![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/158011319/rectangle_large_type_2_03b73a78e29bb98c30ed3346e9f7cf04.jpeg?width=1200)
おふくろの味の押し売り
長男は四半期に一度くらいの頻度で家族で我が家を訪れる。突然来ることはせず必ず前日~1週間前までに電話をくれる。
夕飯をうちで食べるのであらかじめ連絡しておく必要がある。
長男は好き嫌いなく育った?育てた?かわからないが好き嫌いなく何でも食べる。
“食育”という言葉があるが子育て中は特に栄養のバランスなど気遣って育てた。大人になっても健康でいられるように、困らないように。
息子3人育てたが幸いにも3人とも好き嫌いなく成長してくれた。私も食材の選択に困らずに済んだ。
なので長男のお嫁さんがものすごい好き嫌いがあるのには驚いた。そして親御さん食育苦労されただろうなと。
私は好き嫌いがないのでよくわからないが、好き嫌いが激しい人は、家族のために自分が食べられない食材を調理したり、自分の嫌いなメニューを作るんだろうか。
私は一度も誰にも言ったことはないが、長男は毎日どんな食生活をしているのか不安でしかたない。
肉、魚、野菜、海藻、キノコ類…
まんべんなく食べていてほしいがどうなんだろう。
納豆、オクラ、めかぶ、もずく、モロヘイヤ
ネバネバ食材は我が家はみんな大好きで毎日のようにどれかは食べていたが、お嫁さんはどれも嫌い。
カニ、抹茶、栗、辛味のあるものもダメらしい。
他にも嫌いなものを言われたが覚えきれないのでうちに来たときにはいちいち本人に確認している。
だから長男が我が家に来るという連絡を受けると頭の中は長男メインのメニューばかり思い浮かべる。そんなときはお嫁さんや孫たちが食べたいかどうかより、久しぶりに我が家に来る長男にせめて来たときくらいは栄養豊富な食材で美味しい料理を食べさせてやりたい、と考えてしまうのだ。いけない姑いけないおばあちゃん…
先日来たときも息子メインのメニューにしたが、孫たちはカボチャの煮物以外食べなかった。ポテトサラダやきんぴらごぼう、冷やっこすら食べないし、野菜を細かく刻んで作った夏野菜カレー(辛味なし)も全く口をつけなかった。食事の後、手付かずの皿を下げ、それらをゴミとして処理するときの空しさと悲しさ。朝から支度したのに、なんてそれは私の都合だからお嫁さんや孫には全く関係のないこと。私が好き嫌いのない息子メインで、しかも普段食べられていないであろうと思われる食事を作ってしまったのが原因。
何度もそんな思いをして今更ながら気づいたことがある。
息子がたま~に来たその1回に息子の体を思って好き嫌いの激しい孫やお嫁さんの嗜好を無視した料理を作ることを息子が喜ぶだろうか。
息子は手付かずの料理を見て私を気遣いお嫁さんや孫に食べてみるように勧める。息子もお嫁さんも孫もしんどい思いをする。
よく考えたら酷いことをしているよなあ
本当に息子のことを思うなら、ジャンクな料理でもいいからみんなが楽しく食べられたほうがいいに決まっている。
たまに来たときに体にいいものなんか食べさせても何の意味もない。
次からはおふくろの味は作らない。
息子はもう大人で別所帯で生きている。
その別所帯の味に慣れ、別所帯の暮らしの中で生きている。
うちに来たときはお嫁さんも孫も我が息子もお客さんなのよ。
私はそこをわきまえないと。
息子を困らせるのは本意ではない。
私が1番したくないこと。