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拡大する未来ばかりが、未来じゃない 〜解決する本質はどちら?

前半はstand.fmの配信をもとに作成したものです。後半からは、配信では話していない、より深掘りした内容をお届けしています。ぜひ音声配信もあわせてお楽しみください✨


いつも、拡大する未来を問われるけれど

こんにちは。
今日は「コピーを作っても意味がない」と言うテーマでお話しします。


先日、雑誌の取材がありました。
結構みっちりと時間をとって、いろんな問いを投げかけていただいたんですが、やはりこういうインタビューでいつもよく聞かれるのは、未来どんなこと描いてますか、どうしたいですか、今後どうありたいですか、ていう私たちの会社、women farmers japan (以降wofa/ウーファ)の今後の展望みたいなものをめちゃめちゃ聞かれます。


それに対しては、いつもいろんなことを話してたんですが、今回話しながら、 もしかしたら私たちのコピー・似たような仕組み・あり方を全国に広げる形は、未来の在り方としては違うんだろうな、と感じました。

wofaというのは、ビジネス・ものづくりとコミュニティ運営 の両輪を回すことで、女性農業者の課題や農業課題を解決する仕組みを前面に出して頑張っている会社です。

じゃあその両輪それぞれでは何をしているかというと、ビジネスの方は、みんなでサツマイモの栽培、加工、販売をしています。

メインは干し芋の製造ですが、この食品加工所の存在が、雪国の半年間、農業ができない農家さんたちの課題解決も担っていて、この雪国農業において、すごく意味がある施設だと思ってます。

一方で、コミュニティ運営では何をしているかというと、徹底的に内面課題をぶっさす、ということに重心を置いて「私」を取り戻すことを主眼に、コミュニティの力で成長し高め合う場を作ることを大事に、運営しています。

農業は家族経営が世界的にも多いので、なかなか上司、部下、同僚がいない狭い環境というのがほとんどです。

そういう環境では何が起きるかというと、情報が入りにくかったり、成長し高めあうことができない環境であったり、あとは家族であるのでどうしても感情が先に入ってしまって、建設的な協力やものづくりができない状況も起きたりします。


いろんな課題を抱えている方がたくさん。ただ栽培すりゃいいで解決しない農業は難しいです。結局「ひと」が携わってますからね。


それをコミュニティで疑似同僚を作って、しかもそれはただの集まりではなく、もうちょっと前のめりに 学び合う場を目指しています。

「成長するには他者が必要」と思っているので、関わり合いの中で対話を通じて お互い成長し合い、そして「私」を主語に取り戻し、自分で考え、自分で行動するという、人生の主導権を自分に取り戻すのを主眼に置いて運営中です。


その両輪をガチャンとはめることで、農業に携わる人たちの努力だとか頑張りが報いたり、あるいは農業に携わる女性の皆さん(私たち含めですね) がハッピーに幸せにモノづくりを続けられるような仕組みを作れないかな、と日々、現在進行形であれこれ試しているところです。


「じゃあこのwofaの仕組みを他の地域とか県で同じように作って、その両輪を回すっていうのもありますね」という未来の選択肢も、よくいろんな方からも言われます。


今までは「まずはこの十日町で、1番の足元でしっかりそれを 軌道に乗せて、 ガチっとした成功事例を作ることが先だよね」あるいは「ここでしっかり仕組みを作って再現性をしっかり高めておくことが大事だよね」と思ってたので、どんどん広げるのはまだ現実的ではないな〜と思ってたんです。


が、今回インタビューを受けて、 どちらかというとその感覚は現実的ではないなというよりは、全体的な課題解決のための解としてはベストではないかもしれないなと思ったんですね。グッドではあるかもしれないですけれども。

フランスの介護施設が大事にしてること


というのも、最近NHKの番組で、フランスの認知症の方々の施設 が紹介されていたんです。私を生きるっていうテーマの番組で、フランスの南西部にある介護施設、ヴィラージュランドという場所がご紹介されていました。


