ボイスドラマシナリオ:「双子遊び」
【前書き】
皆様、お疲れ様です。
カナモノさんです。
今回は今年の夏に出したボイスドラマシリーズ「カナモノ堂 這イ寄リシ者」の第三弾、シカヘルさんと朗読あんさん主演の「双子遊び」のシナリオです。
楽しんで頂けると幸いです。
※コチラを聴きながら楽しむことも出来ます。
是非、合わせてお楽しみください
【双子遊び】
作:カナモノユウキ
〔登場人物〕
・鹿野仁 ※〇
・あん ※△
・りと ※▲
夕方、コンビニで買い物をして馴染みの公園へ向かう鹿野。隅のベンチに腰掛ける。
〇私の日課は、夕陽を見ながら近所の公園でビールを飲むこと。
在宅ワーカーの数少ない楽しみの一つだ。
「今日も俺、お疲れ。」(ビールを開ける音)
足元に少し古びたボールが転がってくる、それを追いかけて瓜二つの双子が取りに来た。
△「おじさん。ボール取って。」
▲「おじさん、ボール取って。」
〇「ん?これかい?よいっしょっと…はい、どうぞ。」
△「ありがとうおじさん!」
▲「ねぇ、おじさんは何しているの?」
△「何しているの?」
〇「ん?おじさんはね、ここで晩酌しているんだよ。」
△「ばんしゃく?」
▲「晩でもないのに、ばんしゃく?」
〇「ハハハ、まぁそうだね。ちょっと早めの晩酌だね。」
△「ねぇ、おじさん暇なの?」
▲「暇なの?」
〇「暇って…まぁ特にやることはないけど。」
△「じゃあ遊んでよ!」
▲「僕たちと遊ぼう、おじさん。」
〇「遊びか…まぁ暇だしいいか。何して遊ぶんだい?」
△「だるまさんがころんだしよ!」
▲「だるまさんがころんだがいい。」
〇「懐かしいな、じゃあやろうか。」
木の前に立ち双子を待つ鹿野、双子は距離を取る。
△「いいよー。」
▲「いいよー。」
〇「じゃあ始めるぞー。だーるーまーさーんーがーころんだ!」
振り返る鹿野、動きを止めて双子を凝視する。
〇「よし、だーるーまーさんーがー…ころんだ!」
双子が視界に入った時、異変に気付く。先ほどよりも大きくなっている、見た目はまるで小学生だった。
〇(あれ?大きい?あの双子、さっきまで幼稚園児ぐらいの大きさだったよな…。)
▲「おじさんだるまさんがころんだ下手くそ?」
△「下手くそ?」
〇「だるまさんがころんだに下手も何もないだろ?じゃあ、本気出すぞー。
だるまさーんーが…ころんだ!」
近づく双子はまた大きさが変わり、今度は中学生の様な外見になっている。
〇(え?!今度は中学生ぐらいの…大きさ?)
△「おじさん、大丈夫?」
▲「何か、おかしい?」
〇「い、いや…もういっちょ行くぞー。だーるーまーさんがー…ころんだ!」
言い知れない不気味さを感じながら振り向く。双子は成人した大人のサイズになっていた。
〇「え?…ねぇ二人とも、そんなに大きかったかい?」
△「気のせいだよ、おじさん。」
▲「そうそう、気のせい気のせい。」
〇(そんなハズないけどなぁ…。)
▲「ほらおじさん、続きやろー。」
〇「う、うん。だーるーまーさんがー…ころんだ!」
徐々に近づく双子に恐怖を覚える。振り向くと、等々その成長は初老程度まで進んでいた。
〇「ね…ねぇ、…二人とも…そ、そんなに年取っていたかなぁ…。」
△「気のせいだって言っているじゃない。」
▲「そうだよ、少し酔っているんじゃないかい?」
〇(そんな訳ないだろ。最初は小学生に次は中学生、成人して…今は六十代か?次振り向いたら、二人は…どうなっているんだ?)
△「もうだいぶ近づいたから、これで最後かもね。」
▲「さぁ、捕まえますよ。おじさん。」
〇「あ、あぁ。行くぞー。だーるーまーさんがー…ころんだ!」
直ぐ傍まで来た双子の行く末が気になり振り返る。その姿は老人のそのもので、踏み止まることは出来なかった。
〇「…ふ、二人とも…、動いちゃったね。」
△「あらあら、あと一歩だったわね。」
▲「惜しいとこまで来たのになぁ…。」
〇「…最後まで、やるかい?」
△「いいの?」
〇「いいよ、どうせ時間あるしね。」
▲「貴方は、優しいね。」
〇「ただの暇人だよ。じゃあ、行くよ。だーるーまーさんがー…ころんだ!」
掛け声の直後、背中に手が当たる。振り返って周囲を見渡す、しかしそこにはもう誰も居なかった。
〇「…あれ?二人…とも?」
△「ありがとう。」
▲「ありがとう。」
△▲『また、遊ぼうね。』
―おしまい―
【あとがき】
最後まで読んでくださった方々、
誠にありがとうございます。
シリーズ的には第3弾と言う事もあり、少しテイストを変えたくて不気味さもありつつ少しほっこりするような書き方をしてみました。
何かこういう妖怪みたいな存在との出会い、憧れてるんですよね。
会ってみたいな…。
明日の作品もこの【カナモノ堂 這イ寄リシ者】から、「桜吹雪さん」主演の作品を公開いたします。
では次も楽しんで頂けることを祈ります。
お疲れ様でした。
カナモノユウキ
【おまけ】
横書きが正直苦手な方、僕もです。
宜しければ縦書きのデータご用意したので、そちらもどうぞ。
《作品利用について》
・もしもこちらの作品を読んで「朗読したい」「使いたい」
そう思っていただける方が居ましたら喜んで「どうぞ」と言います。
ただ〝お願いごと〟が3つほどございます。
ご使用の際はメール又はコメントなどでお知らせください。
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