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街歩きの沼 パリ

パリに出会ったのは、もう十分大人になってからだ。それまでは行ったこともないくせに「パリ?そんな手垢のついた観光地、わざわざ行かなくてもいいんじゃない?」と思っていた。そんな私は、一瞬でパリの虜になる。

ある時友人がパリに住むことになり遊びにおいでと誘ってくれた。彼女に会うために出かけたパリは魅力的すぎて 一歩足を踏み入れただけでノックアウトされた。 手垢のついた観光地?とんでもない! どこを見ても美しく、どこを見ても絵になる。何もしなくても、ただただ街を歩いているだけで楽しい。いい年になってから パリに出会えて本当に良かったと思った。物事の分別がつかない若い時にこの街と出会っていたら きっとこの街にいたいだけのために、身を誤っていたんじゃないかと思う。人生を破滅させるかもしれない魅力がパリにはあった。

その後 パリには三回訪れた。最後に行ったのは2016年の秋だった。一週間 滞在型のレジデンスに泊まって、市内のあちこち散歩した。同じ宿に泊まっていた見ず知らずの日本人女性に この一週間で他にフランスのどこを訪れたか聞かれ、ずっとパリですと答えると、目を丸くしてマニアックですねーと言われた。その時初めて自分のパリに対する愛情が普通じゃないんだと気づいた。

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普通の花屋さんがこんなにオシャレ。街なかを歩いていると、普通のパン屋さん、普通の八百屋さんがあまりに素敵で、全店舗写真を撮りたくなる。知り合いの建築士が初めてパリに行った時 3歩歩いては写真を撮り、2歩歩いてはまたカメラを構えるという動作を繰り返していたそうだが、よく気持ちがわかる。本当だったら私もそうしたい。あまりに無防備でスリ被害に遭いそうなので、しないけれど。

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セーヌ越しのエッフェル塔。 エッフェル塔は繊細で まるで手の込んだレース編みのようだ。それでいて近寄ると精緻で大きな構造物だ。

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今回は左岸のサンジェルマンデプレ教会の近くに泊まった。比較的治安も良く安心して歩けた。

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ダントン像。颯爽と往く手を指差しフランス革命が始まる。我らがダントン、銅像として後世に残る。

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オルセー美術館のミュージアムレストラン。天井のフレスコ画(?)がすてき。内装が古典的でゴージャスなのに、椅子が色とりどりの透明プラスチック。まるで床に宝石を散りばめたようだ。現代的な椅子のチープな素材と豪奢でクラッシックな内装が色彩で融和していて違和感がない。モダンアートを感じるおしゃれな組み合わせ。

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こうして過去のパリの街歩きを思い出すと、行きたくなってくる。コロナで思うように外に出かけられないのでなおさらだ。パリは夜明けが遅く朝食の時間になってもまだ暗いカフェで 温かくたっぷりとしたカフェオレとサクサクしてバターと塩味の効いたクロワッサンをまた食べてみたい。

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