これは4年前に国の予算を受けてオープンしたすごく巨大な町のような 施設で、そこで大事にされているのは「そこに所属する1人1人が自分の時間を生きる、私として生きること」、それは自分なりの時間であったり、自分なりのリズムであったり、そこに重きを置かれている。


なので、そこにいるスタッフの人たちも、制服というよりは普段着のようなもので働いているんです。医師とか看護師さん、介護スタッフの人たちは、本当にその街の住民のように接しているし、 そこにいらっしゃる利用者さんに対しても、この人がどういう人生を歩んできたのか、1人1人が何を大切にしてきたのか、個人史をしっかりと理解して、共有して、理解をする。その上で 各個人、本当にその人に合ったアプローチを 探している。

施設のコピーを作ることが現実的な解決策ではない


その考え方は結構wofaと似ていると思いました。
1人1人の内面課題にしっかり向き合って、1人1人が「私は何者として何をなしていくのか」っていう言葉と一緒に向き合う。あるいは主語を 「旦那」とか「家族」とか、あるいは「みんなはこう言ってる」の「みんな」ではなくて、私はこう思う、という「私」を取り戻すステップをサポートしているので、すごく考え方は共感しました。

やっぱりここがベースなんだな〜と。
で、大事なのは、この施設のリーダーの方が最後におっしゃっていたことが、 この施設のコピーを世界のいろんな場所に作ることは現実的な解決方法だとは思っていない、ということです。


それよりも、この施設で何が行われてて、何がうまくいってていっていないのか、その要因の方がずっと大事
っておっしゃってたんですね。
まさにそれ!!と思ったんです。


なぜなら、住む場所も、生きてきた人生も、 彼らの取り巻いてきた環境、ここに至る背景というのは本当に個別具体である。
だから、それがただハードができただけで解決するようなものではなくて、大事な本質というのはやっぱりソフトにあるし、それっていうのはすごくすごく超個別対応的。

1人1人の時間、1人1人のリズムに重きを置く、 そのことによってそれぞれが「私」を生きるサポートをしていくっていう、時間はかかるかもしれないけれど、問題の解決としては本質的なものをよく理解できたからこそ、

wofaが未来の選択肢としてハードを増やしていくっていうのは、すごく違和感があったのはやっぱりその部分だなと思いました。


ハードができたからといって何か課題が解決するわけではなくって、 そこで何が行われるかがすごく大事。


余談ですが、ちょうど昨日、長野県の農業者の方たちが視察にお越しくださって、その方々はみんな男性だったんですが、彼らも 同じようなこと言ってたのが印象的でした。

長野は食品加工場がいっぱいある先進地ですが、今そこで働いている人たち、特に女性の皆さんが、より生き生きとハッピーに農業に携われるように力を発揮するにはどうしたらいいのかと、ソフトの部分をすごく勉強しようとしてくださってました。その姿勢はなんかすごく新鮮で、ありがたいな〜と思ったんですね。

結構お年を召された方たちが多かったので、どんな視察になるかなと、ちょっと不安だったんですが、かなり熱心な方たちで、この農業というものの本質を捉えられているんだなと感じて、嬉しかったです。


私たちも自分たちの施設の中で何が行われ、何をしていくか、何を残していくべきかっていうの、ちゃんと向き合いたいなと思いました。 



さて、ここからが配信外のお話です。

一人一人へのフォーカス、会社ではどう応用する?

一人一人の時間、一人一人のリズム。
それは1日をその人なりに過ごす介護施設では大事なあり方ですね。一律ではなく、一人一人にフォーカスしていると言う部分、一人一人が歩んできた人生の延長線上の暮らしを実現すると言う考え方など。


これ、農業や食品加工所ではどんなふうに実現できるだろう?
一律に、みんなで力を合わせて協力して何かを生み出していくことが重視される工場型の場合、具体的な一人一人の作業ペースやスピードと捉えてしまうと、難しそうです。

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