”NGリスクが高い逆質問”を面接で聞いてしまう本質をまじめに考えてみた
こんにちは、かなけんです。
今日のテーマはこちら。
「”NGリスクが高い逆質問”を面接で聞いてしまう本質を考えてみた」
■冒頭
採用面接官を一定期間やっている方なら経験があると思いますが、「なぜ、その質問をするのかな?」と疑問に思うことがあります。
以下のTwitterでも例示してますが、例えば「福利厚生は何がありますか?」とか、「残業時間はどれくらいですか?」、「社内の雰囲気はどんな感じですか?」とかが挙げられます。
面接官からは、だいたい「質疑応答では何でも聞いてくださいね!」と言われるでしょうから、”自由に何でも聞くこと”自体には罪はありません。
上記の「〇〇は?」を含め、”質問内容に優劣や良し悪しは存在しない”が正しいと私は思っています。なので、何を聞いても全く問題はないです。
しかし、「この質問をしてくる人、ちょっと微妙だな・・・。」という感情が面接官側に湧き出てくるケースがあることも現実として起きています。
今回は、この面接官と応募者との間で発生する、”質疑応答でのギャップ”の本質を考えてみたいと思います。
■しないで済むならそれが一番
巷では、逆質問について、すでに様々な「How to(リスク回避策・問題解決策)」が示されていました。
面接で相手に悪印象を持たれるくらいなら、いっそのこと”リスクを冒さない”が無難なのは間違いありません。
けれど、「余計なことは絶対するな」と言われても、そんなことは誰でも分かりますよね。怒)
では、分かっていても、なぜリスクテイクをしちゃうのでしょうか。
■”挑戦したい”より、”安心安全が欲しい”が先
NGとされがちな逆質問の例を見ていると、共通項が見えてきました。シンプルに、依存的(受身的)質問や、自己中心的な質問です。
これは、あのマズローが分かりやすいですね。(しんさんのブログをお借りします。)
この5段階において”低次元”とされる、「①生理的欲求」や「②安全の欲求」に関する質問が多いですね。
ようは「私の”物質的欲求”をまずは満たせる会社ですか、おたくは?」の質問をしているわけです。(そんな聞き方を敢えてする人はいないと思いますが…)
質問内容が正しいか正しくないか、好きか嫌いかの前に、”生物(人間)として聞きたくなってしまうもの”と考えれば、仕方がないのかもしれません。
■NGリスクの高い質問はダメなのか
では、”低次元”の質問はしてはいけないのでしょうか。相手に微妙だなと思われるようなリスクのある質問は絶対にNGなのでしょうか。
”高次元”にあたる自己実現の話とか、仕事を通じて成長したいとか、そういう前向きに映るような質問だけをするべきなのでしょうか。
私はNOです。
もちろん、誤解を生むような”質問の仕方”は避けるべきです。やる気ない、受身な奴だ、と思われるような行為は控え、何らかの工夫をする必要はあるでしょう。
けれど、”自分の人生の時間や命”を預けようかどうかの選択は、決して簡単ではありません。奴隷制でも徴兵制でもない民主主義の時代において、当然ながら職業選択の自由が存在しています。
文字通り、「”身を削って貢献する”に値する会社か否か?」を見極める権利があります。そして「労働に見合う”対価”を得られる会社か否か?」を知る権利があります。
面接後に「実は聞けなかった。」と言われても、「なぜ、正直にあの時に聞かなかったんですか?」と言われてしまうのがオチ。
”聞きたいことを聞く”は我慢せず、聞いちゃいましょう!
■面接官も対等に”辞退リスク”を抱えている
この話は一方的ではなく、双方にとって”対等”であることも忘れてはいけません。
面接官側だって、変な質問を応募者にしてしまえば、「なんだ、この会社は?」って思われるリスクを抱えています。逆質問への回答が微妙な場合、”辞退リスク”もあるわけです。
もしも”会社版(組織版)の欲求5段階説”があるならば、「毎日出勤してくれるか?」、「人柄や性格に問題はないか?」、「能力やスキルはあるのか?」、「すぐに辞めないか?」といった、”低次元”だけど応募者に向かってしたい質問は山ほどあります。笑)
「個人の自己実現」と「会社の事業実現」は表裏一体であり、一蓮托生です。
面接は、1回あたり30~60分という”限られた時間、空間”です。回数も数回程度ですから、せいぜい時間にすると”0.5日分(4時間程度)”に過ぎません。
入社後の過ごす時間と比べると、1ヶ月160時間で「320倍」、1年で「3,840倍」、3年で「11,520倍」に達します。
”長期間その会社にお世話になるつもり”であればあるほど、”低次元”だろうがなんだろうが、確認したくなるのは当然、と思ってよいかと思います。
■合目的性
少し調べてみると、”合目的性”という言葉がありました。
意味としては、「事物のあり方が一定の目的にかなっていること」とされ、自然の事物は一定の目的にかなって生成するものとされ、その原因や素は”目的”にある。
さらに合目的性は、哲学者のカントの考察(判断力批判)によると、①主観的合目的性、②客観的合目的性に分けられるそうです。
①主観的合目的性:美的判断力
快・不快といった”感情”によって判定する判断力のこと
②客観的合目的性:目的論的判断力
悟性や理性によって判定する判断力のこと
ちょっと専門家じゃないので、カタイ話はこの辺りにしておきますね。笑)でも、なんだか面白そうなので、本を買ってみようと思います。
■内容よりも”意図”を伝えることが大切
少しカタイ話はさておき、最後にまとめです。
私なりの結論は、
”何のために(目的)”もセットで質問するべし。
だと思います。
目的を”できる限り未来”に置き、お互いに長く働き、活躍してもらいたいなら、本音で腹を割って話し合い、双方が納得するまで確認しあえることが理想です。
面接がNGになるかどうか、辞退になるかどうかの”短期(面接のみ)”で見るのか。それとも”長期(入社後)”を見据えるのか。
カントの言葉を借りるならば、目先の美的判断力(感情)だけじゃなく、先々を見据えた目的論的判断力(悟性・理性)もセットで話し合いましょう。
内容よりも、目的を大切に。
”目的や意図なき質問”は避けましょう。