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コロナで若年者の就職氷河期がくるのか、事実(データ)で検証してみたら、震えました。。

こんにちは、かなけんです。

■冒頭

本日のテーマはこちら。
「コロナで若年者の就職氷河期がくるのか、事実(データ)で検証してみたら、震えました。。」
(※注:若年者(若年層):日本の15~34歳の人口と定義します。)

現在、コロナウイルスが各方面に多大なる影響をもたらしています。(原稿執筆@2020年4月26日)

まずは怖い病気自体が終息することを願いつつも、1人のキャリアの専門家として、また1人の採用人事として、「この先の雇用環境にどのような影響があるか」について、気を揉んでいます。

以下のデータ等は、私自身が自分の脳みそを整理するために行った自己満足作業ですが、他の人の参考になるかも、と思ったので公開いたします。

若年者への影響調査を目的に調べていましたが、そもそも雇用環境全体に大きな影響が予測され、理論値ながらも失業率予測の数字を計算してみたら、悪化リスクの大きさに驚愕し、震えました。。

ちなみに、やたらデータやグラフ図が多い、長文のnoteになってます。

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1つ1つのデータをじっくり見ていくと、流れで全体感が掴めるとは思いますが、眠くなるので、ぜひ最初(仮説)と最後(考察)だけでもご覧になっていただければ嬉しいです。


■結論(仮説)

私は、今回のコロナの影響について、「若年者(15~34歳)に限定すれば、そこまで大きく心配する必要はない」という見解を持ちました。

ただし、2018年や2019年と比べれば、”目先の数年の雇用環境”が悪化することは明らかであり、全ての世代同様、若年者の方々も苦労することは間違いありません。

今後のGDPのマイナスの振れ幅によっては、戦後最大の失業率悪化のリスクがデータ上から明らかになりました。(そうなって欲しくない。。)

上記の「若手は、あまり心配する必要がない」という私の主張は、あくまで5~10年程度の中長期スパンで考えると、ということです。そのスパンで考えれば、目先の変化よりも、若手にとってはもっと大事な視点がありそうだ、ということです。

以下のデータが、多くの皆さんにとって参考になりますと幸いです。

※お断り
私は分析の専門家ではありませんので、公共のデータを用いていますが、検証や考察に穴があった場合はご了承ください。(もし穴がありましたら、ぜひご指摘ください。即修正します。)


■①過去のデータを見てみる

◇◇①-1 日本の人口(a総人口、b労働力人口、c就労者数、d完全失業者数、e非労働力人口)

まずは、誰もがざっくりは知っている情報の1つ、”a日本の総人口”を見てみましょう。

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データは、以下の総務省統計局のデータをお借りしました。

上記統計によると、2020年4月1日時点の総人口は1億2596万人とのことでした。

1990年から現在までの過去データを、Excelでグラフにしてみると、以下のような感じです。

1-1a総人口推移

日本の人口が減少に転じた、というニュースをどこかで聞いた記憶がありましたが、やっぱりデータで見ると減ってますね。(グラフにすると2000年代後半がピークのようです。)


次に、総人口のうち、「労働力(働き手)」に該当する部分にフォーカスしていきます。

まずは定義から整理します。

※労働力人口と非労働力人口
①総人口のうち、”15歳以上(中学卒業以降)”にフォーカス
 ※65歳以上の高齢者も含む
↓↓
②15歳以上の人口を以下の2つに分ける
 ★b労働力人口:働く人(学生含む)+失業中の人(働く意思あり)
 ★e非労働力人口:働いておらず、且つ働く意思がない人(※)
  ※事情があって働きたくても働けない方も含む
↓↓
③今回は主に「労働力人口」を見る
 ★働く人→c就業者数
 ★失業中の人→d完全失業者数

