オンナノコだって、守りたいものがある。


私は強いオンナノコが大好きだ。

思い返せば、幼稚園に通っていた頃から、トラブルに巻き込まれるたびに、仲間たちと魔法のステッキを振って解決していたどれみちゃん。自分達を困らせる悪意を持った敵を懲らしめてきたプリキュア。

可憐ながらも悪を蹴散らし、正義の意味を問いただす、彼女たちにいつも元気をいただいていた。

そして成人を迎えた2年前に、私が一般的に「男性が女性に守られる」という社会構図に疑問を抱いた時に胸に刺さったアニメの幾つかから、”守る強さ”を持った作品をご紹介します。

戦姫絶唱シンフォギアシリーズ

http://www.symphogear.com/

1期~5期(来年夏放送予定)まで続く歴史あるTVアニメシリーズ。

高校生の時にリアルタイムで1話を見た際には、失礼ながら「わがままボディのオンナノコ達が歌いながら戦うアニメ」というイメージしか持てず、そんなに興味を持てずいた。

”歌いながら戦う=歌うことでフォニックゲインと呼ばれる力を起動し、ノイズと言われる外敵から防衛・攻撃する”ということは間違っていない。

"高ぶる心情を劇中歌にのせて送られる"のが、今作の最大の魅力だ。

心を無にして1期の最終話を観終わると、熱い激情が湧いてくるとともに、彼女たちが紡ぐ歌には血が通っていることを体感できる。

本当に好き嫌いが分かれる作品ではあるが、この一説が気になる方にはぜひ見ていただきたい。

亡くなってしまった友の命。

孤独だった自分の過去を癒すために。

そして、大切な幼馴染との日常を守るために。

彼女たちは今日という一日を守るために、時に笑って、時に泣いて、時に激昂して、傷だらけになっても歌うことをあきらめない。

オンナノコは、涼しそうに笑顔で男の後ろについていけばいい。

そんな言葉を根底から覆すような、汗や血の匂い・そして清らかな涙のにおいがするような、熱いオンナノコたちの作品だ。

 

暁のヨナ

アニメ→ http://www.marv.jp/special/yona/index.html

原作漫画→ https://www.hanayume.com/hanayume/yona/

"守ること"は、前項で取り上げた主人公・立花響たちのように、武器を纏い身体を張って戦うだけなのか。

”衣・食・住”が保証されていないシビアな環境下で、敵を倒し、その場をやり過ごせたとしても。”生活”を守ることをしないと、その先を生き抜いていくことは難しいのであろう。

今作のヨナは、”守る”という言葉の意味を再び考えさせてくれるような強さを持ったオンナノコである。

物語がはじまるまでのヨナは、まさしく「男性・大人に守られるようなオンナノコ」の代表のような王妃であった。ところが、初恋の相手・スウォンに父親を殺されたことによって、冒険が幕を開ける。

例えそのような「守られるべき」存在であったとしても、”絶望”をもたらされてしまったからには彼女たちは立ち上がるしかなかった。

果てのない絶望に絡め取られそうになったヨナは、自分の幼馴染であるハクと四龍と呼ばれる青年たちと共に旅に出る。

道中では、野生の動物を”食べ物”を仕留めるたびにその命に手を合わせて感謝をし、余すことなく調理をして仲間である彼らに振舞う。

普段焼き肉などを無言・無心でほおばって食べる私には、そのヨナの姿はとても斬新であり、かつ現代の生活の中では忘れてしまう”命をつなぐことの感謝”を体現し、読者に問いかけてくるようなシーンである。

そして、彼女は立ちはだかるもの全てを敵としてみなすわけではなく。

一国の王であった父親の意志を継ぎ、優れた外交能力で味方を探し、困っている人物がいたら惜しみなく彼女自身と四龍たちの力をささげることを信条としている。

そして、彼女がひとりでいるときに敵襲に遭っても自分の身を守れるように、かつて城の門番として彼女を守り、共に冒険を続けるパートナーのハクから武闘の指導を受けている。

彼女は間違いなく”強い男たちに守られる”存在ではなく、その中心人物として物語を歩いている。

デビルズライン

アニメ→ http://devilsline.jp/

原作漫画→ http://morning.moae.jp/lineup/151

”守る”ことは、”理解する”、”知る”ことにも共通している行為だとも思える。今作の主人公のつかさは、どこにでもいる普通の大学院生として生活をしていた。

物語は、つかさが冬の夜に”恐ろしい吸血鬼=オニ”として変貌した友人に襲われかかるところから始まり、怯えているところをひとりの警官、安斎祐紀に助けられる。

つかさは安斎との交流を経て、人間と”オニ”が共存する世界で、様々な憎悪や欲望が混ざり合い、殺傷・強姦・紛争を目の当たりにする。

そして、オニは人間の血を見ると心身共に激昂し、目を深紅に充血させ、人間の血を求めて命を奪うような勢いで噛みついてしまう特徴がある。

それは、”人間とオニ”のハーフである安斎にも起こりえること。

種族の垣根を超えて安斎に対して愛情を抱いたつかさは、事件に巻き込まれ傷つく安斎を理解し、全身全霊で支えながら、彼ら”オニ”と、”人間”をめぐる問題の学術研究を進めていく。

顔に大きな傷をつくり、血みどろの海に投げ込まれても、彼女は決して安斎を愛することをやめない。

その姿は時に目を当てられないほど残虐な場面もあるが、つかさと安斎は私たちに『単なる恋人同士を超えた絆の深さ』をいつも見せつけてきてくれる。

これもひとつの”守る強さ”ではないのでしょうか。

安斎も確かに迫りくる”オニ”から、命をかけてつかさのことを守っている。そんな安斎を守っているのは、間違いなくつかさの『かたくなな愛情』であることを、アニメ・漫画を通してしみじみと感じさせられる。

むさくるしい作品が苦手で、緩やかなラブストーリーが好きな方はこちらの「デビルズライン」をお勧めする。

オンナノコの強さは、作品によってさまざまな形があることが面白い。

(現実世界での”オンナの強さ”は、厄介であることが多いが……)

アニメ・映画などの映像作品の中でお気に入りのものがある方は、是非登場する女性の”強さ”に焦点を置いてみて視聴すると、また違った魅力が引き出てくるし、その方それぞれの”価値観”によって多様な意見が生まれてくるだろう。

#アニメ考察 #アニメの感想 #戦姫絶唱シンフォギア #暁のヨナ #デビルズライン #強いオンナノコ #ジェンダー



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?