「あーまたやっちった。グラス落としちゃった。」 「今日も重力がちゃんと働いている証拠だね」 「…は?馬鹿にしてる?」 「馬鹿になんかしてないよ。事実を言っただけ。」 「友達少ないでしょって言われません?」 「あっ言われます。僕思うんですけど、友達が少ないって悪いことなんでしょうか。友達100人いたら絶対疲れますよ。一人ぐらいは誰だっけこの人ってなりますよ。そういえば、たまにスマホを操作しているのかスマホに操作されているのかわからなくなる時があります。現代人はスマホを触りすぎな
今日、あの人に最後に会いにゆく。 最後まで好きだった。耳の下のにおいも、すこし鼻にかかったような声も、眉毛の角度も。 彼は港を愛していた。私は、琥珀色に煌めく海を見ながら泣きそうな瞳をしているのを見るのが好きだった。 でも、いつしか「あ、」と思うことが増えた。そのたびに切なくなった。 私から「お別れしましょう」と告げた。 「わかった」 「…なんで理由もきかないの?」 「だって、もう決めたんだろ。理由をきいてもしょうがないよ。」 「…さよなら」 きっと、この人
え?結婚式じゃないの?と思った人は挙手。 28歳、秋本優河。 私は今から離婚式をする。 ひそかに離婚式、というものが流行ってると言うのを知ったのは4年前だった。 ちなみにまだインスタで#離婚式と調べてもほとんど投稿は出てこない。出てきてもなんか禍々しい投稿だ。 元夫は秋本春生。 3年続いた結婚生活は特に地獄でも墓場でもなかった。夫は優しかった。ただ、本当にこの人と一生添い遂げなきゃいけないのか?と思ったのだ。 正直、子供はまだそこまで欲しくないし、まだまだ恋だっ
「なんであの子死んだんだろう」 あーまただ。うっせぇよ。パシャパシャ シャッター切ってんならそこらへんのタバコの 吸い殻でも拾っとけボケが。 群衆を横目でチラ見し、ボロボロのスニーカーで歩く。 22歳、坂本未冬。フリーター。だるい。 世の中だるい。むかつく。何にむかついてる? 世間だ。 今日電車でさりげなく触ってきたオッサン。 バイト終わりにさりげなーくホテルに誘ってきた バ先の売れないバンドマン。ちなみにそいつは 金髪のロン毛。いつの時代だよ。そいつはいつも 社会に対する