これらの数字から、15歳以上で日本に住む人の中で、「働く意思があり、実際に働いている人」がどの程度存在し、どのような状況になっているか?について、多面的に読み取ることができます。
(なお、非労働力人口の中にも、潜在的に就職を希望している人が存在しているため、数字自体は取り上げます。)

では、グラフで各項目の数字とその推移を見てみましょう。

1-1b労働力人口推移

1-1c就業者数推移

1-1d失業者人口推移

1-1e非労働力人口推移

これだけだと、ただの数字の羅列ですから、「ふーん。」という感じですよね。

上記のデータから見えてくる傾向としては、ざっと以下という感じでしょうか。

◇日本の人口は2010年頃から減少傾向
◇労働者人口と就業者数は2010年頃から増加傾向
◇非労働者人口は2010年頃から減っている(主婦や高齢者が働き手に)

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◇◇①-2 日本の完全失業率

次に完全失業率の推移を見てみましょう。

先のデータの「b労働力人口」と「d完全失業者数」を用いて出す数字です。

計算は「d完全失業者/b労働力人口×100(%)」です。

1-2失業率推移

分母のb労働力人口の増減はあるものの、ほぼほぼ、分子のd完全失業者数の変動と同じカーブを描いています。完全失業率は、失業者数の推移におおよそ連動する、といってよいでしょう。

読み取れる内容としては、以下かなと思います。

◇1990年始めのバブル崩壊以降、失業者が緩やかに増え続け、12年かけて約3%悪化し、2002年に”5.38%”になった(※失業者数:359万人)
◇2008年のリーマンショック後、1年だけで一気に約1%悪化して、2009年に”5.07%”になった(※失業者数:336万人)
◇2010年代に入って景気回復期が長期的に続き、2019年には”2.36%”にまで改善した(※失業者数:162万人)

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◇◇①-3 日本の転職者数、転職率

次に転職者数も見てみましょう。当初は、見る意味があるのか?と思ったのですが、失業者や転職者のパターンとして、「①望まない失業(≒仕方ない転職)」「②意図的な失業(≒望んでの転職)」に分かれると考え、何らかの関係性を見るために抽出してみました。

転職率の計算は「転職者数/c就業者数×100(%)」です。

1-3転職者、転職率推移

もともと日本は、終身雇用が当たり前だったのもあり、1990年代に入るまでは、転職すること自体が相当珍しかったかと思います。(数値的にも、転職率も全体の3%未満でした。)

それがバブル崩壊後、転職者数は右肩上がりでぐんぐんと上昇し、2006年には346万人(就業者数の約5.5%)に達しました。(20人に1人が1年間で転職する時代になった。)

また、この1990年代から2000年代にかけての時期は、バブル崩壊後の不景気時代と重なりますので、「①望まない失業(仕方なく転職する)」となった方と合わせ、「②意図的な失業(望んで転職する)」も転職が当たり前の時代になると共に増加し、その2つが重なっての結果だと思われます。

その後、2008年のリーマンショックがあり、転職者数は2010年には283万人(就業者数の約4.5%)まで落ち込みましたが、直近の2010年代は景気回復と共に、ベースの就業者人口の増加、及び先の①と②も重なってか、2019年は過去最大の351万人(就業者の約5.2%)に達しました。

転職することが一般的になった今の時代においては、転職数そのものよりも、「中身」に注目することが大事そうですね。

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◇◇①-4 日本の非正規雇用数、非正規雇用率

続いて、正規雇用-非正規雇用の変化についても見ていきましょう。

もともと戦後から終身雇用制度がずっと根付いてきた日本ですが、最近では非正規雇用問題がよくニュースにも出てきますよね。数字をグラフで見てみましょう。

非正規雇用率の計算は「非正規雇用数/c就業者数×100(%)」です。

1-4非正規雇用数、非正規雇用率推移

The・右肩上がりと言ってよいグラフになってますね。

この30年(1990年→2020年)で非正規雇用数は2倍強となり、就業者数全体の比率としても2倍になり、非正規雇用の方が日本の就業者数の「3分の1」を占めるまでになっていることが分かります。

