しあわせのパン
かなり前に視聴した映画。
何となくまた見たくなって昨晩再度視聴。
【ざっくり過ぎるあらすじ】
北海道洞爺湖の岬に、東京から移り住んだ水縞尚(ミズシマ・ナオ)と、その妻りえが営む「カフェ マーニ」水縞君の焼くパンとりえさん
淹れる美味しいコーヒーが評判のマーニは、たちまち評判を呼び近所に住む農場経営で子沢山の広川一家、謎のトランクをいつも持っている阿部さん、地獄耳でガラス作家の陽子さん、毎日配達に来てくれる郵便屋さんに憩いの場を設けてくれる。
そんなカフェ マーニには、泊まれるスペースもあり、季節ごとにそれぞれの事情を抱えた遠方からのお客様も訪れる。
そもそも、カフェの名前はりえさんが子供の頃から好きな絵本「月とマーニ」に因んで名付けた。
季節ごとに訪れるお客様の心の氷を水縞夫妻のパンと季節のお料理が癒していく。
そして、りえさんの凍っていた心もお客様とのやり取りや、見守っていてくれる水縞くん、そしてつきうらの自然で癒されいつしかりえさんの心も解けていく。
水縞夫妻を演じたのは夫・水縞君を大泉洋さん
妻・りえさんを原田知世さんが演じている。
大変に失礼ながら、大泉洋さんの俳優さんとしての腕前は素晴らしいし、探偵はBARに居るシリーズも全て拝見していたが、彼を「カッコいい!」と感じたのはこの映画が初めてだった。
(多分バラエティー番組で見た印象が強すぎるんだと思う)
妻を演じたのは原田知世さん(公開当時45歳)
原田さんは本当に透明感が凄くて、とても私と同年代とは思えない可愛らしさ。
どこか、影のある、心の奥底に哀しみの塊のあるりえさんにピッタリで、そこからつきうらの綺麗なだけではない自然にりえさんの哀しみの塊が段々と解されていくのが分かる絶妙な演技をしてらして流石だなぁ。と感じる事しきり。
そして「丁寧な暮らし」ってこういう事を言うんだろな。
ってのを画面上で示してくれていて、憧れるけど、大雑把な性格の筆者には真似出来ないなぁ笑と思いつつ。
この映画でも筆者の好きな美味しいパンやコーヒーやお料理が人々の心を癒やしてくれる。
その、美味しい食べ物や飲み物を口にして解ける表情が堪らない。
心に凍ってしまった何か?を抱えている人の表情は独特だ。
その、塊全てを一瞬で溶かす事は到底出来ないけれど、ほんの少しの間でもその人達の顔が綻ぶ一瞬を目にすると、同席している誰もがその綻んだ表情に癒される物なのだ。
筆者は食べる事も大好きだけど「自分が好きな人達」にご飯を作る事も大好きだ。
きっとそれは、自分の作る料理を口にして綻ぶ人々の顔が見たいからだけだ。
ただ、それだけ。
この映画の中で水縞君はずっと欲しかったたった一つの「モノ」を手に入れる事ができる。
それはきっと、水縞君が諦めず、挫けず、彼なりの情熱で、その欲しかった「モノ」を包み込み、温め、彼の視点で見たことを信じて信念を貫き通しつつ、決して強要はせずに、辛抱強く待っていられた彼の強さからだろうと思う。
この、水縞君を俗に言う「イケメン」が演じていたら、きっと「夢物語」でなんの説得力もない映画になっていたのかもしれないなぁ。
と、失礼ながら筆者は思った。
普段から、お茶目さを様々な媒体で爆発させている大泉洋さんだからこそ、現実味を持たせてくれたままで、楽しませてくれた作品。
「夫婦の在り方」を最後冬のお客様で訪れた老夫婦に魅せられ、そして、水縞夫妻は、老夫婦に魅せられた以上の事を彼等へ伝えて、明日に繋げる。
「月が居てマーニがいる。マーニが居て月がいる」
作中にでるこのセリフはりえさんにも、そして観ている観客にもきっと刺さって。
「カンパニオ」と言う言葉もきっと印象に残るだろう。
ぶっちゃけ、この作品を見ようと思った時は実はあまり期待していなかった。
「また、マッタリしたものを流しておけばいいんでしょ?ムービーかもなぁ」と、思いつつ鑑賞した不届き者であるが、そんな思いを120%打ち砕く程に様々なエピソードが、心に響き、出てくる料理が気持ちを温める。
ついでに言えば、筆者のもう一つの趣味である編み物が舞台が北海道なので、そこかしこに出てくるが、それがとても自然で素敵。
こんな風に暮らしに素敵に溶け込めるニットはなんと素晴らしいのだろう。
と、感じました。
私は最後りえさんの様なサプライズは出来ないけれど、それでもいつか、カンパニオから家族へと繋がる人といつか出会って一緒に暮らせたらなぁ。。と、また夢みたいなことに希望を持ちたくなる様な、そんな素敵な映画でした。
今は様々な配信媒体にて鑑賞可能です。
ご興味持たれた方は是非!
しあわせのパン
監督・脚本: 三島有紀子
公開日: 2012年1月28日
出演: 大泉洋・原田知世
主題歌: 矢野顕子with 忌野清志郎
「ひとつだけ」
上映時間: 114分