ガンマ関数 どうやって積分表示を見つけた?
ガンマ関数とは、
で、定義される関数で、
$${\Gamma(n)=(n-1)! \qquad n \in \mathbb{N}}$$
が成り立つ、正の実軸で対数凸な唯一の解析関数です。
積分表示の導出?
ここではガンマ関数の豊富な性質は一旦置いといて、階乗の一般化という性質にだけ注目。
定義が既に積分表示だけど、階乗の一般化を考える上でなんでそれを思いついたか気になる。
ここでは階乗から積分表示の導出を考えたい!
階乗が出てくる時
数学をやってて階乗が出てくるのはどんな時か、
と考えたら、積分に関わってそうなのは$${x^n}$$のn階微分。
字数が降りてきて、段々に下がっていくので階乗になっている。
以下からは$${n\in\mathbb{N}}$$とします。
なんとなく階乗の漸化式、$${n!=n(n-1)!}$$に近い
と、いうことで 積分で$${x^n}$$のn階微分が表現できないか考える。
部分積分から推測
積分してるのに微分が出てくるとき、と言えば部分積分。
$${[f(x)g(x)]_{a}^{b}}$$は$${f(b)g(b)-f(a)g(a)}$$という意味
微分されてく$${f(x)}$$を$${x^n}$$とすると、
もし、ここで$${g’(x)=-g(x)}$$という関数が存在すれば、左辺を$${G(n)}$$とおくことで、
階乗の漸化式に近くなってきた。
あとは $${[x^n g’(x)]_{a}^{b}}$$ が0になれば良い。
とりあえず$${g(x)}$$を求める。
つまり $${[x^n(-1)^{m}e^{-x+C}]_{a}^{b}}$$ ($${m\in\mathbb{N}}$$)が$${n,m}$$に依らず0であればいい。探してみる。
二つの関数の積なので、$${a}$$を代入した時一方が0、$${b}$$を代入した時はもう一方が0になる時が考えやすい。
$${x^{n}}$$は$${n}$$に依らず$${x=0}$$で0
$${e^{-x+C}}$$の$${x\to\infty}$$の極限は0
$${\displaystyle\lim_{x\to\infty}e^{-x}}$$が、なんとも都合よく多項式の発散よりも速く0に向かう。
代入すると
$${C}$$をもとめる。
$${n=0}$$の時 1 になって欲しいので、
もし積分区間を逆向きにしてたら$${C=i\pi}$$とすれば良い
完成
$${G(n)=nG(n-1)}$$
$${G(1)=1}$$
を満たすので階乗になっています。
この表示だと自然数以外でも階乗を定義できそう。
$${e^{-x}}$$の、
・積分しやすい
・部分積分の符号をプラスに変えられる
・指数関数オーダー
という性質のおかげですんなり求まった。
注意
収束性や、自然数以外での数学的議論はしていません。
どんな感じで考えたかっていう厳密で無い浅いものです。
浅い考察
$${\int_{a}^{b}y(x)e^{-x}dx}$$には、$${y(x)}$$の微分の情報をとりだせる
n階積分を計算できる式があれば階乗の逆数も積分表示できる?
積分の代わりにシグマを使ってもできる?
→こちらの記事へ
n階微分を求める方法はもっとありそうだけど、
この方法はなんとも綺麗にはまる。
ここまでです。ありがとうございます。