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時間切れ!倫理 64 旧約聖書 楽園追放

(イ) 楽園追放
 アダムとエヴァ、最初にこの二人を神様は作りました。二人は何をして生活しているかというと、楽園に住んでいるので働かなくてもいい。みなさんも知っているエデンの園です。
 ここには実のなる木がいっぱい生えていて、お腹がすいたら果実をもいで食べたらよい。働かずにプラプラ遊んでいればよい。神はこの二人にいう。「いいか、お前たち。ここにはたくさん木の実が成っているからどれを食べてもよい。ただし、エデンの中心に知恵の木がある。この実は食べたら死ぬぞ。絶対食べるな」。
 そんなふうにいわれるので、二人は「はい分かりました。」ということで遊んで暮らしているのですが、そこに蛇が登場する。蛇がエヴァにいう。「あなたはどれを食べてもよいのですか。」「はい、ただし真ん中に知恵の木の実は食べてはダメといわれました。」「何故ですか。」「神様はこの木の実を食べたら死ぬといわれました。」すると蛇は「それは嘘ですよ。死にませんよ。食べてごらんなさい。」という。そう誘われて、エヴァは食べてしまう。自分だけ食べるのは嫌なので、あとでアダムにも「あなたも食べたらどう。」結局アダムも食べてしまった。
 死ぬぞといわれていたけれど、二人は死ななかった。神の言葉は嘘だったのですね。しかし、知恵の木なので、食べた二人には知恵がついてしまった。二人は互いの姿を見て恥ずかしくなります。まだこの段階では二人は素っ裸だったのですね。知恵がついて、急に恥ずかしさを知った二人はイチジクの葉っぱを取って自分の前を隠した。
 神がエデンを見てみると、二人が体の前を隠している。「お前たちにどうしたのだ」ということで、知恵の木の実を食べたことがばれてしまって、約束を破った罰として二人はエデンの園を追放される。さらに、男であるアダムは、地面を這って労働しなければ食べ物が手に入らなくなった。女であるエヴァは出産の時にひどい苦痛を味わうようになった。蛇は手と足を取られて、地上をはい回る生き物になった。そういう話になっています。
 ここにはユダヤ教の典型的な要素が全部ある。神が人間に一方的に約束をさせ、それを破ったら罰をあたえるという話です。約束を破っても反省文を書けば許してもらえるとか、謹慎3日で原状復帰とか、そういう甘いことはしない。回復しない罰が下るのです。『旧約聖書』『新約聖書』の「約」はこの約束の約です。

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