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【志望校】「なんでわざわざそんな高校に行きたいの?」と言われた娘が、最終的に進路を決めるまで

中三の冬。
三者面談が無事終わり、長女の進路が決定した。

まだ受験は終わってないが、
とりあえず親としては一安心である。

とはいえ、当の本人の中ではとっくに「進路」は決まっていた。長女は小学校3年生の時に、もう行きたい高校を決めていたからだ。

ちなみに母は、最近までそれを知らなかった。
この前、長女がそう言ってて
「え?そんなに早くから決めてたの?」と驚いた。

長女の志望校は「I高校の英語科」
市内にある、私立の女子高である。

中1から中3まで何度も提出した「進路調査表」に、彼女は一貫して「第一希望・I高校の英語科」と書いた。そして、第二希望も第三希望も書かずに出し続けた。それだけ意思が強かった。

そんな彼女も、一度だけ、
「I高校の英語科、やめる…?」と悩んだことがある。

本人も悩んだ。周りから色々言われて、母も幾分ショックを受けた。

それでも最終的には本人も十分納得して、初志貫徹、I高校の英語科を受ける事に決めたのだ。

今日はそんな長女の受験ストーリーをお送りする。

皆様のお子さんも、これから中学受験や高校受験で志望校を決める際に悩むことがあるだろう。いや、きっと悩む。だってみんな悩むから。

そんな時に、親として、ぜひ気を付けて欲しいことをここに書き残しておきたいと思う。


うちの長女は小3で行きたい高校を決めた。
らしい。

そもそも我が街には高校が少ない。
いや、商業、工業、高専、製菓、家政など多ジャンルであるにはあるが、長女のレベルに合った普通高校が少ない。男子校もあるので、長女が検討可能な高校は数校。

①C高校(公立・共学)※偏差値高め
②H高校
(公立・共学)※人気で倍率高し
③I高校・特進
(私立・女子)※国公立大志向
④I高校・英語科
(私立・女子)※私立文系志向
⑤S高校
(私立・女子)※私大国公立大様々

高校から親元を離れることは考えてないので(さみしいから)自宅から通学することを考えると、長女の選択肢は5校くらいかな~、と母は思っていた。

しかし長女の頭の中は「④I高校・英語科」一択だったらしい。

ちなみに、私はその「I高校・英語科」卒だ。
よって、私の友人はI高の卒業生が圧倒的に多い。

みんな口々に「高校楽しかったよね~」「あの頃は最高だったよね~」と話すので、多分それを小耳に挟みながら大きくなった長女に、あの高校は楽しいらしいぞ、と刷り込まれたのだろう。

私の母もI高校で20年美術講師を勤めたゴリゴリのI高派だったし、なんと義姉もI高校。母としては他の選択肢も提示はしてみたが、みんなしてあの高校の話をするので、刷り込み過ぎるぐらい刷り込まれてしまった。

I高校の英語科に入るために、必要な英検や成績の目標を決めて、彼女はただひたすら勉強した。それは親から見ていても頑張り過ぎているくらいだった。

しかし、I高校英語科は実はそんなにレベルの高いところではない。大学の指定校推薦枠が多いので、進路実績を見ると英語科からでも有名私大に入る人はいるが、高校入試自体は難しくない。長女はがんばりすぎて、I高校の特進や公立のC高校も目指せるレベルに近づいてきた。

そんな中3の春、長女はお試しで塾の春期講習に参加した。しかし、その塾の面談(という名の新規営業)で、思いもよらないことを言われたのだ。

母と娘で呼ばれた塾の応接室。

「志望校は決まってるの?」
と塾の先生に聞かれた娘は

「I高校の英語科希望です」と答えた。すると

「今の成績なら公立高も目指せるのに、なぜわざわざそんなレベルの低いところに行きたいの?」と言われたのだ。

私たちは、親子揃ってびっくりした。
レベルが低い?あの英語科が?

私が出た高校の英語科だ。
時代はそんなに変わったのか。

いや、そりゃ、レベルが高いとは思ってなかったし、特進やC高に比べたら劣るのは知っていたが、説明会で聞いた去年の進路実績や授業内容は、決してレベルが低いとは思えなかったけどな。娘が長年目指してたところは、そんな「レベルが低い」と言われるところなのか…。

「今、英語科ってそんなにレベルが低いんですか?」

私もつい、聞いてしまった。

「公立で言ったらA高と同じくらいで、偏差値だったら50くらいじゃないですか?」

正直、A高は検討にも入れていなかった。
長女の友人の中でもA高に行きたい子という子はあまり聞かない。

「特進ならまだしも英語科は偏差値も高くないし、I高の数ある指定校推薦枠も、特進コースの子が優先的に取っていく仕組みになっています。キミなら特進も目指せるのに、なぜ英語科に行きたいの?」

