〖短編小説〗11月19日は「シュークリームの日」
この短編は743文字、約2分で読めます。
まったく、ムカつくムカつくムカつくムカつく…
「ねぇ、おねえちゃん!おねえちゃんってば!聞いてる?」
「は、何!聞いてない」
「ちゃんと聞いてよ、今日のデザートはシュークリームだって昨日お母さんがいってたー楽しみー」
はぁ、これだから、てーがくねんのお子様は困りますよ。たかがシュークリームでそんなに喜んじゃってさ。あたしはそれどころじゃないっつーの。
「ねえ、おねえちゃん、なに怒ってんの学校でなんかあったの?」
「こーがくねんの悩みをてーがくねんが理解できるわけないじゃん!こーがくねんは大変なの、色々あるの!!」
「ふーん、こーがくねんって大変なんだ…あたしもちゃんと、こーがくねんになれるかな?」
「あんたは無理だねーだってシュークリームくらいでそんな大喜びしちゃってるんだもん」
それを聞いていた妹は、すかさず鋭い質問をあたしに投げかけてきやがった。
「じゃー、こーがくねんのおねえちゃんに質問です!シュークリームはなんでシュークリームっていうんですか?こーがくねんだったら分かるね??」
くー、妹よ面倒な質問を…そんなこと知ってるわけないじゃん。うーんどうしよう。ここは適当なことを言って…
「はーあんた知らないのーだっさー、クリームは中に入っているクリームのことで、シューは食べると周りの部分がシューとしぼむでしょ!だからシュークリームっていうんだよ!」
目を輝かせて妹がこちらを見ている…。
「すげー!おねえちゃんすげー!なんでも知ってるんだ。立派なこーがくねんになるために覚えとこ」
そして夕食後、家族そろってシュークリームを食べていたところ、妹がドヤ顔で嘘のシュークリームの由来を説明し、家族は大爆笑、妹は大号泣だった。
ま、シュークリームの味は悪くなかったかな。
毎月19日は「シュークリームの日」