中国現地で食べたほうが旨いもの(3)
今回は深圳に16年住んだ著者が、愛した客家料理の紹介。メニュー名は「家猪八刀湯」で、注文するときは「家猪」を付けなくてもたいてい通じる。豚のハツやレバー、胃など8種類の内臓をごった煮したスープ。客家料理店には、必ずある定番料理。
ふと気づいたが、日本人の紹介する中国料理の9割以上が「店屋もの」だろう。このスープ、店屋ものも外れなく旨いが、客家人の自宅でご馳走になると、さらに奥ゆかしい。家庭料理のこいつは、猪臭が濃厚で、身体が温まるかんじ。お婆さんがいる家庭で、遭遇率が高い。
ひとくちご飯を入れ、蓮華でサラサラと犬食いするとまた格別で、オカワリしたら、「それが伝統的な食べ方」と喜ばれたものだった。
ちなみに、この「ぶっかけ飯」の薬味は、パクチーがベストである。長ネギは合いそうで、合わない。
(白飯へのぶっかけ行為は、客家料理店ではなく「八刀湯」専門店なら許される傾向がある。相場は15元ほど *2020年現在相場)
客家料理といえば、この客家让豆腐も有名。客家料理店に入れば、とりあえず頼む定番料理だが、ビールのツマミには適さない。
(個人的には、食事の後に、白酒必須の激しい飲み会が予定されている時は、この客家让豆腐が役に立つ。胃壁の防御役として)
客家料理で酒のツマミになるなら、盐焗鸡が手堅い。直訳すると「塩焼き鶏」。日本の中華料理店では、その焼き方に秘密があることを匂わせ、「経典」とか「古法」とか冠言葉が付いて有り難がられているが、なんのことはない半羽で1000円しない定番メニューである。
個人的に、もう1品、ツマミを頼むなら、炒番薯叶である。サツマイモの茎付き葉っぱ炒め。すこし塩辛くて、なんとなく貧乏くさい料理。食感がちょっとぬるぬるしている。
もともと客家人は、中国北部から移住を繰り返してきた民族。各地を転々とする生活で欠かすことのできない、漬物や乾物などの保存食を使った塩辛いメニューやお肉メインのスタミナ系料理が多い。よって、使う野菜も独特。
深圳で耳にする、普通語でも広東語でもない中国語といえば客家語というく
らい大衆飯業界では、湖南料理や四川料理に次ぐ、身近な存在。
土鍋料理なら、酿苦瓜。前出の豆腐料理と、味の系統が似ているので、二者択一。苦瓜の風味が、また南方系の薄いビールに合う。
肉系のツマミがもう1品ならこれ。三杯鸭。呑兵衛好みの歯ごたえ。甘みを抑えた店のほうが、著者好み。
ということで、こじんまりした地元密着型の老舗データを紹介。今どき、ネット予約お断りで、電話予約も難しい(というか電話に出ない)ので、見つけたらラッキーということで。
兴宁客家菜館(梅村路店)
ADD:深圳福田区上梅林梅村路22号(梅华路交差点)
OPEN:11:00-22:30ぐらい