フリーシナリオ:「しにがみ」
【前書き】
皆様、お疲れ様です。
カナモノさんです。
今回は死神と青年の一晩のやりとり。
漠然と、温かく。
少しの間でも、お楽しみ頂けていることを願います。
【しにがみ】
作:カナモノユウキ
《登場人物》
・青年 上京してから鳴かず飛ばずで孤独に生きて居た。
・死神 孤独な青年の前に現れた謎の存在。
《六畳一間のボロアパート。桜の木が窓辺に立っている部屋で、青年と死神が命を懸けたチェスをしている…ハズなのだが。》
死神:これで、チェックメイトです。
青年:あー!ちょ、もう一回!ね!お願い!
死神:これで82回目ですよ…いい加減腹くくって下さい。
青年:俺が負けを認めない限り何度でもやるっていったのお前だろ!
死神:そうですけど…。
青年:よし!ならもう一度だ!
死神:本当によしましょうよ、貴方はワタシに勝てない。
青年:なんだよ、お前が死神だからか?
死神:そうでもあるし、そうでもないです。
青年:どういう意味だよ。
死神:貴方、チェスのセンス0ですから。
青年:あー!お前言っちゃいけないこと言ったな!
死神:81回…一週間と22時間33分も我慢したんですから、寧ろよく言わなかったな!ですよ。
青年:それは言わずに居てくれよぉ…。
死神:言わなきゃ終わらないでしょ。それに、ワタシは人の未来が観えます…。
死神:アナタは次のゲーム…13手でチェックメイトです。
青年:ズルいぞ!あ!お前その能力使って俺に勝ってたんだろ!
死神:違います、使わなくても勝って来ましたし。…純粋にアナタがチェスに向いていないんですよ。
青年:ちくしょー………向いてたかったぁ〜。
死神:さぁ、分かったなら…。
青年:ちょ、ちょっと待って!
死神:アナタ最初死ぬことに納得してたでしょ!
青年:いや、最後にさ…お願いあるんだけど…。
死神:もうチェスはやりませんよ。
青年:チェスはもういいから…窓、開けてもいいか?
死神:え?窓ですか…まぁ、どうぞお好きに。
青年:え?今のって…。
死神:たまたまです、さっさと開なさい。
青年:はーい、…ありがと、死神。
(ガラッ)
青年:うわぁ……満開だ。
死神:キレイな夜桜ですねぇ…。
青年:コレが視たかったんだよ…ずっと一人だったからさ、何か自分の最後ぐらい…キレイなもの視て死にたくて…こういうときって、虚しくなるんだな。
両親が嫌いで、こっち来てさ、でも案外一人って辛くて、誰にも何も言えなくて。
他人が怖くて…、だから誰も側に居てくれなくてさ。
味方も、友達も…出来なくて。
気付いたらもう何年もこんなんで。
だから、もういいかなって思って…。
いつも、一人で…。
死神:…もう一回、しますか?
青年:…え?…俺、また負けるのに?
死神:勝つかも、しれないでしょ?
青年:本当に、いいのか?
死神:もう一回だけですからね。
青年:…ありがとう。
死神:どういたしまして。
死神:【せめてこの桜が散るまでは黙っておきましょう、私がアナタの死にたいという心に対しての、死神だということを。】
【あとがき】
最後まで読んでくださった方々、
誠にありがとうございます。
一応自分様に出したボイスドラマシナリオになります。
個人的には好きな設定で。
悪魔とか、死神とか…中二を引きずりまくりと言うか。
この辺の類をよく妄想します。
でもね、中々にもう世の中に出回ってるじゃないですか。
とくに死神系。
だから出すのに躊躇したんですけどね。
結果、出しました。
あ、良かったら声劇とかシチュボで使ってやってください。
そしたら、細々と喜ぶので。
では次の作品も楽しんで頂けることを、祈ります。
お疲れ様でした。
カナモノユウキ
【おまけ】
横書きが正直苦手な方、僕もです。
宜しければ縦書きのデータご用意したので、そちらもどうぞ。
【準備中】
《作品利用について》
・もしもこちらの作品を読んで「朗読したい」「使いたい」
そう思っていただける方が居ましたら喜んで「どうぞ」と言います。
ただ〝お願いごと〟が3つほどございます。
ご使用の際はメール又はコメントなどでお知らせください。
※事前報告、お願いいたします。配信アプリなどで利用の際は【#カナモノさん】とタグをつけて頂きますようお願いいたします。
自作での発信とするのはおやめ下さい。
尚、一人称や日付の変更などは構いません。
内容変更の際はメールでのご相談お願いいたします。
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