「英語が一番得意だし、英語が好きなんです。」

長女は答えた。先生は続ける。

「ランクで言っても、英語科ならFランクの成績でも入れます。お嬢さんの成績ならもったいないでしょう。なぜ公立のC高は目指さないんですか?」

正直、私たちはショックでその先生の言葉が耳に入ってこなかった。

塾の先生は、何度も「あなたなら公立も目指せるのに、なぜ私立に…」と言った。

きっとその先生に悪気はない。
あなたならもっと高いレベルも目指せますよ!と励ましてくれたのだろう。塾の先生としては真っ当な意見だ。それでも、私も娘も幾分ショックを受けた。

がっくり来た私たちは、意気消沈して面談を終えた。

娘が長年目指していたのは「なんでわざわざあそこに…」と言われるようなところだったのか。

少なくとも私のいた時代は、クラスメイトもGMARCHやICU、関関同立に入る子もいたのに、そんなに時代は、いや、あの学校は変わってしまったのか。

別に有名大学に入るだけがすべてじゃない。
でも、本人がそこを目指したいと言うのであれば、英語科が一番向いているのではと娘も私も信じてしまっていた。

帰り道、娘はすでに悩んでいた。

「英語科、やめたほうがいいのかな…。」

「まぁ、ああ言われたらちょっと悩むよね。」

「でも、I高校にはやっぱり行きたいから、今から特進目指したほうがいいかな」

「いやぁ、ママにもわかんないや…。とりあえず、今度説明会の時にI高校で先生に聞いてみようよ。英語科のレベルはどうなのか、指定校は特進から優先的に取って行っちゃうのかとかさ。それを聞いてから判断しようよ。」

長女は落ち込んでいた。
そしてその日から悩み始めた。


5月にI高校の説明会に参加することにした。
保護者向けの説明会だ。

私は悩んで、特進の説明を受けた。
去年英語科の説明会に出たから、違いを知りたかったのだ。

娘にも聞かせたかったけど、生徒対象の説明会は夏まで開催がない。

説明会のあと、私は先生一人を捕まえて、質問した。昔、現代文を教えてくれた女の先生だ。私たちに「推薦組は急いでまゆげを生やせ!!」というありがたい教えを下さった、あの先生。私のことも覚えていてくれた。

懐かしいご挨拶の後に「先生、悩んでるので、正直に聞いていいですか?」と話した。

うちの娘は英語科が第一志望な事。でも塾で「なんで英語科に?」と言われたこと。特進から指定校推薦枠は取られていくというのは、本当なのでしょうか、と。

すると、先生は答えてくれた。

「それは、違います。」と。はっきり。

「まず、指定校推薦は”特進優先”や”英語科優先”という大学側からの指定もありますが、それは1~2校で、あとは文系理系の指定のみです。なので、学校としても、特進の子に優先的に指定校を取らせることはありません。」と。

「実際には、高3で受ける全国模試の結果などで総合的に判断するので、私たちは学科では優劣を判断しません。」

と、はっきりと教えてくれた。

「では、特進と英語科、一番の違いは何なんですか?」

私も食い下がる。

「特進は国公立や医大を目指す子も多いので、授業は5教科まんべんなく進めて行きますし、特に数学の比重は大きいです。でも、英語科は指定校や自己推薦も含めて私立文系に進む子が多いので、高2からは数学と理科は選択制になり、大学受験科目の英国社に集中することも出来ます。何より英語科は一日の時間割の半分以上は様々な英語の授業です。英語と文系に特化したクラスだと思ってください。」

「でも、言いにくいのですが、英語科はA高と同じくらいの偏差値でFランクでも入れるよ、と言われました。昔はそんな事なかったと思うのですが、昔に比べてレベルは下がったんでしょうか?」

「いやいや、そんなことはないと思います。長年この学校にいる私たちから見て、むしろ英語科の進路実績は上がっています。去年の進路実績をA高と比べて見てください。全然違うと思いますよ。」

たしかに。A高校からは4年生大学に進む人の割合も多くはないはずだ。

「I高校は、皆で手厚く指導します。Fランクで入ってきても、3年後には有名私大に入れるくらい成長させるのが、うちの高校です。」

それは、たしかに説得力がある。
だって私がそうだったから。

「なんか、安心しました。先生に聞けて良かったです。塾の先生の話を聞いてから、ずっと悩んでたんです。」

「外では色々言われているのは私たちの耳にも入ってきますが、心配だったら、他の先生たちにも聞いてみてください。嘘はつきませんし、実際に中にいる私たちの言葉が一番事実に近いと思いますよ。」

その先生は、やさしく微笑んでくれた。
みんな嘘をつくような先生たちではない。
それはよく知っている。

「この街では、公立希望の受験生が多いので、私立の倍率はどこも高くはありません。でも、入試の倍率が高くないからと言って、レベルが低い訳ではないし、3年間成長させて希望の大学へ入れるために、この学校の先生たちは、生徒の希望に対して絶対に「それは無理だ」とは言いません。叶うように、教師一同最大限のサポートをします。それが進路実績にもつながっていると思います。」

