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〖短編小説〗11月21日は「世界ハローデー」

この短編は705文字、約1分50秒で読めます。

あいさつをしっかりしなさい。あいさつは世界を救うと、言われ続けて生きてきた男がいた。男は一日に必ず10人とあいさつをすることを、もう何年も続けてきた。

「こんにちは」

一日の生活の中で、10人にあいさつするのが難しい時もある。大人になるにつれてそれを感じてきている。最近では道行く知らない人にもあいさつをしてやっと10人という日も少なくない。

思えば、子どものころから彼の生活の中心はあいさつだった。男は子どものころは褒められることが多かった。学校の友人にも先生にも大きな声であいさつができたからだ。

「おはようございます」

あの子は大きな声であいさつができて大変よろしい。近所の知らない人にも積極的にあいさつをして、あいさつがしっかりできる子として有名だった。

いつからだろうか、あいさつをしても返してくれなくなったのは。大学生の頃だったか、友人にあいさつをしたところ、返事はなくニヤニヤ笑っているだけだった。

「こんばんは」

道行く女性二人組にあいさつをしたら、笑われてしまった。何かがおかしいと男は思い始めていたが、自分の今までのあいさつの習慣を、変えることなどできるはずがない。あいさつは男の体にしっかりと染みついていたのだから。

あんなにあいさつが大切といっていた大人たちは、自分が大人になったら途端に面倒くさそうにあいさつをする。そのことについて、男は長く考え続けたが答えらしい答えは見つけられないまま…。

あいさつをしっかりしなさい。あいさつは世界を救うと、言われ続けて生きてきた男がいた。男はある時から一日に必ず、20人とあいさつをすることにした。

あいさつによって、世界よ平和であれ

11月21日は「世界ハローデー」

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