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「先生の白い嘘」感想・5年前と今

今映画化で話題になってる「先生の白い嘘」。読んだ人はみんな何かしらの衝撃を受ける話だと思います。

今は映画の宣伝もあるし、みんなこれを読んで、性被害を受けた主人公の話だとはっきり読み取れますよね。

しかしボンクラ女子の私は、初読時(2018〜2019あたり)にこの当然のことさえ読み取れていなかったのです。

それに気づいたのは、当時、全巻読み終わったあとに、誰か有名な漫画家が書いた書評だっかコメントを読んだとき。その中で「主人公は早藤にレイプされたことを最終巻でやっと被害として警察に言う」的なことが書かれていて、心底たまげた。

えっ…あれ、レイプってことになるの?!たしかに最初は無理やりだったが、その後も主人公はその相手と度々普通に会ってるし。ただの浮気、的なやつだったんじゃないの、と思ったわけです。

これがおよそ5年前。いやー今文章化してみてもおぞましいですね。

私は女性で、もう中年なのに、同じ女性がどういうふうに被害に遭い抑圧されどういう心理過程を経てその事実を自責のうちに押し込めてきたのか、さっぱり知らなかった。知ろうともしてなかった。無知。

また、それはおかしい、私たちは被害者であり加害者はオマエだ、そして社会だ、と声を上げ続けてきた女性たちの、今にして思えば血の滲むような努力や根性も、この作品が世に出された意義とか、そういうことも全くわかってなかった。

これまでの人生で痴漢含めて性被害にあったことがない私はただただラッキーで、社会人になってからはホモソーシャルな男社会で生きていくために、ホモホモしい男の価値基準を自分に取り入れて、まるでお気楽に生きていたのです。

久々に再読したけど、今ならボンクラ女子の自分でもこれはレイプ、とわかると思う。なぜなら社会規範がそう変わったから。被害者の声がYahooニュースのトップに出るようになってきたから。望まない性行為のあと、加害者と何事もなかったように人間関係を続けてしまうことが、自分を更に傷付けないための術としてよくあるのだ、ということが、世間一般に広まったから。

そういうわけでこんなボンクラ女子の自分には、この作品については何も言う資格がないのです。。。

ただ、漫画の感想を少し書くと、初読時、主人公が自分を取り戻すためであっても、男子生徒と恋愛のような関係になるのが凄く嫌だった。

私は男の価値基準をうちに秘めて社会人をやっていたので、社会的に許されないことをしている、自分の仕事を全うしていない主人公が許せなかったし、男子高校生にとってはそれ(社会人女性と恋をすること)も加害だと思ってしまって、物語に入り込めなかった。

しかし、今読み直すと、そもそも主人公はその社会ってやつに何ら救われなかったのだから、自分の救いのために今さら社会倫理基準の遵守などどうでも良い。という読み方考え方もあるのかもしれない、と思った。

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