増えた要因としては、これまで専業主婦だった方がパートに出たり、定年を超えた高齢者の方々が嘱託社員として引き続き働いている等、個人の事情に紐づく部分も多々あるかと思います。(非労働者力人口が減り、労働力人口や就業者数が増えている。)

そこに加え、先々の景気変動などの経営リスクに備えるために、非正規雇用比率を意図的に高めてきた企業の事情もあったことと思います。

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◇◇①-5 日本の名目GDP(総額、1人あたり)

次は、少し異なる観点から見たいと思います。この辺りは、個人的にはあまり詳しい部分ではないため、数字だけを引っ張る形になります。

参考にしたのは以下の2つ(内閣府とIMFの統計データ)です。


まずはGDPの定義を見ていきましょう。

GDP(国内総生産)とは?
・Gross Domestic Productの略
・一定期間内に国内で産み出された付加価値の総額

※解説
国内総生産(GDP)は、その国内領土に居住する経済主体を基準にした数値「居住者たる生産者による国内生産活動の結果、生み出された付加価値の総額」をいう。

原則として、国内総生産には市場で取引された財やサービスの生産のみが計上される。市場で取引されない活動は、GDPには含まれない。このため、家事労働やボランティア活動などは国内総生産には計上されない

日本の国内総生産は、内閣府が推計し、速報値や改定値として発表しているが、詳細な計算方法は公開されていない。
※Wikiより抜粋

まぁ、私の理解としては、
「ある期間において、日本で人や仕組が生み出した、お金に換算される市場価値の総額」
という感じで理解しました。

ということで、「円単位」と「ドル単位」でグラフを見てみましょう。

1-5名目GDP推移

※備考①:GDPデータは「年度」単位となるため、人口データとは3ヶ月期間がズレます。(4月→翌3月)
※備考②:内閣府のデータは1994年以降で計算方法が変わっていたため、それ以前との相対比較で「約104%」の差があると勝手に仮定しています。よって1990~1993年は概算値(古い計算方法数値×1.04)です。
※備考③:2019年の日本円データ(554兆円)は、2019年12月分までしかデータがないため、1月→3月分を”138兆円”と仮定しての概算値です。米ドルデータも前年と同じ為替と仮定しての概算値です。

あわせて、日本円データをもとに、総人口1人あたり、及び就業者数1人あたりの金額も出してみます。

1-5名目GDP1人あたり推移

一概に「年収」とは言ってはいけない気がしますが、雑に言っていいならば、国民1人あたり(赤ちゃんも含め)で400万円強の付加価値を出し、就業者1人あたりだと800万円強の付加価値を出している国、ということでしょうか。

先にお伝えしたように、この数字についてはあまり細かく見解を述べることが難しいため、あくまで”感想”になりますが、リーマンショック後に「日本の1990~2010年は失われた20年」と言われていた部分が、数字でみると「確かに・・・」という感じですね。

決して日本が成長していない、というわけではないですが、IMFのデータで諸外国と比較すると、”日本は低成長時代”という印象を強烈に受けました。

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■②若年者に絞ってデータを見る

◇◇②-1 日本の若年者の人口(a総人口、b労働者人口、c就労者人口、d失業者人口、e非労働者人口)

ここまでは日本全体の数値を見てきましたが、次に「若年者」に絞ったデータを見てみましょう。

ここでいう若年者は「15-34歳」を対象にしています。統計データから抽出する関係で、①15-34歳、②35-64歳、③65-歳で分けてみることにしました。
(※備考:15~24歳の就業者数の全体30%くらい(約200万人)は就労学生となっていましたが、「働いている」という事実に基づき、内包して計算しています。)

それでは、以下をご覧ください。(日本全体の数字と比較しています。)

