〖短編小説〗1月30日は「3分間電話の日」
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「もしもし、母さん?」
もしもし、あれリョウタどうしたの?
「いや、それがさ…」
リョウタ、それより大変なんよ。聞いて~従妹のけいちゃんが結婚するって昨日ショウジおじさんから電話があって。なんでも勤め先…あ、けいちゃんの務め先いっとったっけ?
「いや、聞いてない」
~1分経過~
けいちゃん、地元の銀行に就職したんだって、すごいね~やっぱり短大ゆうの?大学出てる人は違うわ。そんで、なんの話だった?あ、結婚の話ね。けいちゃんのお相手が、その銀行の若手のホープゆうらしい人なんて。
おかあちゃん、ホープゆう言葉知らないで、なに外人かい?っておじさんに聞いちゃったんよ。そしたらおじさんが、なにゆうとるの、ホープは期待されている仕事できる人のことだって言って、もうおかあちゃん恥ずかしくて恥ずかしくて、大学出てないからそんな難しいことば分からんーっておじさんに言ったんよ。もうおじさん大爆笑よ。
そんで、なんの話だっけ?
~2分経過~
「けいちゃんが結婚するって話?」
そう、けいちゃんそのホープさんと結婚するんだって。ほいで、けいちゃんこんな言い方おじさんの前では言えんけど、どちらかというとほら、地味で控えめな子じゃろ。だからおじさん心配してたみたいやけど、銀行員いうんはお堅い仕事だから、少しくらい地味でも大丈夫みたいなんよ。まぁあんまし大きな声じゃいえんけど。
ところであんた、けいちゃんの結婚式には出る?東京からこっちに帰ってくるの大変やと思うけど、ほら、去年マサルおじさんが亡くなった時に、あんたお葬式来なかったやろ?ほれを、親戚中からお宅の息子は長男なのになんで葬式に顔ださんと?いうて責められたんよ。だから、今回は忙しいとは思うんやけども、結婚式でてね?よろしく頼みます~。
~3分経過~
それから、お隣の松本さん家の土佐犬のタイゾウ君が、駅前に新しくできた土建屋のテレビのCMにでるって聞いて、おかあちゃん目が飛び出るくらいビックリしたわ~あんた、タイゾウ君覚えてる?大きい土佐犬よ~。
ちょっと、ちょっとーもしもしーもしもーし、リョウタ聞いてる?もしもーし
ツーツーツー
1月30日は「3分間電話の日」