【小説】マザージャーニー / めぐる、冬 6【完結】
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山から降りると、作業場に消防団の人たちが集まってて、わっと私たちに集まった。
お父さんは「すみませんでした」と深々と頭を下げた。
お父さんを囲む輪の外で、ケンさんが
「双葉あ、がんばったな」と私の頭をぐしゃっとつかんだ。
とたんにまた鼻の奥がツンとした。
……がんばった。
私、ずっと、がんばってきた。ずっとずっと、お母さんがいなくなる前から、ずっとがんばってきた……。
「がんばった……」
「うん、がんばったがんばった。いつの双葉も、どの双葉もめちゃめちゃがんばってたよ! 生きてるだけでも、じゅーぶんっ、がんばってるのに!」
「私、がんばった……」
ケンスケさんの言葉をかみしめると、涙がぽろぽろあふれた。そして、声をあげて、思い切り泣いた。私、とってもつらくて、かなしくて、さみしいんだよって、大声で誰かに聞いてほしかった。必死な自分を、抱きしめてあげたかった。
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1,708字
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