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「死んじゃいけない星」

*以下は大槻香奈個展「死んじゃいけない星」(2024年4月27日〜5月6日・白白庵)のための創作テキストである。

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16歳の蛹化。

自分の人生を誰からも祝福されていないと感じる瞬間に、だから絶望なんかしないで、世界の全てをひっくり返さなければならないと思う。
私自身を、この閉鎖的な環境を、腐り切った現代社会を… でもどうやって?

安心して蛹になれないこの時代に、どんな大人になればいいのか分からないまま自分の身を溶かしていく。その辛さはとうてい自分ひとりでは抱えきれないのに、結局最後はいつも自分ひとりしかいない。

人は死んでしまうんだけどな、と思う。

SNSで、ニュースの向こうで、目の前で、たった今もしかするとだ。誰かと会う時にはいつもこれが最後になってもいいようにと思うし、誰かと別れる時に「またいつか」みたいなことを言ったとしても本心では思わない。生きているなら強がりでも今この瞬間がいつでも最高であって欲しいと思う。そんな永遠性なら手に入れたいから、やっぱり私は強くありたい。

自力で抗えるはずもない現象の中に生きて、自分が圧倒的に負けてしまうこの世界で、自分の感情を何かにぶつけるでもなく、ただそこに置き去りにするだけで何てことないように振る舞える時、少しは大人になったのかもしれない。でも本当にそれでいいんだろうか?

生きているだけでただの偶然にいろんな責任が付き纏ってしんどい。全部手放せば楽になれるかといえばそうでもないことぐらい知っているけど。もっと根源にあるのはただ自分という存在の救われなさ、寂しさであって、運命を受け入れる力があったとて、その先に何があるか見えない怖さと、いつもどう折り合いをつければいいのか分からない。

祈りが何の効力を持たないとしても、祈りがなければ前には進めないことを知ったから、せめて夢をみることを覚えたのだった。
蛹の中はお母さんの腕の中。たぶんぎりぎり、ずっとそこにいる。夢しか見れない人間のことをずっと馬鹿にしてきた。けれども絶望の中にいる今、夢をみることは美しいと思う。そのために生きて言葉にすれば、君がその夢に触れることもできる。だから、こんな時こそ話がしたい。



現代に取り残されたあなたがたの、まだ終わらぬ10代は、誰かの夢になるまでこの場所に留まり続ける。終わりの見えない蛹化過程。どこにも行かないままの、この永遠を愛でている。

その日その瞬間だけ、希望として機能するかもしれない言葉が確かに存在するから、時にはそんな風に、一瞬のための儚い言葉のように、感情的に夢を描いてみてもいいかもしれないと思う。生きろとは言わない。けれども、誰も死んでくれるな、と。


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大槻香奈個展「死んじゃいけない星」

会期:2024年4月27日~5月6日(※木曜休み)
時間:11時~19時
場所:白白庵(http://www.pakupakuan.jp

【個展予告配信】
配信プラットフォーム・シラス「大槻香奈の芸術お茶会」チャンネルにて↓↓
2024年4月16日19:30〜21:30
番組購読 : 880円(税込)

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