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三為とは?「三為の特約」を理解しよう

こんにちは。不動産会社を営んでいるえのかなです。
今日は「三為(さんため)」についてお話ししたいと思います。
怖い方々に目をつけられませんように。。

外国人の方からの相談を受けると結構高い確率で「三為」の記載がされていることがあります。

弊社が三為をすることは今までもこれからもないですが、仲介業者として、三為の契約に介入することはこれまで何度かありましたので、特約についてお話ししたいと思います。


そもそも三為とは?

法律用語で「第三者のためにする契約」を指します。具体的には、契約当事者(売主と買主)の間で交わされる契約において、買主が自分以外の第三者を受益者として、直接その第三者に所有権の移転をすることが可能になります。

つまり、この場合では、物件の売買契約が売主と買主の間で成立しても、買主が指定した第三者に直接物件の所有権が移転される仕組みが「三為」と呼ばれるの
です。

三為自体が悪いことではないのですが、悪用されるリスクが伴うため、慎重に対応する必要があり、不当に儲けようとしている業者も存在しているのも事実です。

今回はそういうブラックサイドには触れず、どのような特約を入れて、売主さんにも分かりやすく説明するかについてご紹介していきます。

三為の特約例

まずは三為の特約の例文を記載したいと思います。

所有権移転先および移転時期
(1)買主は、本物件の所有権の移転先となる者(買主を含む)を指定するものとし、売主は、本物件の所有権を買主の指定する者に対し買主の指定および売買代⾦全額の⽀払いを条件として直接移転することとします。

所有権留保
(2)売買代⾦全額を⽀払った後であっても、買主が買主⾃⾝を本物件の所有権の移転先に改めて書⾯をもって指定しない限り、買主に本物件の所有権移転はしないものとします。

受益の意思表⽰の受領委託
(3)売主は、移転先に指定された者が売主に対してする「本物件の所有権の移転を受ける旨の意思表⽰」受領権限を買主に与えます。

買主の移転債務の履⾏の引受
(4)買主以外のものに本物件の所有権を移転させるときは、売主は、買主がその者に対して負う所有権の移転債務を履⾏するために、その者に本物件の所有権を直接移転するものとします。

(5)売主は、買主の合意のもと、売買代⾦全額の受領と同時に、本物件所有権移転登記申請に必要な書類⼀切を買主の指定する司法書⼠に預けるものとします。なお、代⾦決済より3ケ⽉以内に所有権移転登記を完了することを売主・買主は確認しました。

(6) 売主は、買主が事業を⽬的として本物件を取得し、本契約締結後再販売することをあらかじめ了承します。

(7)本契約の売買契約書作成通数は1通とし、売主が原本を、買主はその写しを保有します。また、売買契約書に貼付けする印紙は、売主の負担とすることを売主・買主は確認しました。

(8)本物件の残代⾦決済の場所は買主が指定することとします。

(9)売主は、管理費・修繕積⽴⾦等に滞納等がある場合は、本物件引渡時までに売主の負担をもって⽀払うものとする。

先⾏賃貸⼊居者募集及び賃貸契約についての取決め

売買契約から残代⾦決済までに下記条件にて買主に代理権限を与えるものとします。
① 買主の費⽤と負担で募集業務を⾏うものとします。
② 賃貸契約についての⼀切の代理権限を買主に委任するものとします。
③ 申し込みから契約までの進捗状況を買主は売主に速やかに報告するものとし、契約の場合は売主の承認を得るものとします。
④ 買主は貸主として⼊居者と契約します。
⑤ 敷⾦など預り⾦は買主が受領します。
⑥ 賃貸⼊居開始より発⽣した修繕義務は買主が負担するものとします。
⑦ 借主から受領する賃料については引渡の前⽇までの分を売主の収益、引渡⽇以降の分を買主の収益とします。

所有権の移転について

簡単にまとめると、買主は誰に物件の所有権を移転するかを指定することができ、売主はその指定に従う必要がありますよ。ということです。そして、買主が指定するまでは、買主自身に所有権は移らないのです。

例えば、売主が買主Bに売却する契約を結んだとしたら、所有権は新買主であるCに売主→Cに直接移すということです。

弊社で仲介する際に付け加えたのは「代金決済後3か月以内に所有権の移転登記を完了します」という文言です。

これを入れておかないとずっと買主が新所有者を見つけるまで、権利関係が宙ぶらりんになったまま、かつ売主には既になんのパワーもないので、買主が何かしら行動するのを待つしか無くなってしまいます。こんな状況を阻止するための「パワフルな一文」だと思います。

賃貸に関する取り決め

売買契約後、残りの代金を支払うまでに、買主は自分の費用で賃貸入居者を募集できます。買主は賃貸契約の全てを代理で行う権限を持ちますが、契約時には売主の承認が必要です。というのが大事なポイントです。

募集はできるけど、売主の承認が必要だよということですね。

この時は売主の意向で契約は決済後を希望する旨を伝えたので、募集のみ先行して行うということでお話が纏まりました。

このように、三為の場合は、通常の契約とは違うポイントを押さえておく必要があったり、売主と買主の間で所有権の移転や賃貸契約に関するルールが詳細に決めておく必要があります。

たまに一文だけで「これは第三者のためにする契約ですよ」的な文言を一言入れて、契約する業者さんがいますが、これは危険すぎるし、売主がきちんと理解しているとは思えません。

真っ向から説明できる不動産取引のプロとしてお仕事していきたいです。

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