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私はその病気にならない、は思い込み、HPVワクチンに思うこと

子宮頸がん、HPVワクチンの9価という種類が日本で認可されるか、が話題となった。私は高校生の時にHPVワクチンを両親に連れられて摂取した。ワクチンの副作用、効果はいろいろな情報があふれている。選ぶしかない。でも、自分はその病気にきっとならない、それだけは思い込みだと思う。

“歩けなくなる?記憶障害?そんな怖い副作用があるなら子どもに受けさせない”

“ワクチン?本当に効果あるの?今は元気だし受けなくていいや”

“そんな怪しいワクチンを認可するなんてとんでもない”

子宮頸がんワクチン、HPVワクチンについて調べていると、

いろんな反応がみえてくる。

感情的なものから、新聞記事や、webニュースを引用したもの、国内または論文に基づいたデータ、それをみた啓発の発信。
本当に情報があふれている。

こんな中で、自分の子どもにどうするか、自分がどうするか、選ぶのは大変なことだ。

HPVワクチンの9価認可について、そしてその反応をみるなかで
私は大事にしなくちゃいけないポイントが2つあると思う。

●その病気に自分は、きっとならないだろうと、という希望的観測は持たないほうがいいということ。

●10代の時期にワクチンの接種をうけるか決めるのは、親の意見が大きくかかわってくること。

ひとつめ、その病気にならないという思い込みは持たないほうがよいだろうということ。

若いうちはみんな元気だ。
病院に行くのは風邪かインフルエンザか、骨折か。
10代20代で、自分がいつか癌になるかもとか、長く入院するかも、とか
イメージはなかなかつかなくて当然だと思う。

でも、私は元気だし病気にならないだろうと、もちろん思っていたいけれど
そうはうまくいかないのが病気だ。

風邪になりたくないと気を付けていても、風邪になって学校や仕事を休んでしまったり。
大事な試験があるときにインフルエンザになったり。

私も去年突然腹痛に襲われ、腎盂腎炎と診断されて2週間以上入院したことがあった。

なりたくない、ならないだろうと思っていても、
誰でも病気になりうる可能性がある

もしその病気を予防できる方法があるなら、選んでいいんじゃないだろうか。

子宮頸がんについていわれているのはワクチンだけじゃない。

子宮頸がんの原因といわれるHPV(ヒトパピローマウイルス)に感染することを予防するワクチンの接種と、
感染して時間がたち癌、もしくは癌の前段階の病変を見つける定期的な子宮頸がん検診は
セットで推奨されている。

予防接種を受け、病気を予防すること。定期検診をうけ、病気を早期発見すること。

ワクチンだけじゃなくて、薬も、治療もそうだと思うのだけど、

生じる可能性のあるリスクや副作用も知ったうえで、選んでいくしかない。

いつか、自分がその病気になったときに
このワクチンをしておけばよかった、検診に行っていればよかったとなるのは、
大きな後悔になってしまうんじゃないかと思う。

** ふたつめ、10代でワクチン接種をするか否かの選択は、本人より親の意見が関わること。**

HPVワクチンの定期接種の対象年齢は小学6年生から高校1年生の女子で、

対象年齢を過ぎてからもワクチン接種は可能だが、任意の接種になり、自費負担になる。

私は高校生の時、母がクリニックに連れて行ってくれて、
半年かけてHPVワクチンを3回、腕に筋肉注射をしたことを覚えている。
住んでいる市区町村から定期接種の助成金の連絡がきたタイミングだったと思う。

10代、高校生の私には、そのワクチンを受ける受けないの選択をきかれた思い出はない。
インフルエンザのワクチン予防接種とか、風邪になったらどこに受診するかとかと同じ、
どこに受診するか、ワクチン接種を受けさせるか決めるのは、
正直、親だ。

筋肉注射は針を垂直に刺す、そして名前のとおり筋肉に刺す。
注射する前に一度注射の内筒をひいて、
血管に針の先が入っていないことを確認してから注射する、と
今看護師の知識をもっているとわかるけれど
当時は「なんかいつもの注射と違う…痛い」と感じた記憶がある。

一方で、当時、テレビではHPVワクチンを接種した女の子が
歩けなくなる、など重症な副作用になったこと、
車いすに乗る彼女と親達がワクチン反対と抗議している様子を放送していたことも覚えている。

「これ、私がしてもらったワクチンと一緒?そんなリスクのあるものだったんだ…」
と高校生の私はぼんやり思ったかもしれない。
でも、ほかにどんな副作用があったとか、彼女彼らが何を求めてどこに抗議していたのか、
細かいことは覚えていない。

映像は記憶に残りやすい。
車いすにのった、一見健康そうに見える同年代、少し上の女性の姿は
印象的で、衝撃的だった。

幸い、私はHPVワクチンの副作用はなにもなかったと思う。
10代後半でHPVワクチンを接種することができた。
23歳でうけたブライダルチェックでは子宮頸がん検査で異常なし、異常な細胞は見つからなかった。
25歳で2年ぶりにうけた子宮頸がん検査でも異常なしだった。

私は、定期接種を受けられる時期に受けさせてもらえたことを、両親に感謝している。

もちろん、これからどんな病気になるかわからないし、
ワクチンの効果が発揮されない高リスク型HPVにかかり、子宮頸がんがみつかるかもしれない。

HPVワクチンを打った私は
あとは定期的に検診うけて、症状も気にしていけたらいいな、と思っている。

参考資料

1)子宮頸がんは予防する方法があります。未来を守るために、今知っておきたいこと。

監修:横浜市立大学医学部 産婦人科 教授 宮城悦子先生 2017年7月作成

2)https://www.buzzfeed.com/jp/soutaromine/hpvv-mine-1

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