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inagakijunya
〖短編小説〗1月3日は「ひとみの日」
この短編は602文字、約2分で読めます。瞳が乾く前の2分で読めます。
***
「綺麗だね、どれがいいかな?」
「うーん、ブルーとかどう?あ、みてみてブラウンも素敵だよ」
恋人同士が多く訪れるこの店は大変混雑していました。皆それぞれ目当ての色を探すのに必死です。店員さんも大慌てで注文に答えて、商品を棚から出していました。
「これだけたくさんあると迷っちゃうよね。事前にある程度は調べて来たんだけど、実物を見るとすごいね」
「そうだね、それにしてもすごい人だよね。人気店と聞いていたけど、これほどの人とはね」
この店の品ぞろえは、この町一番。どんな色の商品だってあります。その商品たちは店主自ら、買い付けてくる気合の入りようなんです。この前なんかテレビで人気店として取り上げられました。
「さて、そろそろ決めないとね。結局絞り込んでこの2種類にしたけれど…さぁどうしよう?」
「うーん、わたしはこのダークブラウンがいいな。やっぱり素敵!」
「よし、じゃあこれにしようか。すいませーん、このダークブラウンのやつください」
店員さんがサンプルではなく、奥から箱に入った商品を持ってきた。
「では、実物をご確認ください」店員さんの手で、箱が開けられ中身の商品が見えた。
覗き込む二人。
「「綺麗だねー」」
***
「お買い上げありがとうございます」
店を出た二人に店員さんが深々とお辞儀をした。
「やっぱり、二つセットで売っているのがいいよね」
「ねーまるで宝石みたいだよね」
商品を買って大喜びの二人でした。
1月3日は「ひとみの日」