2-1a若年層人口推移

2-1b若年層労働力人口推移

2-1c若年層就業者数推移

2-1d若年層失業者数推移

2-1e若年者非労働力人口数推移

いやー、明らかに日本全体のデータとは、推移の仕方が違いますね。少子高齢化に向かっていることが、グラフから大変よく分かります。

一番印象的なのは、バブル崩壊後の不景気以降、リーマンショック前後を挟んでも、完全失業者数全体のうち、若年者が占める人数の比率がずっと下がり続けていた、ということです。それだけ分母(若年者人口)減っているということでしょうね。

また若年者の非労働力人口が、この30年間で比率が半減(約1400万人→約770万人)しているデータからは、女性が普通に社会に出て活躍をしている流れも明らかでした。

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◇◇②-2 日本の若年者の完全失業率

次に、若年者の完全失業率を見ていきます。

バブル崩壊後の就職氷河期世代、リーマンショック後の氷河期世代という言い方をされますが、実際に細かく数字で見たことがなかったので、ここは是非とも見てたいと思い、見てみました。
(※なお、ご理解をいただけると思いますが、若年者と言えども34歳までを含めているので、純粋な新卒採用系のデータではありません。第二新卒も含めてという感じでご覧ください。)

2-2若年者失業率推移

上記データから、バブル崩壊後の就職氷河期世代のピークは2002年のようです。完全失業者数は年平均で「168万人」、完全失業率は「7.56%」とのデータであり、過去最大値となっていました。

数字の変化の仕方、グラフのカーブの描き方は全体と変わりませんが、労働者人口全体の数字と比べると1~2%高くなっているので、比率だけで言えば、若年者には厳しい雇用環境だった、ということが言えます。

リーマンショック後の2009年については、若年者の完全失業者数は年平均で「139万人」、完全失業率は「7.24%」と、2002年に次いで2番目に悪い数字となっていました。

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◇◇②-3 日本の若年層の転職者数、転職率

次に若年者に絞った形での転職者数、転職率を見ていきましょう。

新卒は、景気不景気に関係なく3年間で入社したうちの3割が辞める、という事実も含め、若年者の方は総じて、全体よりも転職率が高いというイメージは、比較的多くの方が持っているのではないでしょうか。

では見てみましょう。

2-3若年者転職者数推移

なんとも、分析しづらいグラフですね。。

①今も昔も恒常的に若年者はよく転職している
②景気悪化で失業してしまい、仕方なく転職するケース
③転職を繰り返してキャリアアップするのが当たり前の時代になった


きっと、この辺りの変数が毎年毎年、ごちゃごちゃしているんだと思います。

これはグラフにはしませんが、ある年の「若年者の転職者数」から「若年者の完全失業者数」を引いた差を比べると、少し気付くことがありました。この30年間、常に「転職者数>失業者数」だったんです。

35歳以降を含めた労働者人口全体で見ると、2002年前後や2009年前後はマイナスに振れていました。中には同じ人で2回、3回と転職する方もいるでしょうし、全ての方には当てはまらないかもしれません。

ただ、数字としては、景気が良かろうと悪かろうと、若年者は常に「転職者数が失業者数を上回っている」という事実は面白いですね。

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◇◇②-4 日本の若年者の非正規雇用数、非正規雇用率

次に若年者の非正規雇用状況を見てみましょう。

なお、この数字には、「働きながら学校に通う学生」も一部含まれている点に留意する必要があると思います。(非正規のアルバイトとかも多いと思われるため)

2-4若年者非正規社員数推移

数字自体は、全体の傾向と同じであり、右肩上がりで上昇していて、就業者数全体の30%を占めている、となっていました。

今回の分析では男女差までは見ていませんが、30代前半あたりの専業主婦の方がパートに出ている、というケースなども一部該当するかもしれません。

全体数値との違いの特徴としては、2005年頃をピークに人数自体は減少傾向にある、という点でしょうか。これは若年者の労働力人口、就業者数自体が減っている影響が大きいのでしょうね。

