保険金受取人を指定している場合において、生命保険金請求権は相続財産に含まれるか
取り上げた判例
最判S40.2.2民集19巻1号1頁事案の概要等
本件養老保険契約において保険金受取人を単に「被保険者またはその死亡の場合はその相続人」と約定し、被保険者死亡の場合の受取人を特定人の氏名を挙げることなく抽象的に指定している場合でも、保険契約者の意思を合理的に推測して、保険事故発生の時において被指定者を特定し得る以上、このような指定も有効である。
そのため、特段の事情のないかぎり、このような指定は、被保険者死亡の時における、すなわち保険金請求権発生当時の相続人たるべき者個人を受取人として特に指定したいわゆる他人のための保険契約と解するのが相当である。
そして、保険金受取人としてその請求権発生当時の相続人たるべき個人を特に指定した場合には、同請求権は、保険契約の効力発生と同時に同相続人の固有財産となり、被保険者(兼保険契約者)の遺産より離脱しているものといえる。
そうすると、特段の事情の認められない本件においては、本件保険金請求権が同相続人の固有財産に属することになり、相続財産ではないといえる。結論
したがって、被相続人が自己を被保険者とし、保険金受取人を特定の相続人と指定した場合、指定された者が固有の権利として保険金請求権を取得するので、同保険金請求権は、相続財産に含まれないと判断。