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”内定承諾後”の辞退は、「あり」だけど「正しい」のか?

こんにちは、かなけんです。


■冒頭

本日のテーマはこちら。
「”内定承諾後”の辞退は、「あり」だけど「正しい」のか?」

内定承諾後の辞退は、とてもナイーブなテーマです。

個別性が高く、一律的な正解は出しづらいのが正直なところ。

ただ先日、Twitterで以下の書き込みがあった際、思わず反応してしまいました。私自身、採用に関わる立場として、それなりにこのケースの経験があるからです。


以前、大学就職支援担当の方が、就活生に「とりあえず承諾書を出して、後で辞退したくなったらキャンセルすればいいじゃん。」と仰ったリアル事例をツイートしましたが、この手の話は本当に正解がないので難しい…。


一個人の"感情"だけを素直に言わせてもらえれば、「そんなことを吹き込みやがってコノヤロー!!」という気持ちなわけですが、当事者の立場や置かれている状況を考えると、そのように助言をしたくなるのも分からなくはないのです。

答えのない話ですが、私なりの見解が少しでもお役に立てればと思います。


■発生要因

そもそも、なぜ内定承諾後の辞退は発生するのでしょうか。

よくあるケースの1つが「後出しジャンケン」です。

1つ目の内定先はあくまで"キープ(補欠、本命は別)"として扱っておき、いったん内定承諾した後、本命が受かったら乗り換えるパターン。

意図せず進捗のタイミングが合わない、アンコントローラブルなケースもありますが、「本命企業を後回しにしたい」という心理状態も少なからず影響しているかと思います。

本命を後回しにはするものの、「本命は落ちるかもしれない。(落ちる可能性のほうが高い)」という不安はあるわけですから、「落ちる可能性に備え、滑り止めとして先の内定を入社先としてキープしておこう」と考え、いったん内定承諾するわけです。

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また、別のケースとしては「マリッジブルー」があります。

内定承諾を決めた時は「本当にここに決めた!」と思えていても、"外野(口コミ、他の内定者、家族など)"の声をきっかけに漠然とした不安が先立つわけです。

就職先の選択は、その人の人生にとって重要な決断ですから、「誰かに背中を押してもらいたいな」と思うのは自然なことと思います。

それが逆に、当てにしていた人から「後ろ髪を引かれる」わけですから「あれ?自分の決断、もしかしたら間違っていたかも・・」となってしまいますよね。

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また、中途採用の場合は「カウンター」もあります。(後出しジャンケンと似ていますが。)

現職を辞めようとしたら、「〇〇するから、残らないか?」と金銭や部署異動など、残留というカードを切られてしまい、翻意してしまうケースです。

それまでお世話になった方々への恩義もあるでしょうし、転職理由が解消してしまうと「辞める理由」自体が無くなってしまうわけです。

そりゃ、迷いますよね…。

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というようにケースは様々ですが、共通項は、

「内定承諾の決断をした後、本人にとって"想定外の出来事"が起きたから」

これに尽きるでしょう。(もともと悪意のあった場合は別として)

この、”想定外の出来事”の発生が、自分が下した決断を迷わせてしまうわけです。


■ありか、なしか?

内定承諾後の辞退が「ありか、なしか?」と問われたら、皆さんはどう答えますか?

私は「あり」です。

というか、この2択しかないと「あり」としか答えようがないんです・・・。

そりゃ、心情的には「なしだろ!!」と声を大きくして言いたいですが、他の方も以下のように仰っているように法的拘束力はないわけです


入社後の準備がすでに進んでいるケース、他の候補者を落としてしまって仕切り直しをせざるを得ないケース(新卒だと仕切り直せない場合もある)もありますから、企業側には何らかの害が発生するわけですが、実害を請求するようなケースは稀かと思います。

「一度した約束を破るってどういうこと?あの時、嘘をついたんですか?」

とひたすら問い詰めまくって相手を黙らせたり、とにかく謝らせたりすることはできるかもしれませんが、最終的には何も生まれません

なので、内定承諾後の辞退を言われた側としては、「そうですか・・・」としか返しようがありません。

事実を把握した直後はショックで言葉が出ないかと思いますが、少し気持ちを落ち着けた後は、「何故、このような事が起きてしまったのか」と反省モードに切り替えていきます。

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■正しいのか?

私は、「ありか?なしか?」という論点よりも、「正しいか?正しくないか?」という考え方を大事にしてほしいと思っています。

これは”外野”が「正しさ」を考えて審判を下す、ということではありません。

当事者であるご本人が、自分自身で「正しさ」というものを考えてほしい、という願いです。

法的な正しさも含めた論理と共に、自分自身の感情、相手の企業が感じるであろう気持ち、内定承諾によって他の候補者が不合格になった可能性なども含め、「何が正しいのか?」を考えてほしいと思います。

答えは100ケース100通りです。

誰も正解は言ってくれませんし、自分が考えた「正しさ」が正解となるわけです。

そして外野が何と言おうと、自分が下した決断を信じ、「正しいもの」にしてほしいと思います。

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■より正しいと思う行動を心がけてほしい

内定承諾後の辞退が正しいか、正しくないかについて、私は結論を出すことが難しいのですが、本質だと思うことについて、最後に触れさせてください。

私は、この問題の本質は、「内定承諾後の辞退」という事象ではなく、”手前”にあると考えます。

手前とは「内定承諾の”前段階”における行動のとり方」です。

比喩した言葉を使うならば、「川の水は、必ず上流から下流だけに流れる」、「覆水盆に返らず」といったところでしょうか。

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前工程の進め方がより正しければ、後工程もより正しく進むはず。

これが真理ではないかなと思うわけです。

過去のブログにて「内定承諾・内定辞退のしかた」を記載しましたが、よければ参考にしてほしいと思います。

私個人の率直な気持ちを言えば、「仮に辞退になっても、一度内定を出した方の選考評価までは撤回したくない」という想いです。

残念ながら”内定(入社先)”を2つ以上持ち越すことはできませんが、”内定に至った個人に対する評価”は全部持ち越し可能なんです。

辞退をしたからといって、一度内定を出した方の評価は下がりません。

むしろ、丁寧に断っていただいたほうが「残念だけど、やっぱ、この方に内定を出して良かった。」という気持ちになれます。

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もしも内定承諾後の辞退が発生してしまったとしても、そう思いたい。

そんな風に思う人事もいるんだな、と想像してもらった上で、1つ1つの行動の正しさを考えてみてください。

何事も「一事が万事」かと思います。


就職先の決定、転職先の決定は、人生にとって大きな岐路に立つ話

簡単に決められないことですし、決めた後も不安は尽きません。

しかし、当然ですが、〝誰かのせい”にもできません。

トコトン悩み抜いた上で、自分自身の正しさで決断いただければと思います。

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■続編 2021年2月2日(追記)

以下、続編で書いた記事(中途採用/転職のケースを想定)もリンクとして掲載させていただきます。よろしければこちらもご覧くださいませ。


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かなけん(金丸健人)@ディーバ人事(IT×会計)/キャリアコンサルタント
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