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■③コロナの影響を検証する

◇◇③-1 相関度チェック(GDP×人口)

①で日本全体の数字、②で若年者に焦点を当てた数字をご覧いただきました。

次に、コロナウイルスによる影響をシミュレーションしていく上で、どの組み合わせで考えるとより合理的なのかを考えてみます。

そもそも確固たる当たりどころがあったわけではないものの、私は「経済規模(GDP)」と「働き手(労働人口)」に相関があるのでは?という見立てを立てました。

それが一定あると言えれば、

①GDPを変数にする
↓↓
②必要な働き手(就業者数)が予測できる
↓↓
③雇用環境影響の仮説が立てられる(失業数などの予測ができる)

と考えました。

そこで、Excel関数の「CORREL」さんのお力をお借りし、1990年~2019年までの30年の数値を元手に、それぞれの相関度を確認すると、ざっと以下となりました。

【比較対象】:相関係数
・GDP総額(円)←→総人口(名):0.301
・GDP総額(円)←→労働力人口(名):0.812 ※強い相関
・GDP総額(円)←→就業者数(名):0.883 ※強い相関
・GDP総額(円)←→完全失業者数(名):-0.0297
・GDP成長率(円-%)←→完全失業率(%):-0.486 ※それなりの相関
・GDP成長率(円-%)←→完全失業率増減(%):-0.454 ※それなりの相関
・GDP総額(円)←→非労働力人口:0.224
・GDP総額(円)←→転職者数:0.667 ※そこそこ強い相関
・GDP総額(円)←→非正規社員数:0.460 ※それなりの相関

なお、相関度の確認の仕方は以下を参考にしています。

正直、こういう分析には普段、全然慣れていないので、数字から直感的に感じたことに留まりますが、一定以下の点が言えるかなと思いました。

◇GDP総額(円)と、「労働力人口」や「就業者数」に強い正の相関が認められる
◇GDP成長率(円)と、「完全失業率」や「完全失業率増減」にやや負の相関が認められる

(※転職者と非正規社員数の相関は、たまたま同時期に増えて相関が見えるだけと思いますのでスルーしました。)

GDPが減ったら必ず失業者が増える、とまではハッキリ主張はできませんが、

「①GDPが減る→②労働力人口や就業者数も必要な数が減る→③必要数に対して就業者数が余剰の場合、失業率が上昇する可能性(失業者が増える可能性)が高い」

という仮説は考えられそうです。

現実の世界としては、たとえ経済規模が縮小しても、企業が雇用維持を選択したり、政府が雇用調整助成金制度を強化することによって、実際にはすぐの失業者増加や失業率上昇を抑えてきたのかもしれません。
(なので結果的に、1年間毎にみた数字だけだと、GDPと失業率や失業者との相関度はそこまで高くない?)

ただ、失業者や失業率は、15歳以上の人口全体の1~2%程度に過ぎません。

それよりも、就業者数(15歳以上の人口全体の60%前後、全労働者人口の95%強)で見ると、「ある1年間の経済規模(GDP)に見合った人数が、ほぼほぼ比例して、その1年間の間に雇用をされてきた」とは言えそうな気がします。

うーん。なんか、目先のコロナによる景気変動も心配ですが、日本の中長期的な人口変化(労働力人口の減少)のほうが気になってきました。


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※追記(2020/4/29)
本noteを一度UPした後、知人から指摘をもらい、「相関関係があるからといっても、関係性があるだけであって、因果関係があるとまでは言いきれない」とのことでした。
参考:https://sigma-eye.com/2018/12/01/soukan-and-inga/
この辺りは、現時点では予測不能なことについて、できる限り予測を立ててみようと試行錯誤している中での仮説止まりであることはご了承ください。

