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約半年で変えたデザイン組織の働き方

こんにちは、下村 香菜子(Shimomura Kanako)です。
2024年8月よりユニ・チャーム株式会社のMDX本部でPdM兼デザインリードとして入社し、約半年が経ちました。

この半年間で、デザイン組織の運営・プロセスの改善に取り組んできました。今回は、直面した課題と実施した改善施策、その成果についてまとめたいと思います。
デザイン組織の運営や、チームの成長に悩んでいる方の参考になれば嬉しいです。

この記事はこんな人におすすめです
デザイン組織の運営に課題を感じている方
チームリードの経験がなく、何から始めればいいか悩んでいる方
デザインと他チームの連携に課題を感じている方


1. 直面した課題

デザインチームに加わり、まず感じたのは「進行の非効率さ」「コミュニケーションの雑さ」「デザイナーの役割の狭さ」でした。
特に、以下のような課題がありました。

🔍 チームの主な課題

① プロジェクト進行の非効率

  • MTGが多く、作業時間が確保できない

  • スケジュールが作られず、進行が不透明

  • 要件定義が発散しすぎてまとまらない

  • 変更対応のバッファがなく、仕様確定直前に大きく変わる

  • デザインが完成しても案件が止まり、リリースされない

② コミュニケーションと情報整理の課題

  • 口頭説明が多く、理解しづらい(視覚化不足)

  • 要件定義時点で検討範囲が狭まり、デザイン提案の余地が少ない

  • 仕様のキャッチアップが難しく、考慮漏れが発生しやすい

  • Must要件とWant要件の区別が曖昧

  • 違和感を抱えたまま進行し、後で問題が表面化

③ デザイナーの役割と成長の課題

  • デザインのパターン提案が弱く、バリエーションが少ない

  • デザイナーの関与範囲が狭い

  • アプリ開発外の領域でデザインを活かせていない


2. 実施した改善施策

これらの課題に対し、まずは出来るところから実践しようと考え以下の施策を実施しました。

🛠 プロジェクト進行の改善

✅ KPTの導入

  • デザインチーム内で月に1回振り返りを行い、課題を可視化

  • TRYを決める時に、デザインチームのTRYと個人のTRYを決める

KPT(ケプト、ケーピーティー)とは、振り返りのためのフレームワークの一つです。KPTを活用して振り返ることで、業務やプロジェクトの継続的な改善を目指します。

https://teams.qiita.com/kpt-model-for-work-review/

✅ MTGの効率化

  • 毎日行われていたデザインMTGを週3回に削減

  • 要件定義チームとのMTGをオプション化し、必要なときだけ開催

✅ 案件管理の標準化

  • 議事録やスケジュール管理のフォーマットを作成し、情報共有を徹底

  • Must要件とWant要件を明確にするよう要件定義側とコミュニケーションを取り、スコープのズレを防止

✅ レビュー体制の見直し

  • 以前はリーダーが全案件をチェックしていたが、以下の3段階に変更

    1. 方向性が決まっていない案件 → 私

    2. 方針が固まった大規模案件 → シニアメンバー

    3. 小規模案件 → メンバーが自走、定例内 or Slackでフィードバック


🚀 デザイナーの働き方の改善

✅ デザイントリセツの作成

  • デザイナーの自己紹介ページを作成し、スキルや得意領域を可視化

  • デザインチーム内外問わずどんな人達か知ってもらえる環境作り

✅ UI改善枠・自由研究枠の設置

  • デザイナーのみで案件確定ができるUI改善案件を導入し「リリースできない」というモチベーション低下を防ぐ

  • 「Widgetの検討」「ダークモード開発」など、ワクワクする案件を自由研究としてデザイナーのみで推進

✅ 開発以外でのデザイナーの関与

  • ユーザーストーリーマッピング(USM)のイラスト化を実施し、テキストだけだった資料を視覚的に整理


🌐 デザイン組織の拡張

✅ 横断デザイン組織の提案と導入

  • これまでデザイナーはアプリ開発に閉じていたが、他の組織とも連携できる横断組織化を提案

  • 2025年度から正式に横断デザイン組織へ移行

✅ 「MDXデザインLAB」の設立(デザイン勉強会)

  • デザイナーが成長できる場をつくるため、勉強+アウトプットを行う場を作成

  • 「マイクロインタラクション」「イラスト」「データ可視化」「トレンド」の4チームを作成


3. 改善による変化と成果

効果が見えるものと見えないものがありますが、わかりやすい成果をご紹介します。

📈 改善の成果

MTG時間の削減で、デザイナーの作業時間が増加 
  ⭐️最大週4.5h 増
レビュー体制の変更により、フィードバックサイクルが短縮 
  ⭐️案件消化率71%UP 1スプリント7案件→12案件
横断組織化によりデザイナーがプロダクト開発以外にも関与可能に
  工数の貸し借り、知識共有が可能(絶賛格闘中)
UI改善枠の導入により、モチベーション維持と改善サイクルができた
  約半年で約30件
KPTの実施により課題の認識合わせ、チームの目標の目線合わせが可能に
  TRYの達成率約60%=小さな課題を日々解決


4. 今後の展望

この半年間で、デザイン組織の課題を明確にし、改善の第一歩を踏み出しました。しかし、まだ解決すべき課題は多くあります。

🎯 今後の重点課題

  • アプリ開発以外のデザイン領域での価値創出

  • デザイナーの提案力を強化するための育成施策

  • 更なるスケジュール・案件管理の最適化

小さく積み上げながら改善を進めて行こうと思います。

最後に

フリーランス時代とは異なり、「チームとしての成果を最大化する」ことに重きを置くようになりました。
この半年で、デザイン組織運営・プロセス改善の重要性を実感し、デザイン組織の可能性をより広げられる手応えを感じています。

今後も試行錯誤しながら、より良いデザイン組織を目指していきます。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

💬 「デザイン組織の運営で悩んでいること」や「同じような課題に直面した経験」があれば、ぜひコメントでシェアしてください!

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