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ベイルファンド(Bail Fund)とは何か。 寄付する前に知っておきたい、アメリカの保釈制度。 #Black Lives Matter
アメリカ各地で続く、「Black Lives Matter / ブラックライブズマター」を合言葉にした、黒人への人種差別反対の運動。
日本でもデモ活動が行われ、この問題を当事者意識を持って考える人たちが以前よりは増えてきたように思います。
アメリカでは署名活動や寄付金をつのる活動も多くなり、皆さんの中にも、これらの活動に参加された方がいらっしゃることと思います。
ただ、ほとんどの署名活動や募金の内容は英語で書かれていて、よく分からない…と思っている方も多いのではないでしょうか。
その中でも、わたしがとくに理解しづらかったのが Bail Fund (ベイルファンド) の募金。
アメリカの友達が共有してくれるさまざまな募金活動のなかに、
「Bail Fund 」
の文字がたくさん登場するのですが、なんだかよくわからない。
Google 翻訳してみると、”保釈基金” と出てくる。
…いまいちピンとこない。
日本語で説明されてるウェブサイトも、あまり見つけられませんでした。
仕方ない...じっくり英語のサイトを読むしかないのか...
ということで、わたしが理解するには時間がかかりましたが、
せっかく分かったこと、もっと色んな人たちにも知ってもらいたい。
そう思い、noteにまとめることにしました。
※記事内で紹介している様々な情報にひととおり目を通してから書かせていただきましたが、より正確な情報をたくさんの方にお伝えするためにも、ご指摘などありましたらお知らせください。
マネー ベイル システム とは
まずは、money bail system (マネー ベイル システム) という仕組みについて。
これは、裁判を控えた被告がある金額のお金を裁判所に支払うと、刑務所から保釈される、というものです。被告がきちんと裁判に戻ってくれば、そのお金は被告に払い戻しされます。
つまり、"保釈金"を払わせておいて、「このお金を返して欲しかったら、必ず裁判に来なさい」 と、裁判所が言っている感じ。
お金を支払うことで、「この被告は裁判に戻ってくるだろう」と信用されるわけです。そのため、罰金とはちがいます。
それが、マネー ベイル システム という保釈制度です。
マネー ベイル システム の問題点
さて、このシステムの何がまずいかというと、
経済力の差によって、同じ罪に対しての拘留時間が不公平になること。
裕福な人であれば当然、このお金をさっさと払って、裁判が始まるまでは家にいることができます。
しかし、その保釈金が払えない人は、判決が出るまでずっと、刑務所の中で過ごさなければならないのです。
たとえそれが、証拠もなく無実の罪を疑われている場合だったとしても
保釈金を払えない限りは、出られません。
裁判で無実が証明されるまでは、やっていない罪の疑いが晴れるまでは、
ずっと刑務所の中です。
つまり、"金持ち優遇" とも言えるしくみになっているのです。
日本語でこのあたりが説明されている記事を、みつけました。
それに加えて問題なのは、有色人種の人たちは、白人の人たちに比べて、不当に逮捕されたり、無実の罪のせいで刑務所に拘留されることが、あまりにも多いということ。
そして保釈金を払えないばかりに、無実だとしても刑務所から出られない人や、弁護士や代理人と十分に打ち合わせができずに不本意な形で裁判に臨まなければならない人もいるのです。
"ニューオーリンズの刑務所で保釈金を払えなかった10人のうち、8人が黒人だった...そして保釈金の88%と、conviction fee の69%は、黒人の家族によって支払われた"
と、こちらの画像には書かれています。
そしてこちらは、TED Talk より。
保釈金を支払えなかった被告人のうち90%は、有罪を認めることになる。
それに対して、保釈金を支払った被告人の50%は罪を免れ、実刑判決になるのはたったの2%、とのこと。
ベイル ファンド の仕組み
では、NPO団体である "保釈基金" 、すなわち ベイル ファンド は、具体的にどのようにはたらくのでしょうか。
主な流れとしては、
1, 寄付金を集める
2, 集まったお金で、保釈金を払えない人たちのかわりに保釈金を払う
3, 裁判が終わり保釈金が返ってきたら、またほかの人のための保釈金に使う
のようなサイクルになります。
人々から寄付金を集め、そのお金を使って、保釈金を払うことができない人の肩代わりをする。そうすることで、経済力の格差や人種のちがいによる不公平さを減らし、罪のない人々にできるだけ早く、自由を与える。
それが、ベイル ファンド の役割です。
まとめ:ベイルファンドに募金しよう!
いかがでしたでしょうか。
いままで全く知らなかった仕組みを知って、わたしが改めて感じたのは、やはり人種による社会的地位の格差、経済格差は、今もなお根強いのだということ。
誰も殺していないのに、死刑囚となってしまった人。
なんの証拠もなく罪に問われて、何十年も刑務所を出られない人。
見えるのは、現実のほんの一部でしかない。
けれども、ほんの一部だけでも、変えていける可能性があるなら、できることをするしかない。それが、大きな変化を起こすためのエネルギーになるはずです。
このnoteを通して、少しでも多くの方が、ベイルファンドへの寄付を考えると同時に、人種差別問題に向き合ってみようと思ってくれたら、うれしいです。
ぜひこの機会に、ベイルファンドに募金してみてください。
The Bail Project
Brooklyn Community Bail Fund