それはホントそうだ。昔からそうだもん。
腑に落ちた。そんな気がした。

私はその言葉を持ち帰り、長女に伝えた。

黙って私の話を聞いていた長女は
「やっぱ私、英語科にするわ」と心を決めた。
「だって数学やりたくないもん。」と。

ま、理由がなんであれ、そしてコースがどっちであれ、本人の気持ちが固まったことが、何よりよかった。


塾の先生の話や周りの評判と事実は、
違うと言うこともある。

特に関西や関東の大きな都市とは違い、地方都市ではやはり私立の人気は低い。みんな公立高を目指すので、私も生徒の親御さんから「なんでわざわざお嬢さんを私立に行かせたいんですか?」とはっきり言われたこともある。

今度、私立と公立の違いはゆっくりnoteに書くが、要は、その子の特性に合っているかと、高校のその先の進路はどこに進みたいのかで進路を決めればよいと思う。

私立には私立の、公立には公立の良さがある。
大事なのは、自分の子に、
「どちらが合っているか」だ。

うちの娘は、

①英国が得意で数理が苦手
→文系で、受験科目も数理がない私立向き
出来れば入学してからも数学の比重の少ない学科希望

②高校卒業後は関東の私立大を目指している
→特進よりも受験科目に集中出来る英語科向き

③出来れば一般ではなく、推薦で大学受験したい
→指定校枠が豊富な私立高校向き

という理由で志望校が決定した。
まだ受かってないけど、今のところ長女に合った正しい選択だと思っている。まだ受かってないけどね。受けてもないけど。


親は、学校の先生や塾の先生、ママ友や周りから色々な意見を聞き、それを子どもに伝える。しかし、その周りから聞いた情報が正しいとは限らない。

私も実際、この夏、生徒たちの志望校も含めて何校も説明会に参加したが、あれ?聞いていたより悪くないぞ?という高校もあれば、評判ほどは良さを感じられない、という高校もあった。

実際にその学校に訪れると、設備が整ってるなー、とか、学生の顔が生き生きしてるなーとか、肌でしか感じられないものが、本当にたくさんある。そして、インターネットやパンフレットには載っていない情報に出会う事も多々ある。

実際に足を運び、肌で感じる。

これが一番大切だと、
私は生徒にも保護者にも言う。

実際に足を運び、そこの先生や生徒に直接話を聞き、感じることは、本当に本当に大事だ。それで人生が変わるかもしれないし。

そこのキミ。
もしキミが中学生や高校生で、志望校が決まっていないなら、次ある説明会に申し込み、行ってみて。行ってみないとわからない事って、あるから。

そして、親御さん。
もしあなたのお子さんがこの先の進路に悩んでいたら、たくさんの正しい情報を集め、提示し、その中からお子さんが興味のある学校があったら、時期を待たずに、なる早で連れて行ってあげてください。

高校受験なら、黙っていたら中3の夏まで説明会の案内は学校からは来ません。中1でも中2でも、自分でHPを確認して、説明会にじゃんじゃん申し込んでください。そして、早めに学校を見せてあげてください。説明会じゃなくても、オープンキャンパスや学校祭でもいいです。肌で感じる体験をさせてあげてください。

本人も気づいてない、好みや好きな雰囲気、やりたいことに刺さる可能性があります。そして、「絶対あの高校に入りたい!」という気持ちは、その後の勉強の大きなモチベーションとなり、本人も予想だにしない結果をもたらします。

そして大学受験なら、高校に入ってすぐにでも、興味のある大学に連れて行ってあげるのも良いと思います。関東ならディズニーに行くついでに、関西ならUSJのついででもいいです。あ、OURHOMEのついででもいいです。大学は高校と違って、オープンキャンパスの期間じゃなくても、大学は食堂など一般公開されているところも多いです。実際に行ってみて、衝撃を受け、志望校を変えた生徒も知っています。

何度も同じことを言いますが、親が出来る事は、

①情報を集め、その選択肢を子に提示する事
②実際にお金を出し、そこに連れて行くこと

その二つだと思います。

私も、来年中2になる双子を、どんどん高校説明会に誘う予定です。そして、高校生になるだろう長女を、関東の大学を見せに連れて行く予定です。

本人は、「ICUが海外みたいで素敵ー♡」とか、「立教は雰囲気が良さそうー!」とか言ってますが、まぁ、きっと高校に入り、現実を知り、その大学のレベルを見て打ちのめされることでしょう。

それでも、きっとそれがいつか勉強ががんばれるモチベーションになればいいな。

長女よ。
その前にまず、高校に入ろうな。

高校入試まであと1か月ちょい。

全国の受験生、頑張れー!!!!!






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