
【教訓】アレルギー外来の先生に学んだ「よい先生」とは?
我が家の双子は、
小さい頃からアトピー性皮膚炎だ。
幼児のころはまだ、肘や膝の裏など一部だけだった炎症が、小学生に上がると、首、おなか、そして顔にも目立ち始めた。
理由は、薬をちゃんと塗らないから、
なんだけどね。
皮膚科には1歳から通っていて、市内にある
「あそこはアトピーが良くなるらしい」という
皮膚科をいくつか訪れた。が、最終的に現在通っている、予約が取りやすく、比較的待ち時間の少ない皮膚科に落ち着いていた。
数か月に一度受診し、保湿剤と塗り薬をもらう。
先生は優しく物腰も柔らかく、
「症状は変わらないですね~。
いつものお薬、いくつほしいですか?」
という感じで、話も早い。
そうしてここ数年、その先生にお世話になっていたのだが、2023年、この暑さと、GWに東京に行ったせいもあるのか、今年は双子も顔をひっかいてかさぶたが出来たり、腕や足もアトピーの部分は血が出たり、液が出たり…。
でもそこを見せたくないからと、
この暑さの中、長袖・長ズボンを着る始末。
これでは悪化してしまうと悩み、8月、思い切って友人に教えてもらったアレルギー外来の先生の予約を取ることにした。
その先生は、友人の息子が受診し、その子はアレルギー検査を受けて、診察の結果、舌の下に錠剤を一分間入れる、という治療を6歳から始めることにしたそう。
その治療は長期間に渡るけど、結果アレルギーがかなり寛解するとのことで、熱心でよい先生だったよ!と勧めてもらった。
アトピーはアレルギーの一種だとは知ってるけど、二人がなんのアレルギーを持ってるのか検査したことはないし、中学に入ったら部活も始まり、病院に連れて行くのもきっと大変になる。
今のうちに治療をはじめてもらおう!
薬を塗ってくれないなら、次の一手。
その舌の下にいれる錠剤とやらを処方してもらおう!そんな気持ちでその先生の予約を取った。
受診1回目。
担当の鈴木先生は、優しそうな30代くらいの若い男の先生。まずは二人を座らせて、アトピー性皮膚炎とはどんな病気なのかを、画像やデータでわかりやすく説明してくれる。
そして二人に、
アレルギーや鼻炎や結膜炎の問診をしたあと、
「お二人はアレルギー検査の必要はないと思います。」というのだ。
確かに、二人はアトピーはあるけど、食物アレルギーはないし、鼻炎も結膜炎もひどくはない。えー、ちょっとアレルギー検査したかったなーと
思っていたら、「それは喜ぶべきことですよ」と教えてくれた。
そのうえで、二人の症状を見て、
「あなたたち二人に一番必要な治療、それは、塗り薬を、毎日、決められた量、自分でしっかり塗る事です。」と目を見て、諭してくれたのだ。
その上で。
・今二人の肌はどういう状態にあるのか、
・どうして毎日塗り薬を塗る必要があるのか、
・それをどのくらいの期間続けたらよいのか、
・結果、どのくらいの状態に改善するのかを、
しっかりと「二人に」説明してくれた。
感動した。
母、感動しました。
「二人が薬を塗らない」ということが一番の問題だとはわかっていても、そこに一緒にコミットしてくれる先生はいなかった。
そして私自身も、薬を塗ってくれないなら、違う方法で…と諦めてさえいた。
でも、根本の原因は、薬の種類でも、治療法でもない。二人が薬を塗らない、塗りたくないことにあるのだと、改めて気づかされたのだ。
そして、何より、
すべて"本人たち"に説明して、納得させ、同意を取る。母親にではない。本人たちに諭す。
当たり前かもしれないけど、
それって本当に大事だと思う。
でも、同時に気が付く。
今まで私が出過ぎていたのかもしれない。
Emiさんが以前話していたけど、子どもの自立という事を考えても、病院を受診する時、症状を子ども自身の口から説明させることは大切。それは、そのあと先生が、症状や治療方法を「親に」話すか「子に」話すかにも影響するのかもしれない。
うちの双子はもう12歳で、説明も理解も出来る年齢になったから、というのもあると思うが、Emiさんの話を聞いてから、ここ最近は、なるべく私は出過ぎないように、説明しすぎないように、しているつもりだった。
今まで、ついつい私が説明しちゃってたもんな。
やっぱり、母は出過ぎちゃいかんのだ。
鈴木先生は、二人の目を見て、
「まずは3週間、この薬を朝晩毎日塗る。
僕は3週間後にもう一度君たちの状態を見る。
それまで、がんばってくれるかな?」
と聞いてくれた。
外では無表情が多く無言の二人は、
黙ってうなずいていた。
それでも、その先生の一言はてきめんに効いた。
なんと、その日から二人は、毎日朝晩二回、それも小さじ3杯というそこそこ多い量の薬を、しっかりと塗るようになったのだ!
