声なき声に耳を澄まして
失語症という障害をご存じですか?
失語症とは[読む・書く・聞く・話す]の言語を使う機能が働かない脳の障害です。 コミュニケーションが取れないため、他者との交流で著しく不便が生じ日常生活が困難となります。
この失語症に対しての支援制度として、平成30年から東京都で支援者養成が始まりました。失語症者に同行し意思疎通の補助を行う支援者です。
そしてこのプログラムを終了した支援者を事業として派遣することを市区町村は必須とされているのですが、江東区では未だ整備されておりません。
議会人としてこれまで予算要望を行い、議会質疑でも度々取り上げた「失語症者向け意思疎通支援者派遣」ですが結果が伴わず残念な気持ちで一杯です。
脳卒中や頭部のケガに起因して起きる失語症は、誰にでも起こり得る可能性のある言語障害。
江東区で支援の事業化が進まないのは、失語症者がどれだけいるか分からない、実態が把握出来ないと説明を受けます。
人口比で計算すると52万人区民の江東区では千人程の失語症者がいるはずですが、実数は調査も行われないので確認が出来ておらず。
その結果ニーズありきの行政に対し、困った声を伝えるのが難しい障害特性であるために支援ニーズを伝えられないのが現状です。
障害特性に応じた福祉の整備こそ自治体の役割りと考えるので、今年度こそ実現させたい政策の一つです。
そんな中でブルース・ウィリスが失語症というニュースに驚きました。
ブルースといえばダイ・ハード!
中学生の頃から映画「ダイ・ハードシリーズ」が大好きで、ブルースに憧れ若い頃は筋トレに励んだものです(笑)
ここでジョン・マクレーンことブルースのケースを例に失語症について考えてみたいと思います。
現在67歳のブルースは日本では前期高齢者の区分に。
撮影の際にセリフが出てこなくなり、失語症と診断されたとのことです。
ご家族が連名でブルースの失語症を発表し報道されました。
報道によると家族仲が大変良くみなから愛されており、これから家族一丸で難局を乗り越えていくとの事です。
まさに私の大好きなジョン・マクレーン警部補そのもの!
(シリーズが進むとジョンの家族環境も変わってくるのですが…)
ブルースのように支えてくれる家族が多いと、失語症による日常生活の負担も少ないのですが、問題は家族がいないケースでの発病です。
日本では単身世帯が38%で世帯構成でみて最多。
東京に限っては50%超で、今後もこの単身世帯が増えていきます。
そうした一人世帯が多数を占める未来の福祉において、失語症に限りませんが困った事を伝えられずに、支援制度の不十分な今の福祉環境は変えなければなりません。
これは支援団体任せではなく、行政が予算を組み、責任を持って支援制度を整備すべきです。
今回世界中の映画ファンにとってとても残念な報道でしたが、ブルース・ウィリスという著名人の発表に触れて、私たちは失語症という誰にでも起こり得る身近な障害について知り、世論として福祉整備充実の声を上げる必要があると感じました。
なお、敬愛の念を込めてブルースと敬称を略しました。
言語聴覚士さんが行なうリハビリにより少しでもブルースの症状が改善する事を願っております。
まずは失語症の存在を知ってください。
特定非営利活動法人日本失語症協議会 | 失語症者の声を力に NPO法人 日本失語症協議会 (japc.info)
江東区内でも活動推進が行われています。
(1) 江東.失語症のある方のコミュニケーションを豊かにする会 | Facebook
コミュニケーションに関するリハビリの専門職が言語聴覚士です。
映画「英国王のスピーチ」の中でイギリス王ジョージ6世の治療にあたるのが言語聴覚士。今は作中のような治療は行われないそうですが、STの仕事を知ることもでき、何よりも素晴らしい作品です。
一般社団法人 日本言語聴覚士協会 (japanslht.or.jp)
最後までお読み頂きありがとうございました。