですね。
ふと思ったんですが、機械だのロボットだのが歌詞に垣間見えるのって、”工業的”(インダストリアル)だから?
まさか。。。まさかね。。。


7.凍らしたヨーグルト
 ノイジーで歪んだサウンドと幻想的でメロディアスなサウンドが並行的に進行していく「凍らしたヨーグルト」
爽やかさのあるアルペジオや、所々哀愁が感じられる部分もあり、緩急が利いた楽曲になっています。
ところで、これヨーグルトの歌じゃなくてかき揚げのうたですよね?
知らねぇババァの買い物カゴにかき揚げ入れたり、悲しんでる親の涙をかき揚げに入れるし、ヨーグルトって単語は歌詞に1回しか出てないです。
最終的には船(おみこし?)を盗むし、もうヨーグルトとは関係ないかき揚げと神輿の歌になってます。


8.グローリー・デイズ
 かなりキャッチーでポップ思考の強い楽曲になっている「グローリー・デイズ」
清涼感溢れる印象があり、初夏の夏フェスで若者に絶大な人気のある、最近流行りの若手バンドとかが演奏してそう。
全然関係ないですけど、ちょっとサイレントサイレンっぽくないですか?
「似たもの同士寄り添っていこう」というフレーズが多用されており、協力して生きていこうという思いが込められた楽曲である印象です。

が、
「水族館のペンギンやイルカ用のエサ勝手に食う者同士」
「外来魚を平気でこだわりの池に放しちゃう者同士」
「知らねぇジジィの軽トラゴールドに塗って勝手に売る者同士」


そんな人はこの世に存在しないと思います。
なので、寄り添いあって生きてなんていけないですよ。

「水族館の水を飲んだことのある者同士」
なら、もしかしたらいるかもしれませんが。。。


9.スイミーはそういうことではないです
 哀愁漂うイントロから始まる「スイミーはそういうことではないです」
冬の景色が浮かぶ印象で、どことなくL'Arc〜en〜Ciel感が溢れる楽曲になっています。
歌い方までやけにねちっこくて、ちょっとhydeさんに寄せてますよね、これ。
歌詞は、解釈が違いすぎるスイミーを体で表現した結果捕まってしまった人物がメインになっています。
いや、解釈が違いすぎるスイミーを体で表現した結果捕まってしまった人物って自分が書いていてよくわかりませんが、間違ってはいないはずです。
 スーツの中で服を脱ぎ捨て、裸になってパージしてしまった、そんなL'Arc〜en〜Cielを是非皆さんも一緒に楽しんでみませんか?


10.ご飯が食べられる古書堂で
 どことなくポップ強めのGlay感がある「ご飯が食べられる古書堂で」
キャッチーかつノリやすいだけでなく、どことなく哀愁も漂う世界観が構築されており、ライブのアンコールや最後目で演奏したら盛り上がりそうな楽曲です。
 ご飯が食べられる古書堂にある、「色褪せた両津の本」「まっ黄っ黄の美味しんぼ」を手に入れるべくスポーツ刈りにしたり、ロナウドになりたい人間の歌。
 「ご飯が食べられる古書堂」って、これ要は「どこの町にもある定食屋」ってことですかね。

色褪せた両津の本
まっ黄っ黄の美味しんぼ

は、昔ながらの定食屋って漫画とか置いてたりするし、

チャーハンに変えたくば挨拶はしとけ
あの店のババァは内緒でやってくれる

っていうのも、交流しておけば人情で対応してくれる昔ながらな定食屋らしいエピソードな気がします。
まぁ、「色褪せた両津の本、まっ黄っ黄の美味しんぼ、持ち出して読み終えたら売ってお小遣いにする」人間に人情もクソもないんですがね。


11.良いホームラン
 哀愁漂う鍵盤のイントロから始まり、鳴きのギターサウンドを響かせながら進行していく「良いホームラン」

水族館のおさかな平気で海に全部逃がします
知らねぇババァの原付勝手に人に売ります
知らねぇババァの腕にデジモンのタトゥー入れます
市民プールのお水、生け簀や下流のお水平気で全部飲みます
人ん家の金魚平気で食います
ちびっこ広場で遊ぶガキにデュエルで勝って泣かしてザコと呼びます
平気で人のセーブデータ消します

サウンドだけでなく、今までの楽曲とは比べ物にならない、残虐非道な歌詞に注目が行きます。
特に、「知らねぇババァの腕にデジモンのタトゥー入れます」なんて、常人では考えられない、社会的に逸脱した人物がする行為です。
年代的に全くわからない刺青を入れられるなんて、苦痛以外の何物でもありません。
せめて年代的に魔女っ子メグちゃん辺りにしてあげてほしいです。
こんな残虐的な歌詞も、音楽的多様性で溢れていた、90年代V系のあの時代を思い出させてくれる一つの要素になっています。(本当だろうか)


さいごに

つらつらと長く書いてしまいましたが、色々な十字架というバンドは
90年代V系を思い出させてくれる懐かしいサウンドとヴィジュアル、ユーモアありの詩的な歌詞
のギャップが魅力的な、ある種徹底した世界観が構築された新時代のV系バンドです。
よろしければ、話題になってるこの機会にいかがでしょうか?
あなたも一緒に、かなり耽美な世界で、一緒に水族館の水を飲みませんか?


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