◇◇③-2 日本の就業者全体で、今後の雇用環境を考えてみる

中長期の未来の考察は後にし、目先のコロナウイルスによって起きるかもしれない雇用影響を考えてみたいと思います。

先に導いた「GDP」を変数に、「2020年に必要な就業者数=2019年の就業者数×GDP成長率」で見ていきたいと思います。

まず、上記のリサーチにもありますが、まずコロナのような影響がなければ、2030年くらいまでの10年間くらいは、急速に労働力人口が落ち込む想定はなかったようです。

つまり、一定の就労意欲を持った高齢者やパートに出ている主婦の方、日本に来てくれている外国人などを含め、6700万人の就業者人口については、特に急に減る予定はなかった、ということが前提です。

3-2完全失業率がどうなるか?


いったい、この数字がどれくらいの短い期間でどれくらい変化するのでしょう。そんな時、noteを書いている間に、怖いニュースが流れ込んできました。。

いやー、まじですか。。

アメリカが四半期のGDPが40%落ち込むというのは対岸の火事ではなく、日本も2020年3月くらいから経済の一部がほぼ止まっていると言ってもおかしくないですから、「GDPがプラスで終わる余地はまずない」というのは誰しもがアグリーでしょう。

この記事の中では、日本はGDPが10%ダウンの可能性ということで、急遽作っていたグラフをさらに横に伸ばしましたが、怖くてそこの数字までは正直、可視化していませんでした。。

ということでご覧ください。

3-2完全失業率予測

・GDPが-1%成長:失業者が67万人増加(失業率3.3%
・GDPが-3%成長:失業者が200万人増加(失業率5.28%
・GDPが-5%成長:失業者が330万人増加(失業率7.24%


・GDPが-10%成長:失業者が670万人増加(失業率12.12%

もちろん、これはあくまで計算上の理論値です。

念のため、もう一度言うと、「GDPが減少する→就業者人口が減る(雇用ニーズ総数が減る)」というのはあくまで、一個人の「仮説」に過ぎません。

実際には政府や企業によって「雇用維持の努力」がなされていくでしょうし、落ち着いてくれば並行して需要も回復していくことでしょう。それこそお肉券やお魚券も含め、景気回復に向け、全員が協力をしていけば回避できることも沢山あると思います。

ただ、キャリアコンサルタントとして、雇用や採用については身近な立場である自分ですら、この試算には背筋が凍りました。。。

なぜ今、「とにかく会社を潰さず、かつ雇用を維持することが大事なのか??」が容易に想像できますね。(一度、会社が潰れたり、雇用を失ってしまうと、経済の戻りが遅くなる。)

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◇◇③-3 日本の若年者に絞って、今後の雇用環境を考えてみる

GDPが1%減ると、「67万人」の雇用ニーズが減る。(仮説)

文字にすると、ドライな見方になってしまいますが、もしも自分が経営者だとしたら、どうするかを考えてみます。

「雇用維持」、「なんとしてでも耐える」がまずは第一ですが、それすら立ち行かなくなった場合の話です。

その場合、「まずはどこから削っていくか?」がポイントになるかと思います。

例えば、正規雇用-非正規雇用だと、まずは非正規雇用が削る対象になってしまうのかもしれません。

また、若手人材と高齢者だったら高齢者側の雇用をカットするのかもしれません。いや、若手人材は育てる手間がかかるから、若手側から雇用がカットされるのかもしれません。(そもそも若手を採用しない)

景気が冷え込み、労働力需要そのものが落ち込む中、果たしてどうなるでしょうか。

3-3若年者完全失業率がどうなるか?

