美しくなることをやめた。
美しくなりたい。思っていました。
物心ついた頃からずっと誰かに憧れている。
知らないの人ことが気になって毎日携帯を見つめては、翌朝起きた時にだけ眼が疲れていることに気づく。
私は、とても私になりたいし、とても私ではない誰かになりたいと願っていて、残念ながら誰にもなれずにいます。
美しくなりたい。おばあちゃんみたいに。
久しぶりに実家に帰って祖母にそう伝えると、
化粧もせんと、毎日毎日土をいじって野菜を作ってるだけよ、美味しい味噌汁くらいしか作れん私のどこが美しいん?
と笑った。皺が目から頰まで綺麗な曲線を描く。
野菜は嘘をつかんから好きや。
祖母はそう言ってまた笑った。
あの日から私は美しくなることをやめた。
これから旅に出る。地球に抱きしめてもらおうと思っています。
水に逢いにいく。風と緑にも逢える。
そしたらきっと今日よりも。うん。
生ひ優ると信じてる。