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ボイスドラマシナリオ:「旧友からの連絡。」

【前書き】

皆様、お疲れ様です。
カナモノさんです。

今回は今年の夏に出したボイスドラマシリーズ「カナモノ堂 這イ寄リシ者」の第二弾、ざきノたいるさんさん主演の「旧友からの連絡。」のシナリオです。

楽しんで頂けると幸いです。

※コチラを聴きながら楽しむことも出来ます。
 是非、合わせてお楽しみください


【旧友からの連絡。】

作:カナモノユウキ


〔登場人物〕
・小野崎泰平 ※◇
・赤石誠也 ※◆
・長谷川 ※▲


古びたアパート、鉄の階段を響かせいつも通り帰宅する泰平。荷物を置き、コンビニ弁当を袋から出す。

◇「はぁ~、疲れた~。マジ~混みすぎだよ今日…頑張ったこんな日は~♪カルビ弁当~♪」

スマホに着信、画面には久しく連絡を取っていなかった幼馴染の誠也の名前が表示されている。

◇「お、誠也じゃん。(ピッ)はい、誠也?」
◆「たいちゃん…久しぶり。」
◇「久しぶりって、そんな立ったっけ?年始の地元飲み会以来だろ?」
◆「うん…。てか、たいちゃんは、いつも通り元気そうだね。」
◇「お前は、何か元気そうじゃないな?何かあったか?」
◆「…いや、何もないよ。」
◇「いかにもなんかありそうな感じで言われてもなぁ~。」
◆「たいちゃんは、まだ夢追いかけているんだよね…。」
◇「おう!当り前だろ!役者になって、映画に出る!これ以外考えてこなかったからな。」
◆「流石だね、たいちゃん…。」
◇「誠也、お前なんかあったんだろ?言ってみろよ。」
◆「…いや、大丈夫だよ。」
◇「誤魔化すなって、それ結構やばい時の声じゃん。」
◆「いや、本当…大丈夫。」
◇「そうかなぁ…あ!誠也お前近々飲みに行かないか?」
◆「え?…それは…。」
◇「いいだろ?ホラ!前に行った居酒屋!あそこ行こうぜ!」
◆「…ありがとう。」
◇「よし!そしたら…来週の月曜空いてるか?」
◆「…月曜日、きっと…。」
◇「絶対空けとけ、必ず一緒に行こう。」
◆「……うん。」
◇「じゃあ、またな!」

通話を終えて、誠也の声に違和感を覚え心配になる。

◇「誠也…何あったんだろ、前会った時は普通だったよなぁ…。」

再度スマホが鳴るが、次は知らない番号が表示されていた。

◇「今日はよく鳴るねぇ~。(ピッ)はい、小野崎です。」
▲「こちら、小野崎泰平さんの番号でお間違えないですか?」
◇「はい…あの、どちらさまですか?」
▲「自分、中央警察署の長谷川と申します。今お時間大丈夫ですか?」
◇「…はい。」
▲「失礼ですが、赤石誠也さんとはどういったご関係ですか?」
◇「え?…友人ですが。」
▲「最近連絡などありましたか?」
◇「はい、ついさっき。」
▲「ついさっき…ですか?」
◇「…はい。あの何なんですか?一体…。」
▲「あの、ご友人の赤石誠也さんが…先週お亡くなりになっているんです。」
◇「…え?」
▲「一応、自殺の線で捜査を進めているのですが。誠也さんの最後の通話記録が、貴方なんです。」
◇「ちょっと待ってくれ!俺はさっきアイツと会話したんですよ!?」
▲「誠也さんのスマホは私たちが所持しているので…その可能性はないかと。」
◇「いつ会話したことになっているんですか?」
▲「先週の月曜、ちょうどこの時間になります。」
◇「なんだソレ…そんな馬鹿な…。」
▲「あの、今の着信履歴を確認させて頂きたいので、後でお伺いしてもよろしいですか?」
◇「…どうぞ。」
▲「では、後ほど。失礼いたします。」

通話を終えるが、言い知れない恐怖が背筋を走り、直後に混乱が襲う。

◇「…どうして、誠也が…死んだ?嘘だろ…さっき会話したんだぞ。」

三度目の着信、画面には誠也の文字。

◇「…もしもし。」
◆「…たいちゃん?さっきは、ありがとう。」
◇「…おう。…なぁ、誠也お前って。」
◆「たいちゃんさ、さっき言ってくれたよな。〝必ず一緒に行こう〟って。」
◇「…え?お前何言ってんの?」
◆「だから、迎えに来たよ。」
◇「おい、誠也どうしたんだよ…お前、死んだって聞いたぞ?」
◆「今、部屋の入口まで来たんだ。」

扉の向こうから誠也と名乗る人物がインターホンを鳴らす。異質な気配が泰平を襲う。

◆「なぁ、たいちゃん。行こうよ。一緒に。」
◇「ちょっと待ってくれ、誠也!」

強く扉を叩く音が響き、ドアノブを力任せに回し始める。それはもう誠也と名乗る何かだと思う程に。

◆「一緒に行くって言ったのはたいちゃんだよ?だから迎えに来たんだから。」
◇「いや!だから!」
◆「なんだよ、親友だろ?」
◇「なぁ…お前、本当に…誠也か?」
◆「フッ…フフフフフッ、フハハハハハハ、ハハハハハハハハハ!」

―おしまい―


【あとがき】

最後まで読んでくださった方々、
誠にありがとうございます。

このシナリオは自分でやるつもりだったのですが、
ざきノたいるさんをイメージに当てはめた時に寧ろざきノさん向けのシナリオだ!と感じて。演じて頂いて確信したぐらい、ざきノさんの演技は恐怖でした。

不気味な雰囲気が文書に出ていると嬉しいなと思います。

明日の作品もこの【カナモノ堂 這イ寄リシ者】から、「シカヘルさん」と「朗読あんさん」主演の作品を公開いたします。

では次も楽しんで頂けることを祈ります。
お疲れ様でした。

カナモノユウキ


【おまけ】

横書きが正直苦手な方、僕もです。
宜しければ縦書きのデータご用意したので、そちらもどうぞ。


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