3-3若年者完全失業率予測

もし、仮にGDPが-5%になると、理論的には全体で約330万人の新規失業者が発生する計算で、完全失業者数は全体で約500万人となります。

その時の若年者(15~34歳)の失業者数は、約85万人増え、理論上だと150万人弱となります。(上の図参照)

その時、若年者が置かれる立場は、相対的にどうなるのか。

例えば、以下の図から言えることを考えます。

3-3就業者数(世代別)

若年者は、就業者数全体の25%で約1700万人います。一方、65歳以上の就業者は約900万人で、そのうち約400万人が非正規雇用者です。

先の若年者の失業者数見込み(GDP-5%の場合は約150万人)は、あくまで理論値であり、実際はどの世代の雇用をカットするか?が選択できる場合は、高齢者になってしまうような気がしました。

3-3非正規社員数(世代別)

また、別の観点で非正規雇用に焦点を当てると、若年者は、非正規雇用全体の18%にあたる、約550万人が存在しています。

一方、35歳以上65歳未満の就業者の非正規雇用者は約1200万人。65歳以上も合わせると、約1600万人もの非正規雇用の方がいらっしゃいます。

ごく短期的には「実務経験も知識も実績もない、投資回収に時間のかかる新人」ということで若年者の雇用カットが先に来るかもしれません。

ただ、少し先を見据えると、総人口が間違いなく減っていき、少子高齢者化が進むことを考えれば、どこかのタイミングで「若年者雇用>35歳以上の雇用」になり、その後にまた、これまでと同様に「若年者も、主婦も高齢者も外国人も全員の働き手が必要」になっていくことと思います。

そういう意味では、ここから目先の1~2年(下手すると3~5年。。)は、全ての世代が苦しい状況に追い込まれる可能性はあっても、若年者については、決して悲観することなく、足元を固めていくことが大事なのではないか、と考えました。

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■④まとめ(考察)

「厳しい環境は、生物に無目的に起きる変異を選別し、進化に方向性を与える」

すみません。私が言ったことじゃないです。笑)

そう、かのダーウィンさんが唱えた進化の説です。自然淘汰説とも言うそうです。(淘汰って言葉はドキっとします。)

強い者のよりも変化に適応(進化)した者が生き残る。

そのような積極的に変化を受け入れようとする気持ちや姿勢を保つことが大事かもしれませんね。(定性的な部分として)

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今後の雇用環境については、数字にすると暗い予測しかできず、なんとも言い難い気持ちになりました。。ただ、冷静に考える必要がありますよね。

世界中の国で経済規模(GDP)が下落する(ロックダウンをした国は少なくとも2ヶ月は経済を止めているので、年間のGDPが1割落ち込むのは想定可能)

・おそらくコロナが落ち着いてくると、外需がすぐには期待できない分、まずは各々の国にて内需の喚起が大事になる(そりゃそうですよね。。まずは自国の経済を立て直す。)

・日本においては今後、内需をいきなり高めることは難しい可能性が高い(ほとんど人口が増えない(減るほうが多い)こともあり、低成長時代が続いていたから)

このような状況ですと、若年者の方、特に新卒採用でこれから社会に出ようとする方にとっては、しばらくは厳しい状況になるかもしれません。

上記のような記事が今後増えてくるでしょうね。。

中途採用は、必要な人材をすぐに補充できるジャストインタイムなので、全体は厳しくなっても一定数は底堅く需要が続いていくと思います。

一方で新卒採用は、「未来への投資(一定の赤字を許容)」ですから、採用が慎重な方向に舵を切ることは致し方ない部分でもあります。

なので皆さん、もしかすると、今後しばらくは目当てだった会社には入れないかもしれません。

でも、今は平時ではなく、”有事”です。

自分が入りたい会社、自分がやりたいことも大切にしてほしい一方、「世の中から今、必要とされている産業、会社」も、ぜひ見ていってほしいと思います。

「今自分がやるべきこと、相手から求められること」に集中し、”前向き(進化)な気持ち”ではたらき続け、社会人としての基礎を固めることが大事ではないでしょうか。

変化を許容し、柔軟に進化してまいりましょう!

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かなけん(金丸健人)@ディーバ人事(IT×会計)/キャリアコンサルタント
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