介護離職のない社会を目指して
1月のオンライン子亀会(私が毎月主催している勉強会)では介護離職という大きな社会課題をテーマに行いました。
(介護離職とは?)
家族の介護と仕事の両立が困難となり、介護を優先するために会社を辞めること。
日本では働きながら介護をする人は346万人いるとされ、そのうち40歳~50歳代が6割を占めます。年間で正社員を中心に10万人が介護離職していると言われています。
(何が問題?)
・個人→収入源がなくなる。それまで築き上げたキャリアを失うこととなる。
・企業→中核社員の退社による戦力ダウンと人材不足。
・国→日本全体での経済損失1.8兆円の試算。
(今後の見通し)
団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年問題が迫り介護ニーズが高まる。それに伴ってビジネスケアラーの高まりが一層増加する。育児と同様に仕事と親の介護が両立できる環境を早急に構築しなければならない。
(介護休業法の改正)
昨年6月に育児・介護休業法が改正され令和4年4月から段階的に施行されます。
少子化対策として男性版産休が取得可能となることが大きな特徴であるが、ここでは介護休業にフォーカスします。
法改正の目的は性別や雇用形態に関わらず、仕事と育児・介護を両立できるような環境整備です。企業側も新制度をもとに社内規定の見直しや新たな労使協定の締結が求められます。
今回の改正により企業は休暇を取得しやすい環境整備を行うことと、従業員へ個別の周知や意向確認も義務化されます。法律違反をした場合は行政から報告を求められるだけでなく、改善勧告無視や虚偽報告に対しては企業名の公表、過料も課されるのです。
(ここが肝心要)
大前提は介護で仕事を辞めないこと。
その上で参加頂いた専門家(社労士・FP・介護福祉士・キャリアカウンセラー)から出た意見は大きく3つ。
・本人とその家族の介護に関する知識不足を埋める(介護リテラシーの向上)。
・家族が収入減少への認識と介護に使える預貯金等の現状把握(ライフプラン表の作成)。
・介護保険制度と利用者ニーズのアンマッチ(介護休業の取得と地域包括支援センターの積極的活用)。
これらを踏まえた準備を早い段階から始めることが大切です。
介護休暇は自身で介護を行うための93日間ではなく、介護保険申請を行い、信頼できるケアマネージャーさんをみつけ、住環境の整備を行うための時間に充ててください。
故郷の離れた両親の介護準備が必要な場合、移動時間や地域の介護環境を把握するための時間も必要になります。
子育てと違いゴールがみえないのが介護の特徴です。
ご自身の限りある時間を有効活用するためにも、介護が必要となる前準備と、手続きに必要な時間をしっかり把握して、仕事を続けながら介護が出来る環境を整えましょう。
(最後に)
今回改正された育児・介護休業法のもと、企業で働く人たちはより休暇を取得し易くなるでしょう。
一方で小規模・零細の職員や個人事業主といった人たちは法改正の恩恵を享受できない可能性があります。
今後基礎自治体ではこの改正法の周知徹底を行い、すべての働く人が介護休業制度を理解し、取得しやすい環境整備を行わな分ければなりません。
コロナ禍で高齢者の引きこもり環境は、2025年問題を前倒しして介護需要の大増加が予想されます。
今こそ官民連携した取り組みが社会課題解消に向けて求められます。
引き続き議会の立場から全てのケアワーカーを応援して参ります。
最後までお読み頂きありがとうございました。