ショートショート:「アクマノ、ナマエ。」
【前書き】
皆様、お疲れ様です。
カナモノさんです。
今回は〝悪魔〟と〝青年〟の物語りです。
僕が生んだ物語の中で大好きな二人です。
少しの間でも、お楽しみ頂けていることを願います。
※こちらの話は、この作品とリンクしております。
↓
【アクマノ、ナマエ。】
作:カナモノユウキ
《登場人物》
・きつね:悪魔と一緒に住んでいる青年。
・心の悪魔:青年と一緒に住む悪魔。
「ねぇ、心の悪魔。」
「ん?なんだよきつね。」
「…今更何だけどさ、君って名前あるの?」
「え?心の悪魔だろうが、何言ってんだよ。」
「いや、何て言うか…悪魔ってこう『猫』とか『犬』みたいな種類の呼称だと思うんだよね。」
「まぁ~、確かにな。」
「僕にはちゃんと〝きつね〟って名前があるのに、君の名前を呼べないのは…なんか寂しいからさ。ねぇ、名前を教えてよ心の悪魔。」
「いや~、そう言われてもな。心の悪魔じゃ駄目なのかよ。」
「駄目…だね、うん。そこは駄目だ。」
「何だよ!そこはってのはよぉ~!」
「駄目なものは駄目だよ、さぁ名前を教えてよ心の悪魔。」
「今日はやけに突っかかって来るなきつねさんよぉ~。」
「だってここで引いたら絶対教えないだろ君。」
「んなこたねーけどよぉ…。」
「名前を教えるのは、悪魔にとっていけない事なのかい?」
「そんな感じに近いわな。」
「どういうことなの?」
「お前、俺と離れられなくなったら…どうするよ。」
「え?それは、今も変わらないんじゃないのかな?」
「今はきつねの心に俺様が勝手に住みついてるだけで、離れようと思えば離れられるんだよ。」
「…そうなんだ。僕はてっきりもうずっと一緒なんだと思ってた。」
「へ?」
「じゃあ、名前を知ったら離れられなくなるってこと?」
「あ、あぁ…その通りだ。」
「じゃあ早く名前教えてよ。」
「おかしなやつだなと思っていたが、本当におかしい奴だなお前はよぉ。」
「どうして?」
「悪魔と契約ってことはよ、命を俺に渡すって話なんだぜ?」
「…何かマズいことなの?」
「お前は…極端にアホになることがあるなぁ…。」
「だって、分からないから。」
「俺の名前を知れば、半分悪魔で半分人間になる。つまり人じゃなくなるんだよぉ!」
「…あぁ、なるほど。」
「あぁ、なるほどじゃあねぇーよぉ!」
「それは、とても不便なことになるの?」
「不便ねぇ…先ず角が生える。」
「角かぁ…外出る時は帽子被ればいいね。」
「それだけじゃねーぞ!夢を見れなくなる!」
「…僕だいたい夢の内容忘れてるから、関係ないね。」
「あ~あとな、しっぽが生える!」
「へぇ~、しっぽか。本当にキツネみたいになるかもね。」
「ほ、他にも沢山あるんだからな!八重歯が尖ったり!人の心の声が聞こえたり!空飛べたり!」
「…いいじゃないか、全部。」
「良くはねぇよ!」
「そうかな…。」
「よぉーく考えろ!大事なことなんだからな!人じゃなくなるんだぞ!」
「…人じゃなくなることよりも、友達の名前を知らない事の方が…僕には大事なことだよ。」
「……お前は。」
「…嘘、言ってないでしょ?」
「お前は、本当に俺様の事そう思ってんだな。」
「そうだよ、それに…君とずっと一緒に居れるなら願ってもないことだよ。」
「…そうかよ。」
「ねぇ、名前教えてよ。心の悪魔。」
「…んじゃあよ、心して聞けよ。俺様の名前は、〝アコ〟だ。」
「アコ…いいね、アコ。フフフ、何か凄く嬉しいよ、アコ。」
「連呼すんじゃあねーよ!こっぱずかしいだろ!」
「いいじゃないか、アコ。」
「うるせえ!きつね!きつね!きつね!」
「アコ!アコ!アコ!アコ!アコ!」
「きつね!きつね!きつね!きつね!きつね!きつね!」
「アコ!アコ!アコ!アコ!アコ!アコ!アコ!アコ!」
「もういいっつーの!」
「ごめん、つい嬉しくて。」
「…まぁ、悪い気はしねーわな。」
「…それでさアコ、僕はこれからどうなるの?」
「ん?ジワジワ変化していって、いつしか半分悪魔になるだろーさ。」
「そっか…そうなったら、空の飛び方教えてねアコ。」
「イシシ、ビシビシ教えちゃるぜ、きつねさんよぉ!」
「よろしく…あれ?何か、頭痒い。」
「あ、角だ。」
「わぁ、友達の証しだね。」
「恥ずかしいわ!」
【あとがき】
最後まで読んでくださった方々、
誠にありがとうございます。
久々に書いたのですが、ちゃんと僕の中にキャラクターとして生きてくれていたのが先ず良かったなと思いつつ。
どこかの記事で「世界一やさしい言葉」は「人の名前を呼ぶ」というのを読んで、確かに…呼び方にもよるけど心を込めて名前を呼ばれるだけで幸せになれる。
優しい言葉になるなと思い、そこから着想を経て書き上げました。
きつね君、名前呼べて良かったね。
次の作品も楽しんで頂けることを、祈ります。
お疲れ様でした。
カナモノユウキ
【おまけ】
横書きが正直苦手な方、僕もです。
宜しければ縦書きのデータご用意したので、そちらもどうぞ。
《作品利用について》
・もしもこちらの作品を読んで「朗読したい」「使いたい」
そう思っていただける方が居ましたら喜んで「どうぞ」と言います。
ただ〝お願いごと〟が3つほどございます。
ご使用の際はメール又はコメントなどでお知らせください。
※事前報告、お願いいたします。配信アプリなどで利用の際は【#カナモノさん】とタグをつけて頂きますようお願いいたします。
自作での発信とするのはおやめ下さい。
尚、一人称や日付の変更などは構いません。
内容変更の際はメールでのご相談お願いいたします。
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