VTuberをどうコンテンツ化していくか〜「四月一日さん家の」から考える~
先日、史上初のVTuberドラマ「四月一日さん家の」が放映された。今作の特徴はVTuberでドラマをするというところにある。一見、アニメのように扱われがちなVTuberであるが、その本質はアニメとは全く違う。今回はVTuberの特異性を考察しながら、VTuberのコンテンツ化について迫っていきたい。
「四月一日さんの家の」のイノベーション
VTuberなのにドラマ?と思う人も多いかもしれない。しかし、VTuberファンにとっては「これこそ待っていた!!」と思っただろう。僕もその一人だ。
今作の特徴は一貫してドラマという体を守っているところだ。まず、「四月一日さん家の」はドラマ枠として放映される。テレ東がこの後、VTuberのドラマをさらに続けていく気があるということが見て取れる。
そして、監督やプロデューサーがドラマ畑出身であるということも忘れてはならない。メタ的な視点になってしまうが、VTuberの撮影はアニメ制作というよりもドラマ制作に近い。今回のノウハウを生かしてVTuberのドラマという新たなイノベーションは今後もますます発達していくと思う。
なぜVTuberはアニメじゃなくてドラマなのだろう?
VTuberにいたってはアニメとして制作されるよりドラマの方がしっくりくる。今回はそれについて考察していこう。
先行研究は素晴らしいので是非時間があれば呼んでほしい
VTuberだけに用いられる言葉として魂という言葉がある。一般的な中の人と示す対象は同じであるが、VTuberが中の人と呼ばれないのはキャラクター(アバターとも呼ばれる)に対して魂が貢献する度合いが全く異なるからである。
アニメで考えてみよう。まず、中の人がキャラクターに声を当てる。この場合、もちろん中の人にも人格は存在するが、一方でキャラクターにも人格は存在する。さらに言えば、中の人のアバターも存在するし、キャラクターとしてのアバターも存在するわけだ。(中の人のアバターという考え方も捉えにくいかもしれないが、バーチャル新時代へと変貌していくこのご時世、私たちは、現実世界ではリアルのアバターを着て生活していると考えなければならない)
つまり、初期状態では一つのキャラクターで二つの人格が存在していると言える。しかし、その共存性を排除して、キャラクターの人格に対して中の人が合わせるのがアニメだろう。中の人は決められたセリフを読み、キャラクターの心情に寄り添うことでキャラクター内の人格を一つにしている。アニメの場合、人格もアバターもキャラクターである。
キャラクター×キャラクターと表記ししてみよう。
一方、VTuberはどうだろう? VTuberのキャラクターには人格が存在しない。
それでは、RP(ロールプレイ)はどうかって? 確かにRPを行う上でキャラクターの設定を定める。しかし、RPのキャラクターとして行動選択を行うのは誰だろうか? 中の人(便宜上中の人と呼ぶ)だ
つまり、行動選択をするうえで中の人の役割は非常に大きい。このように考えると、VTuberは、中の人の人格にキャラクターが合わせると考えることができる。この点においてアニメと真逆の構図が見て取れる。VTuberの場合、人格は中の人であるが、アバターはキャラクターだ。
中の人×キャラクターという形だ。
バーチャルさんはみているに感じた違和感
バーチャルさんはみているを知っているだろうか?2019年1月から3月までTOKYO MXにて放送されたアニメである。
先ほどの論理を使用すると、バーチャルさんに感じた違和感も分かる。普通のアニメと人格とキャラクターの構図が違うのだ。この点において、奇妙な違和感を覚える。私たちはアニメを見に来ているはずなのに、そこにあるはずのリアリティがない。キャラクターの人格が物語の舞台上に住んでいないのが明白だからだ。一般的にアニメでは中の人の人格は徹底的に隠される。それがアニメ上で表に出てくることはほとんどない。しかし、バーチャルさんは中の人の人格をキャラクターに投影するVTuberがメインキャストのため、キャラクターがていへんだ!といっても、リアリティが全くない。さながらコント番組のようだ。(製作者がそれを狙っていたら申し訳ない)
ドラマを見直してみよう
先ほどの論理でドラマを見てみよう。ドラマの中の人(便宜上、出演者のことを中の人と呼ぶ)にはもちろん人格があるし、リアルのアバターもある。アニメと違うのは、キャラクターにアバターが存在しないことだ。ドラマは人格がキャラクター、アバターが中の人という構図だ。VTuberと真逆である。
キャラクター×アバターと表してみよう。
ドラマと、VTuberを合わせるとどうなるのか? VTuberの持つ中の人の人格がキャラクターに置き換わり、人格もアバターもキャラクターとなる。
キャラクター×キャラクターと変化する。
これはアニメと同様の構図に変貌する!
私たちは違和感なく見ることができる。
このような構図を理解するとVTuberのドラマがアニメ化よりも受け入れやすく、理解しやすいということが分かるだろう。同じ論理でVTuberが声優を演じるのも違和感を覚えにくい。
VTuberは既存の二次元キャラクターではなく、新しいタイプのタレントと考えるのが良いのかもしれない
結論:今後もVTuberのドラマを楽しみにしてます!!!
(今回の論考で違和感がある場合はどんどんコメント欄に記入お願いします。 VTuber論議に花を咲かせましょう)