バカにするんじゃない!
最近、父からよく聞く言葉。
立つとフラフラするので、父が動こうとすると駆け寄って支えるのが癖になった。悪性リンパ腫の疑いで検査中なんだけど、ダルさが半端ないみたい。
立とうとしたので「どこに行くの?」と手を差し伸べながら聞くと、すぐに返事がない。「トイレ?歯磨き?パソコン?」って聞いてみる。
「ちょっと待ちなさい。今言うところだったのに」ってお怒りモード。ごめん。催促したらいけなかったパターンだった。
すぐに答えを求めてしまって、私が知らないところでフラフラして転んでしまったら困る、って気持ちが強すぎた。
ガン治療の前に転んで骨折でもしたら・・・って想像するだけで血の気が引く。今だってダルくて辛そうなのに、これ以上はシンドい。
そんなとき母が「ズボンが半分脱げてるよ。直そうか」腰に手を伸ばすとお怒りMAX。「バカにするんじゃない。そんなのどうでもいいじゃないか!」
もう居たたまれなくなって、父の側から離れた。父は、普通に立って用事を済ませようとしただけなんだろうなって思ったから。
なにか行動する前に、やいのやいの言われたらウザったいもんね。「うるさいな。好きにさせてよ」って思って当然。
だけど、フラフラして“普通”じゃないのも現実。家族がお節介になるほど体が動いていないのも現実。自分では変わりなく“普通”だと思っているの現実。
このギャップを埋めるのは、お節介し過ぎないことなのかもしれない。試しに動こうとしている父を横目に近寄りたい気持ちをグッと抑えてみた。
すると、ティッシュを取って目薬して、頬につたった目薬をゆっくり拭っていた。私がいたら全部やってあげてただろうな。
自分でできるのに人がやったらイヤだ。だから、「手をかして」って言うまで待つことにした。でも、咳したらお水は持っていくし、フラフラしたら支えるけどね。
自分でできる(と思っている)父と、なんでもやってあげなきゃって思ってる私の妥協点は、時間をかけて見つけていこう。