〖短編小説〗1月27日は「国旗制定記念日」

この短編は1296文字、約3分で読めます。あなたの3分を頂ければ幸いです。

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様々な国を旅する中で、特別に国旗というものに関心を抱いたことはありませんでした。しかしアメリカの国旗は星条旗、イギリスの国旗はユニオンジャックと私でも知っている国旗はいくつかあります。

ある国を訪れた時。中央広場には大勢の市民が集まり、何かの準備をしていました。テントを協力して張る人や、何やら集まって指示を聞いている人もいます。一人、集団からは離れてトラックの荷台から荷物を降ろしていた青年に声をかけてみました。

「お祭りか何かがあるんですか?」

青年は荷物を一度地面に置き、笑顔でこう教えれくれました。「明日は我が国の建国記念日なのです。その式典の準備をしています。旅人さんですよね?良かったら明日、式典を見ていってください。どなたでも参加できますので」

なるほど、その準備かと納得。「建国記念の式典ですか?では、ぜひ見学させていただきます」

青年は荷物を持って、人が集まる方へと行ってしまいました。

翌日、中央広場には大勢の人々が集まっていました。小さな子供からお年寄りまで、ありとあらゆる世代。また様々な人種の人々が大勢、はるか向こうに見える舞台の方向を見ていました。

「本日は、建国記念式典にお集まりいただきありがとうございます」

そこからは、大統領や閣僚、またこの国では有名な作家のスピーチや、音楽家の演奏が続いた。知らない国の建国記念をこれだけ長い時間、聞いたのは初めての経験で、そろそろおいとましようと席を立とうとしたその時でした。

「では、本日のメインイベント、国旗の発表を行いたいと思います」

そう司会者が高らかに宣言しました。司会者の説明によると、この国は建国してまだ日が浅く、国旗が決まっていないらしいのです。そういえば国の式典のはずなのに、会場を見渡しても国旗がどこにもありませんでした。そして、ユニークなことに国旗は国民からデザインを募集し、国民投票で決めるというのです。

「では、発表します。我らの国の国旗はこのデザインに決まりました」大統領が宣言すると、舞台の真後ろに大きな国旗が姿を現しました。

「、、、、、?」私は国旗の印刷のミスなのか、遠すぎてデザインが良く見えないのか、どちらかだと思いました。

国旗は真っ白で、なにもデザインされていませんでした。

しかし、国旗が舞台に上がると、会場にいる大勢の国民は歓喜の声を上げ、近くにいる人と共に抱き合い、喜びを共有しているようでした。現状を理解していないのはどうやら私だけのようです。

会場のボルテージが少し落ち着いたところで、大統領からの説明があり、私は深く納得したのでした。

「今回選ばれたこの国旗は、小学生の女の子がデザインした国旗です。国旗の案と共に、女の子の短い文章が添えられていましたので、紹介させていただきます。

『永久の平和を、なにものにも汚されない白さを永遠に』

我々は、様々な国からこの地に流れ着き、この国を建国しました。貧困、戦争、略奪など辛く苦しい思いでこの地にたどり着いた人々ばかりです。我らの願いは平和そのものです。かの星から遠く生き延び、ここ新たなる地、にて永久の平和を祈りましょう」

1月27日は「国旗制定記念日」


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