湖に浮かぶ蓮の葉と花とおだやかな心
湖が隠している数々の素敵なもののなかに、いきいきと生きている魚や、温かい水の温度などがありますが、外には顔を出す蓮があります。
森と湖の国フィンランドに住むようになってから、湖というものが私の人生のなかで、ぐっと身近なものになっていました。日本では大きな湖がいくつかありますが、フィンランドにはちっぽけな湖から海みたいに大きな湖まであり、サウナやコテージが近くに建てられていることから、そこで泳ぐという機会がはるかに多くあります。泳いでいてよく見かけるようになったのが、湖の上におだやかに浮かんでいる蓮の葉と花なのでした。
蓮は岸のすぐそばに生えていることが多いので、泳いでいるとたまに足に絡まったりして、顔をを出している花や葉っぱの部分からは考えられないほど長い茎が土まで伸びていることがわかりました。湖の底から結構な距離があっても、「どうしても地上に出たいんだ!」という、思いが伝わってきました。手漕ぎボートの上から蓮を見ると、「ああ良かった」と満足でいっぱいな表情の花を咲かせているので、こちらまで安らかな気持ちになりました。
どうして蓮はこんなに暗い湖の底から、太陽のふりそそぐ地上があることをわかっているんだろうと不思議に思うようになりました。遺伝子によって、地上を目指して生きることが導かれているのかもしれないですが、それにしても、蓮の持っている地上に出ていきたいという湧き上がる思いは、大きな元気を与えてくれます。なぜあれほど蓮の花が美しいのか、それは、何も見えないところから信じ続けて、願いを叶えたからなのかもしれないですね。
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