日本のミソジニーとロリコン文化
近年、ミソジニー(misogyny:女性や女性らしさに対する嫌悪や蔑視)が注目されています。ミソジニーは男性から女性に寄せられるものだけではなく、女性から女性に対するもの、女性が自分自身に向けるものもあります(内面化したミソジニー)。
X(Twitter)などでは最近、「女体好きの女嫌い」という言葉が見られるようになりました。女性の体を性的対象にしており、女性の体に触れたい・モテたいという願望は持つが、個人の意思や人格を持った女性には嫌悪感を持つ状態のことを指します。
女性を一人の人間として尊重せずにモノ化、性的客体化した状態であり、このような女性差別思考を持つ人(女性を格下に見ている、モノ扱いしている、性の対象としてしかみていない)は、セクハラや性犯罪の行為者となるリスクが高いことは、以前にも説明した通りです。
なぜなら、性的な接触や行為は双方の同意が必要であり、そのためには相手を一人の人間として尊重し丁寧に意思や感情を確認する必要があるのに対し、それを軽視したり無視して性的接触を試みようとしたり性的に消費しようとすることは、同意が得られていない性的接触や行為、つまりセクハラや性犯罪(不同意わいせつ罪等)となってしまうからです。
さて、このように近年日本でも話題のミソジニーですが、2022年に出版された書籍『Gender Violence, the Law, and Society: Interdisciplinary Perspectives from India, Japan and South Africa(ジェンダー暴力、法、そして社会:インド、日本、南アフリカからの学際的視点)』でも触れられていました。
特に、津田塾大学総合政策学部教授であるGavan Patrick Gray先生が執筆した第8章「Japanese Gender Norms and Their Impact on Male Attitudes Toward Women(日本のジェンダー規範とそれが女性に対する男性の態度に対して与える影響)」が、日本における状況について丁寧に考察されていたので、日本の現状や文化に対する理解の助けとなるのではないかと思い、ここに翻訳して一部を紹介したいと思います。
Gray先生は国際関係論が専門で、Gender-based Violence(男性から女性に対する暴力)、性犯罪、売春などの人身売買、テロリズム等について論文を書かれています。
参考までに、原文の該当箇所も引用として貼っておきます。説明は日本語(翻訳)⇒英語の順に置いており、原文の表現も確認できるようにしています。日本語部分は、読みやすさ向上のために適宜意訳していますのでご了承下さい。
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