いつもメッセージを伝えている傷の跡
人には色んな形の傷の跡があります。特に目に見えるものは、ただそこにあるだけでとても強いメッセージを持っていると思います。
小さな頃の傷は、あわてんぼうだったところを教えてくれるかもしれません。大きくなってからの傷はうっかりしていてできたものかもしれません。私はここ数年、もうひとりの自分のように思っている傷の跡があります。その傷の跡は、その当時の「時」を凝縮したシンボルのようです。何の前触れもなく私の人生にやって来たので、最初は違和感しか感じませんでしたが、今となっては「これがあるから私なんだ」という感じがします。
傷というのは、楽しいときや嬉しいときにできたものというより、辛かったり痛かったりした体験と共にできたものが多いと思います。そういった体験の証なのかもしれません。毎日目にするし、他の健康な部分よりも少し敏感にできているので、そのときのことをふとした瞬間に考えます。私の傷の跡は、その当時抱えていた病気とその痛さによってできたものなので、よく「自分を大切にできているか」を確かめるために見つめることがあります。
「こんなことがあったよね」と、もうひとりの自分である傷の跡から毎日メッセージをもらうので、「あのときは気づけなくてごめんね、これから楽しいこといっぱい届けるね」と心のなかで返事をしています。いつも同じ掛け合いなのですが、ちょっとした約束の言葉として私からもメッセージを届けるようにしています。今は、傷の跡は辛かったことを思い出させるより何倍も、私らしいことのひとつとしてたくさんの自信を持たせてくれています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?