これには母さん、驚いた。
正直、母は、またちゃんと塗らないんじゃないだろうか、と心配だったからだ。
そうか、母の言うことは聞かなくても、
「先生」の言うことは聞くのかもしれない。
私も英語の「先生」だ。
「先生」という、"私その道のプロです!"という肩書は、そういう意味では、強いのかもしれない。
3週間の間、まぁ、正直、そこはもうちょっと多めに塗ったら?とか、次女に比べて三女の方が塗ってる量少なくないか?とか、口出ししたいところはたくさんあったのですが、何とか、がまん。
いや、ちょっとは言ったけど。
そして2回目の受診。
鈴木先生は、二人の身体の経過を一か所ずつ丁寧に確認して、前回撮ったbeforeの写真と比べ、かなり改善しましたね!と褒めてくれた。
先生の2回目の診療で、
私が感動した部分は5つ。
①目に見える結果(before→after写真)で比較してくれる。→確かに全然肌が変わってた!
②成果を言語化してくれる。
(「顔の炎症がなくなり、腕のかさぶたもなくなり、全体的にザラザラしていた部分がきれいになってきたね」)→客観的に評価が伝わる
③頑張りを褒めてくれる。
(「こうして見せてもらっただけで、二人が3週間頑張ったことがわかるよ」「よくがんばったね」)→「先生」にがんばりを認めてもらえるって、めちゃ大事!!
④感謝してくれる。
(「まずは、お願いした通り薬を塗ってくれてうれしい。ありがとう!」)→感謝したいのはこっちです、先生!!
⑤その後の進め方について「本人に」相談する。
(「薬の頻度を、1日おきにするのと、朝だけか晩だけにするのと、どっちがいい?」「このベタベタの薬、耐えられる?耐えられない?など」)→ちなみに二人は「耐えられない」と答え、母内心、焦る。
⑥そして、説明が簡潔でわかりやすい。
(第一段階の3週間が終わったので、次の第二段階に進むよ!)→図も用いての説明がわかりやすく、上手。
いやぁ、感動した。
学ぶことが多すぎた。
私も「先生」の端くれ。
アトピーも、英語学習でも、同じです。
生徒の頑張りを、
①目に見える形で評価し、
②成果を言語化して伝え、
③頑張りを認めてあげて
④やってくれたことに感謝する。
そして、次のステップに進む際も、わかりやすく「本人に」説明する。
アレルギー外来に行った体験が、
こんなに多くの実りをもたらしてくれるだなんて、思わなかったー。
当の双子は、アトピーがかなり改善し、
2学期、やっと半袖を着て登校してくれた。
この調子でいけば、年度末には一旦治療は終えられると思う、との事。多感な中学生になる前に、今の良い状態がキープできるようになるといいな…。
行って良かった、アレルギー外来、です。