ボイスドラマシナリオ:「パーティーの後片付け」
【前書き】
皆様、お疲れ様です。
カナモノです。
前に「ヱイ藍」というシリーズをやっていたんですけど。
それのスピンオフ的な話です。
少しの間でも、面白いと思ってもらえることを祈ります。
【パーティーの後片付け】
作:カナモノユウキ
《登場人物》
・モリモリ:業者。
・旦那:サラリーマン。
・奥さん:一人娘を育てるのに必死。
高級住宅街の夜中、デリバリーの配達員風男がスクーターを走らせて、特に高級そうな家の前に止まる。
モリモリ:お待たせしました、MORIMORIです!ご注文は〝ピザ6枚〟と〝サラダ4個〟ですよね?
大きな扉に玄関先には防犯カメラ。変な奴は近づけないような雰囲気、落ち着かづに待ってしばらくして扉が開く。
旦那:はいはい…お待たせ、ちょっとごめん。中入ってもらっていい?ちょっと立て込んでいて。追加料金払うから。
モリモリ:え?はい…まぁ量多いっすからね。ちょっと待ってくださいね。(スマホを操作。)…よし。じゃあ、失礼しまーす。
豪邸の中に入り、リビングに向かう。
モリモリ:あぁ…確かに立て込んでるっすね、凄いパーティーじゃないっすか。
旦那:そうなんだよ、もう騒ぎまくってさ…ちょっと広げるの手伝ってもらっていい?
モリモリ:いいっすよ、じゃあこっちのテーブルで良いっすか?
旦那:オッケーだよ、申し訳ないね。こんな夜中に、雑用まで。
モリモリ:いやいや、仕事ですし。美味しい話っすから、こんなに頼んでもらえるって。
旦那:何、結構儲かるの?こういう仕事って、俺もやってみたいんだよね。
モリモリ:いや…あんまりお勧めできないっすよ?場所によっては結構リスク高いですし。…ここみたいな。
旦那:ハハハ。でも今ドローンとかさ、色々便利になってるじゃん。そんな中やってるんだから、貰うもん貰ってるでしょ。
モリモリ:まぁそれなりっすよ、あれ?〝奥さん〟も居るんすね。お疲れっす。
奥さん:あ…何、手伝い頼んだの?こっちの〝パーティー〟なのに。
旦那:うん、こんなにあるんだからさ。時間かかるだろ?追加料金で何とかなるんだし。
奥さん:えぇ?もう準備で大分お金使っているんだからさ…まぁ仕方ないか、急がないとだし。ごめんね、こんな時間に。
モリモリ:いやいや、結構この時間にやってる人多いっすよ。
奥さん:え?そうなの?結構早い時間からだと思ってたわ。夜の方が静かだし、近所迷惑で…ねぇ。
モリモリ:あ、何かその静かな状況でやるのがいいって言う人増えてるみたいで。
旦那:なぁ、ちなみに君たちって委託業者なんでしょ?一日何件ぐらいさばいてるの最近は。
モリモリ:あー、本当にまちまちですけどね。そんなに多くはないっすよ。僕で午前2軒の昼3~4ってとこっす。
旦那:そうなんだ。…ってちょっと!お前、そこの部分さ。もう少し細かくできない?後片付け大変だからさ。
奥さん:え~?この辺ってこれぐらいの方がちょうどいいんじゃないの?
旦那:いやいや、もっと細かくないと喜ばれないよ。
奥さん:え~、せっかく四等分に切ったのに。…そしたら、そっちのヤツかしてよ。こっち切りにくいから。
旦那:え?はいはい、こっちな。(レーザーナイフを渡す。)本当こういう時に量が多いと困るよな。
モリモリ:最近これぐらいの量が普通っすよ?でも、欲張って〝サプライズ〟バレちゃう人も居るし。まぁ良し悪しっすね。
奥さん:あ!ちょっと!もう、跳ねた!もー、中に入ったらシミになるじゃん。
モリモリ:あ、それ炭酸水とレモンで結構落ちますよ。俺それで大体綺麗にしてるんで。
奥さん:炭酸水とレモンね、ありがとう。…にしてもさ、こういうの毎日さばいてるの?凄いね君。
モリモリ:仕事だし、AI社会では仕事選べないんで…出来る仕事は何でもしないと。闇バイトでも何でもね。
旦那:おいおい、言葉に気を着けてよな?最近そう言うミス増えてるらしいじゃん。
モリモリ:あぁ、大丈夫っすよ。うちの会社ちゃんとしてるんで。…あ、こっちの〝ピザ6枚〟準備出来ましたよ。
奥さん:ありがとう、良かった…やっぱり男手が一人いるだけで助かるわ。
モリモリ:奥さん、そっちの〝サラダ〟手伝います?
奥さん:じゃあお願い。あ~良かった。…追加料金とチップ奮発しないとね。
モリモリ:お!ありがとうございま~す。マジ助かるっす!
旦那:はぁ…にしても、〝死に過ぎ〟だろマジで。…あっ。
奥さん:ちょっと!やめてよ!警報なったらどうするの!?この前だって通報騒ぎになって逃げたじゃん!
モリモリ:あぁそうだそうだ、先に言えばよかった。今は大丈夫っすよ、一旦音声警備システム切らせてもらってるんで。
旦那:え!?そんなこと出来んの!?
モリモリ:うちの特別製で警備一時解除アプリがあるんすよ、だから自由に喋って下さい…でも隠語は使いましょうね。念の為。
奥さん:なんだ~、ビビッて損したわ…にしても大変だね。〝ピザ〟とか〝サラダ〟とか。
旦那:本当、自由に死んでイイていう〝ハッピーチョイス制度〟だからってさぁ…こういうのもやってくれよなぁ。
奥さん:まだそこまで出来ないってニュースでやってたよ、解体用ロボットはまだ調整中だって。
モリモリ:まぁそのお陰で、死体処理の手間を闇業者が裏から手を廻して、僕たちがこうして金貰えるんすから。
旦那:それも来年どうなっているか、人間の仕事もだいぶ減ってきたしな~。
奥さん:私達低所得者はどんどん生き難い世の中になるね…まぁ、仕方ないけどさ。
旦那:だから今頑張って、この裏バイトやって稼いで貯蓄してんだろうが。ほら、そろそろこっちも終わるぞ。
モリモリ:よっし!そしたら後はこっちで処理するっすね!臓器の売買の結果は後ほど連絡するんで。
旦那:そうだ。これ回収と補助費用…あとチップね。サンキュー!いや~初めて頼んだけど、いいね回収業者呼ぶって。
モリモリ:こちらこそっす!これからも出来る限りごひいきにオネシャス!そしたら、コレで僕は失礼するっす!
奥さん:ありがとうございました~。…さぁ、貴方帰る準備しよう。
旦那:本当、サラリーマンと主婦しながらこんなバイトしなきゃ行けないって…やべえ時代になったな。
奥さん:…まぁ、こういう時代ってことよ。
【あとがき】
最後まで読んでくださった方々、
誠にありがとうございます。
何か〝闇バイト〟って、どんな時代もきっとあるんでしょうね。
…知らないけど。
では次の作品も楽しんで頂けることを、祈ります。
お疲れ様でした。
カナモノユウキ
【おまけ】
横書きが正直苦手な方、僕もです。
宜しければ縦書きのデータご用意したので、そちらもどうぞ。
【準備中。】
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